サツマイモを猫のおやつとして与えている飼い主さんも多いのではないでしょうか。好んで食べる猫も多い反面、猫にとってサツマイモは消化しにくい食べ物でもあります。食べ過ぎによる消化不良に注意が必要してください。この記事では、猫にサツマイモをあげるメリットや注意点などを紹介します。

記事監修者「森下 浩志」

この記事の監修者森下 浩志
フィナンシャルプランナー

早稲田大学基幹理工部出身。すべてのペットのお金と健康にまつわる問題を解決したい、という強い思いからMOFFMEを立ち上げ。ファイナンシャルプランナー、損害保険(ペット保険を含む)の公的資格取得。獣医師団体などと連携をして、ペットのWEB健康診断ツールの開発も行う。

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猫はサツマイモを食べても大丈夫なのか解説

この記事をご覧いただいている方の中には、「自分がサツマイモを食べている際に、飼い猫が欲しがってきた経験があるけれども、猫にサツマイモを与えても大丈夫なのか…。」と心配な方がいらっしゃるのではないでしょうか。


この記事では、以下のポイントを中心に解説をしていきたいと思います。

  • 猫にサツマイモをあげても大丈夫
  • 猫にサツマイモをあげるメリットや効果
  • 猫にサツマイモをあげる際の注意点と与え方
  • サツマイモを使った猫用レシピを紹介

サツマイモには、猫にとって体に良い成分が含まれています。正しい与え方と効果を知ることで、飼い猫の健康を維持する事へと繋がりますので、是非最後までご覧ください。

猫にサツマイモをあげても大丈夫

結論から言いますと、与え方を間違えなければ猫にサツマイモを与えても大丈夫です。飼い猫が欲しがった際には、与え方さえ間違えなければ与えても問題ありません。


後程詳しく解説をしていきますが、サツマイモには猫にとって体に良い成分が何種類も含まれています。健康のために、適切な量のサツマイモを与えることは良いことなのです。


だからといって、無理をして頻繁に与えるのではなく、欲しがった際におやつやご褒美として与えるようにしましょう。

サツマイモが好きな猫も多い

私たちがサツマイモを食べる際に、甘い香りとしっとりとした食感にコクのある甘みに幸せを感じ、ついつい食べ過ぎてしまう事もありますよね。実はこの甘み、猫には感じることができないのです。


猫の味覚は「甘い」ということを感じることができません。それなのにサツマイモを好んで食べたがる猫が多いのは、独特の甘い香りとホクホクした食感、また、私たちが感じるのとは違う、猫にとっての美味しさを持っているからではないでしょうか。


それから、中に飼い主がおいしそうに食べている姿に興味を持って、自分も食べてみたいと思って欲しがる子もいるかもしれません。


猫に与えても問題のないものですので、欲しがった際には少しおすそ分けをしてみても心大丈夫です。

生のままでは消化しにくい

サツマイモは生のままでは消化しにくいため、必ず加熱処理をしたものを与えるようにしましょう。ホクホクに焼いた焼き芋や、柔らかくなるまで干した干し芋であれば与えても大丈夫です。


サツマイモはお腹の中で水分を吸収し膨張するため、なかなか消化されずにお腹の中にとどまっている時間が長くなるので、他の野菜と比べて消化のスピードが遅くなります。特に、熟しきっていなく糖化が進んでいないものは、ますます消化に時間がかかってしまいます。


一度にたくさんの量を与えるのではなく、少量ずつあげることも大切です。また、お腹の中で消化しやすいように、細かくしたり、潰してペースト状にしたものを与える方法がお勧めです。

サツマイモの食べ過ぎは肥満の原因に

猫が甘みを感じることができないとは言っても、サツマイモには糖分が多く含まれています。また、炭水化物ですので食べ過ぎて肥満や糖尿病、虫歯などへ繋がってしまうことがないように、与える量や頻度には十分に気を付けなければいけません。


人間と違い体の小さな猫が肥満になることは、脂肪によって心臓などが圧迫され、呼吸不全などの命にかかわる重大なリスクを負ってしまうことになるのです。


そのため、猫が好きだからと言って頻繁に与えるのではなく、おやつやご褒美としてたまにあげるだけにすることが大切です。


また、1度に与える分量に関しては、ティースプーン1杯程度にしましょう。たとえもっと欲しがっても、健康の事を第一に考え、分量を守るようにしてください。

猫にサツマイモをあげるメリットや効果

サツマイモには、猫が健康を維持するために必要な栄養素が沢山く含まれていますので、体力づくりのためや病気予防のために与えると、様々な効果が期待できます。


【サツマイモの主な成分】

日本食品標準成分表2015年版

  • 水分
  • タンパク質
  • 脂質
  • 炭水化物
  • カルシウム
  • マグネシウム
  • リン
  • 食物繊維
  • ナトリウム
  • ビタミン
  • カリウム     など

ここからは、特に体に良いとされる食物繊維・ビタミン・カリウムについて詳しく解説をしていきたいと思います。

食物繊維+ヤラピン:便秘解消効果が期待できる

食物繊維がお通じに良いということは有名ですね。サツマイモには、この食物繊維に加えて昔から腸の働きを整える緩下剤としての効果が知られている「ヤラピン」という成分が含まれているのです。


サツマイモを切った際に、断面にミルクのような白い液体が出てくるのを見たことのある方が多いのではないでしょうか。それこそが、サツマイモだけにしか含まれないヤラピンという成分なのです。


食物繊維とヤラピン、また水分も含まれているため、便秘解消効果や猫がかかりやすい病気の一つである毛球症の予防効果にも期待ができます。


特に抜け毛の多い換毛期や長毛種の猫の場合、毛球症になりやすいといわれていますので、きちんと糞と一緒に体の外に排出させることが大切です。


しかし、与えすぎると下痢などを起こす原因となりますので気を付けなければいけません。

ビタミン:抗酸化作用や免疫力向上など

ビタミンには、活性酸素の働きを抑える抗酸化作用があります。この抗酸化作用によって細胞の酸化ダメージから細胞膜を守ることができるのです。


サツマイモに含まれる豊富なビタミンは、慢性腎臓病などによる体内の酸化ストレスにも効果的で、腎障害の進行を遅らせるという効果も期待できます。 その他、免疫力の向上や皮膚の健康、ガンの抑制にも効果が期待できます。


更に、ビタミンEが不足しがちな妊娠期の猫がビタミンEを補給することで、母子ともに健康を維持するための効果が期待できます。妊娠期には血中濃度が低下してしまう可能性がありますので、サツマイモを与えることで不足しているビタミンEを補うことができるようになるということです。

カリウム:余分な塩分を排出

カリウムには、摂取し量と同じ量の塩分(ナトリウム)を尿と一緒に体の外に出す働きがあります。そのため、塩分の摂り過ぎによる高血圧を予防する事や、利尿作用にも効果があると言われています。


猫が高血圧症になってしまうと、網膜剥離や運動失調、心肥大などの恐ろしい病気になってしまう可能性がありますので、塩分の摂り過ぎを抑えることはとても大切です。


しかし、カリウムの過剰摂取には十分気を付けなければいけません。カリウムを過剰摂取することによって、高カリウム血症や低カリウム血症を引き起こすリスクが高くなってしまいますので、ティースプーン1杯程度のサツマイモを、適切な頻度で与えるようにしましょう。

猫にサツマイモをあげる際の注意点と与え方

ここまで解説をしてきたように、サツマイモには猫にとって体に良い成分が沢山含まれていますので、飼い猫の健康のために与えることは問題ありません。


しかし、与える際には以下の点に十分気を付けなければ、せっかく健康のためにあげるものが、逆に健康に良くないものとなってしまいますので注意が必要です。

  • 量に注意して加熱したもの与える
  • 消化しにくい皮の扱い
  • 食物アレルギーには特に注意
  • 焼き芋や干し芋などの加工品はあげていいの?
ここからは、以上の点について解説をしていきたいと思います。

量に注意して加熱したもの与える

先述したように、サツマイモは生のままでは消化しにくいため、必ず加熱処理をしたものを与えるようにしましょう。(干し芋などの柔らかいものであれば大丈夫です。)


サツマイモに含まれるビタミンCは、加熱したことによって働きが失われる心配がありません。加熱をしても、そのままの栄養を摂取することができるので、野菜の中でも健康を考えて調理するのに向いている野菜です。


茹たり電子レンジで柔らかくしたサツマイモを、細かくみじん切りにして与えるのも良いですし、潰してペースト状にしたものをポタージュのように与える方法もあります。


ただし、加熱をしたものをあげる際には、火傷をしないように人肌くらいまで冷ましてからあげることが大切です。また、1回の量はティースプーン1杯程度までとし、適切な頻度で与えるようにしましょう。

消化しにくい皮の扱い

サツマイモ自体、消化しにくい野菜なのですが、中でもが消化しにくい部分です。


しかし、サツマイモの皮には以下の成分が含まれています。

  • アントシアニン:活性酸素を抑える抗酸化作用がある。
  • クロロゲン酸:脂肪を燃焼させる。血糖値の急激な上昇を抑える。
  • カルシウム:健康な骨や歯を作る。神経興奮を抑える。
  • 食物繊維:便秘予防。毛球症の予防効果がある。

以上のように、皮にも猫の体に良い成分が含まれているのです。


このため、与える際に皮を取り除くかそのまま与えるかは、飼い主によって判断が分かれるというのが実情です。消化不良が心配な方は、無理をして与えない方が良いでしょう。


もし栄養のことを考えて、皮を剥かずに与えたい場合は、消化しやすいように加熱した上で細かく刻む、ミキサーにかけてしまうなどの処理をしてからあげるようにしましょう。

食物アレルギーには特に注意

猫の中には、サツマイモに含まれる成分にアレルギーを持つ子もいますので、初めてあげる際にはほんの少量だけあげるようにしましょう。 


 アレルギー反応はすぐに現れない場合もありますので、その日一日様子をみてください。1度食べて大丈夫だったとしても、2度、3度と食べてるうちに発症することもありますので、初めのうちは少量づつ様子をみながら与えることが大切です。


 【サツマイモアレルギーがでたときの症状】

  • 下痢や嘔吐 
  • 皮膚を痒がる 
  • 元気がない 
  • 目の充血
  • 食欲不振

以上のような症状や、この他に少しでもいつもと違った様子がみられる際には、すぐに動物病院へ行き獣医師に診てもらうようにしてください。 

参考:焼き芋や干し芋などの加工品はあげていいの?

飼い主が食べているものに興味を持って自分も欲しがる猫もいますが、私たち人間が食べているものの中で、焼き芋や干しただけの干し芋などをあげる分については問題ありません。


しかし、砂糖や蜂蜜などの調味料を使って調理された大学芋や甘露煮、サツマイモ入りの菓子パンなどの加工品は与えないようにしてください。


これらは人間用に調理されているため、猫にとっては余計な糖分や塩分などが多く含まれています。肥満や糖尿病の他にも、アレルギー反応を起こすなど、健康に害を及ぼしてしまう原因となります。


食べかけの加工品をテーブルの上に置いたままにしておくと、目を離している隙に猫が誤飲してしまう可能性がありますので、十分注意が必要です。

サツマイモを使った猫用レシピを紹介

愛猫の栄養補充のためや、妊娠期のビタミン不足改善のために、サツマイモを与えたいと考える方に、安心して与えてあげることのできるサツマイモを使った猫用レシピをご紹介いたします。


◎サツマイモ入り豆腐ハンバーグ◎

【材料】

  • サツマイモ
  • にんじん
  • 枝豆
  • ひき肉
  • 豆腐(絹)

【作り方】

  1. サツマイモ・にんじん・枝豆を細かくみじん切りにする。
  2. 1で細かくした野菜に、豆腐・ひき肉を混ぜ、よく手でこねる。
  3. しっかりこねた2を、一口分くらいのサイズに丸く形を整え、中心部分を少し薄くへこませる。
  4. 油を引いたフライパンに3を乗せ、中までしっかり火が通るまで焼く。
  5. 水を200mlほど入れ、蓋をして水がなくなるまで蒸し焼きにする。
  6. 人肌くらいまで冷ましてできあがり!

※ポイントは、火傷をしないように人肌くらいまで冷ましてからあげることです!

猫はサツマイモを食べても大丈夫?のまとめ


ここまで、猫とサツマイモの関係性について解説をしてきました。これまで愛猫が欲しがった際にあげても良いのかと不安だった方は、与え方さえ間違えなければ大丈夫ということがご理解いただけたのではないかと思います。


それでは最後に、今回の記事のポイントをまとめてみます。

  • 猫がサツマイモを食べても大丈夫。
  • サツマイモには、猫に良い栄養素が沢山含まれている。
  • 生のままでは消化しにくいため、加熱をしてから与える。
  • 1回で与える分量はティースプーン1杯程度。
  • 加熱した後は、火傷をしないように人肌くらいまで冷ましてから与える。
  • 過剰摂取することによって重大な病気になる可能性があるため、量や与える頻度に十分気を付ける。
  • サツマイモの皮は特に消化しにくいので、みじん切りやペースト状にしてから与える。
  • アレルギーを持つ子もいるので、初めのうちは少量ずつあげて様子をみる。
  • 人間用に調理された加工品は与えてはいけない。
大切な愛猫のために以上のことに気を付け、間違えた与え方をせずに、健康的な食事管理を行っていきましょう。


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