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りんごは猫が食べても大丈夫な果物です。ただしりんごの種には毒性があり、病気の原因になる危険性があるため、特に注意が必要です。この記事では、猫がりんごを食べても大丈夫であることを説明すると共に、メリットや注意点、種を食べた場合の対処法についても解説します。

記事監修者「宮腰 里知子」

この記事の監修者宮腰 里知子
一般社団法人愛玩動物健康管理協会 - CAHA

少量程度であれば問題ありませんが、猫は肉食動物なので、すすんで与える必要はないでしょう。過剰摂取になると中毒症状が出る恐れがあるので注意しましょう。

この記事の目次

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りんごは猫でも食べられるのか解説

  

記事モデル:とらじ


猫がりんごを食べてしまった場合、大丈夫なのでしょうか。大切なペットには与えてよい食べ物、または与えてはいけない食べ物があります。


人間には栄養がある果物ですが、猫にとって栄養面はどうなのでしょうか。


また、好奇心旺盛な動物なので、飼い主などが食べているときに興味をもって近寄ってくることがあります。そして隙を見て有毒である種まで食べてしまうこともあるかもしれません。


そのようなときは、どうすればよいのでしょうか。


ここからは

  • りんごを食べても大丈夫?
  • 与える際のメリットや注意点は?
  • 知って安心!種を食べたときの対処法
  • 市販のりんご酢やりんごジュース与えていい?

の説明をしていきます。


大切な飼い猫に安心して、りんごを与えられる内容をご紹介していきます。ぜひ最後までご覧ください。

りんごは猫でも食べられる果物


猫がりんごを食べたことで病気になったという報告は、今のところありませんが、一切摂取しなくても問題はない食べ物となります。

しかし、興味を示し欲しがった場合には与えても大丈夫です。噛むと水分を感じシャキシャキとした歯ざわりが好みだったりするのかもしれません。

その場合には、人が食べるサイズのまま与えないようにしましょう。

また、猫用のご飯レシピにもりんごに含まれる酵素が健康に役立つとも書かれています。

それではここからは、与える際のポイントをいくつかご紹介していきます。

少量であれば基本的に大丈夫

基本的に小し量のであれば与えても大丈夫です。


AAFCOにて定められている栄養基準では、子猫に必要な1日のカリウム量は100gあたり0.6%以上となります。カリウムはりんごに含まれる成分です。

(引用元:米国飼料検査官https://www.k9natural.jp/column/pet/6.html)


それでは、与えてよいとはどのくらいでしょうか。

  • 子猫の場合にはすりおろしを小量
  • 成人猫の場合には小さじ1杯~1杯半くらい
  • 老猫の場合には、ごくたまにほんの少しだけ与える

食べさせ方

  • 小さく刻み少量をその他のご飯と一緒に食べさせることで便秘予防につながる
  • 飲んでくれるならば擦ってジュースにしてもよい
  • 体の小さな猫にとっては多い量となる場合もあるので気をつける

また、人にとっては少量でも猫にとっては胃や腸に負担をかけたり中毒のおそれの可能性もででくるので与える量には注意が必要です。

肉食の猫にとって果物は必要ない食べ物

それでは、果物は必要ない食べ物なのでしょうか。


猫は肉食の動物で基本的に、果物や野菜は与えなくてもよいのです。


また、内臓は、果物の食物繊維をうまく消化するような作りにはなっていません。ですから、肉を消化するのは得意ですが果物の消化は苦手となります。


また、小鳥やネズミ、とかげといった小動物を内臓や骨なども含めて食べることで必要な栄養を取り入れています。


しかし、野菜や乳製品からの栄養が足りていないのでは、と心配になるかもしれませんが小動物の内臓からビタミンやカルシウムを摂取できるので果物などから補う必要はないのです。


ペットとして飼われている場合は、総合栄養食のフードを与えておけば十分に栄養は摂取できます。

注意:普段のペットフードを食べなくなる可能性について

食べたり食べなかったりと、1回にすべての餌を食べることがあまりなく食べムラがある動物と言われています。


ペットフードなど食べる量が、明らかに減っていると感じる場合には、いくつかの原因があるのかもしれません。


原因の一例では

  • 餌のニオイが減少している
  • 餌の好みの違いによるもの
  • 好みの餌が変わってしまった
  • 餌の味に飽きてしまった
  • 老化にともなう食欲の減少


高級な餌や好みの餌を与えても、途中で食べるのをやめてしまうことがあります。その場合は習性である食べムラの可能性があるでしょう。


また、食べムラは子猫から成猫になったときの場合でしたら心配ありません。どれぐらいの餌の量を食べるのかを日頃からチェックしておくとよいでしょう。

りんごを与えるメリットや注意点


それでは、与えることでメリットはあるのでしょうか。また、注意しなくてはいけないこととは、どのようなことなのでしょう。


猫の体は人間と同じような作りではないため、効果のある栄養素の違いや食べられる部位まで違います。


また、与えすぎによる胃腸障害の可能性もでてきます。


そこでここからは

  • メリットは健康に役立つ栄養素が豊富
  • 消化不良や下痢は与え過ぎが原因?
  • 皮や芯は与えてはいけない?

こちらを詳しくご紹介していきます。

猫の健康に役立つ栄養を得られるのがメリット

りんごの成分には健康に役立つ栄養素が得られるリットがあります。

役立つ栄養素
  • カリウム
  • ミネラル
うちミネラルには、ナトリウムカルシウムマグネシウム亜鉛が含まれています。

摂取した場合のメリット
  • 有機酸が肉類などの消化を助ける
  • 腸内細菌がバランスを整えたりすることで便秘を解消する効果がある
  • 有機酸のうちクエン酸は疲労回復効果がある
  • クエン酸は猫に多い腎臓や泌尿器の疾患予防となる
  • カリウムが豊富に含まれており、不要な塩分を体内の排出する働きがあり高血圧予防にも効果を発揮する
このように、豊富な栄養素よい効果があります。しかし、酸味などが苦手な場合もあるので嫌いなようなら、無理に与える必要はないでしょう。

与え過ぎは消化不良や下痢の原因に

このように、栄養豊富な果物ですが大量に摂取してしまうことで胃腸に負担がかかることにもります。

また便秘のときに、少量を与えるのは悪いことではないですが量が多すぎる下痢になってしまうこともあります。

下痢をしてしまうと脱水症状まで引き起こしかねません。

与えるときの注意点は
  • 細かく刻む
  • すりおろす
大きくカットされたものだと喉につまらせてしまう場合もあり、そのまま飲み込んでも大丈夫な程度にひと手間かけてあげる必要があります。

食べる適量については個体差はありますが、食べたことで消化不良を起こしてをしたりする可能性もでてきます。

食べた当日や翌日の食欲や便の状態、または数日継続して食べたときの食欲や排便、排尿の様子などで気になる変化がある場合には、与えるのをやめたほうがよいでしょう。

皮や芯は与えないように注意

それでは、皮や芯は与えてもよいのでしょうか。


食べ物を噛まずに丸のみしてしまう習性があるため、皮や繊維質が集中している芯の部分は特に消化しにくく、与えないよう注意が必要です。


皮には人間にとっては健康に良いとされていて、ポリフェノールがたっぷり含まれていますが農薬物質が残留している可能性もあり、皮は避けて実の部分をあたえるようにしましょう。


芯は、喉や腸につまらせてしまう危険もあります。体内では消化することは出来ませんし、堅いので咀嚼することも難しいのです。


また、芯や皮、タネ、葉などは猫にとって中毒症状を起こす毒物が含まれているため、与えないようにしましょう。


飼い主が目を離した際に誤って口にしてしまわないように充分に注意しましょう。

猫がりんごの種を食べてしまった場合の対処法



万が一、種を食べてしまったらどういう対処をしたらよいのでしょうか。

小量であれば、種の大きさから考えると消化官に詰まったりすることはありませんが、この消化管の中に、グルーミングで飲み込んだ毛などが溜まった状態ですと、消化されづらく種と毛が絡まって詰まる危険性が高くなります。

また、果実から発生する有害の酵素により体調を崩したりしてしまうこともあります。

ここからは、いくつかの対処法をご紹介していきます。

要注意!りんごの種には毒がある

種には毒があり注意が必要です。

飼い主が見てないときに口にしてしまった場合には、まずは種を食べていないかを調べる必要があります。

種には
  • 微量ながらアミグダリンという物質が含まれている
  • アミグダリンは消化器官のなかでシアン化水素(青酸配糖体)という毒性物質に変化する
このことから、アミグダリンを大量に摂取することで、ひどくなると呼吸困難を起こし最悪の場合は死に至ることもあります。

しかし、アミグダリンは非常にわずかな量なので、種を誤ってを少量食べた程度では、特別な体質でない限りは毒素の影響が出ることは考えにくいでしょう。

また、りんごはバラ科の植物になり同じ、梨、桃、ビワなどの種類の果物の種にも有毒な物質に変わってしまう成分が含まれています。

与えるときには、とくに種を食べてしまうことがないよう十分に注意しましょう。

手順①:食べた時間と量を確認する

万が一、種を食べてしまったらどうしたらよいのでしょうか。


食べてしまった量や、または身体の状態などを全体的に判断して、変わった様子がとくに見られないようであれば、吐かせる処置などの緊急対応は行わずに様子をみることが必要になります。


まずは、慌てずに観察をしていきましょう。


そして、このようなときには

  • おおよその食べた時間の把握をしておく
  • どのくらいの量を食べたのかを確認する
  • 一緒に食べたものは何だったのかの確認
  • 種を食べたあとに食べたものなどの確認

以上のことを把握して、念のためにメモなどに残しておくことをおすすめします。


また、食欲が減退や嘔吐があったり、明らかに元気がない場合には早めの動物病院の受診が必要です。

手順②:しばらく様子を見る

この間は、注意深く観察してしばらく様子を見るようにしましょう。

経過確認としては
  • 必要な状況であれば吐かせるなどの緊急措置を行う
  • とくに問題がなければ数日様子をみる
  • 体調や様子だけではなく便通も確認する
種を飲み込んだあとに吐き出すような仕草を見せるようでしたら、種が食道などにとどまっていることが考えられます。

消化管に毛づくろいなどで、毛がたまっていることが多いため、小さな種でも引っかかってしまうことがあり、種が毛玉と一緒に排出されればとりあえず問題はないでしょう。

また、少し時間が経ってから種などが消化官の途中に詰まってしまうようなこともありますので、毎回便に種が出てきていないか確認することも必要です。

手順③:様子がおかしい場合はすぐに動物病院へ

食べてしまった後や経過観察の際に、体調不良などが起こってしまった、またはいつもと様子が違うなど、おかしいと感じた場合には、すぐに動物病院へ連れて行かなくてはなりません。

このような症状が起こった場合には
  • 下痢
  • 嘔吐
  • 痙攣
すぐに動物病院に連絡をしましょう。

種や葉には、青酸(シアン化水素)という物質も含まれていることが多いのです。嘔吐や痙攣などの中毒症状は、この青酸を大量に摂取すると起こることが知られており大変危険です。

診察を受ける際は上記の①で確認した情報を獣医師に伝えるために、詳細を書いたメモを忘れずに携帯して行きましょう。

また、連れて行く際には吐しゃ物などで喉を詰まらせないように十分に気をつけましょう。

市販のりんご酢やりんごジュースを与えるのは避けよう

人間の体によいものでも、猫にもよいとは限らないものもあります。


それでは、市販のりんご酢やりんごジュースはどうなのでしょう。皮や芯、種といった与えてはいけない部分が入っていないため大丈夫なのでしょうか。


また、初めてのものに興味を持ちやすい動物ですが、独特な匂いに興味をもったりもするのでお酢は舐めさせないようにしなくてはなりません。


そして、市販のりんごジュースは人工甘味料が多く含まれているものもあります。

りんご酢の中には猫にとって良くないものも

りんご酢の中には、与えるとよくないものもが含まれています。それでは、どのような成分が入っているのでしょうか。

お酢に含まれる成分
  • 酢酸
  • アミノ酸
  • クエン酸
  • 糖分
などの一般的に人間の体の調子を整えて健康のサポートをしてくれるものです。

また、お酢の種類なかには
  • りんご酢の甘味料は特に人工甘味料や添加物に注意するもの
  • りんご酢ドリンクには黒酢に果汁加えただけのものや、または人工甘味料が加えられているもの
また、穀物を原料にしたものもあり、そのためアレルギーを持っている場合には酢アルレギーにも注意が必要になります。

食物アレルギーは摂取後すぐに症状が現れる訳ではなく下痢嘔吐皮膚のかゆ目の充血元気がないなど症状が現れたら動物病院へ相談しましょう。

このように判断が難しいため基本は、お酢を与えることは避けたほうがよいでしょう。

市販の人間用りんごジュースもNG

それでは、人間が飲用する市販のりんごジュースは与えてもよいのでしょうか。


りんごには、多くの糖分が入っていますが、さらに過度な糖分やその他添加物などが入っている可能性があります。猫の体には適した飲み物ではなく、市販のりんごジュースは与えない方がよいでしょう。


りんごジュースを与える場合には

  • 市販の猫用のジュース
  • りんごをミキサーにかけた手作りのジュース

ジュースを作る際には、必ず皮や芯、種などはしっかりと取り除きましょう。


また、酸味をとるためや、甘味が増すよう砂糖や塩など調味料は入れずに、与えてあげるとよいでしょう。


必要以上に糖分を摂取することで、肥満下痢などの原因にもつながりますので注意が必要です。

参考:りんご以外に猫が食べられる果物は?


それではその他には、どのような果物が食べられるのでしょうか。

食べられる果物とその与える量
  • いちご
  • 1粒は多く半分以下のサイズにがカットして与えるくらいが適量です。いちごのほとんどは水分で食物繊維も多いので少量食べても大丈夫です。
  • スイカ
  • 大さじ1杯以下程度です。スイカも水分、カリウムが多く含まれおり多く取りすぎると腎臓に負担をかけ腎不全になることも考えられ与えすぎには注意する。
  • メロン
  • タネを飲み込むことで喉を詰まらせてしまうこともあるためしっかり取り除きましょう。メロンも水分が多くカリウムも含まれおりスイカと同様に与えすぎには注意が必要です。
  • 実のほとんどが水分です。種は取り除いて与えるようにしましょう。果肉が硬いこともあるため小さく刻んだ一口大程度のものを小量与えるとよいでしょう。
  • 少量食べたとしても大丈夫とされる果物です。種を食べると中毒を起こす可能性があるため与えないようにしましょう。
以上の果物ですが、子猫や高齢猫にとっては少量のカリウムでも内臓に負担がかかる場合もあるので与えない方がよいでしょう。

また、食べられない果物は
  • アボカド
  • ぶどう
  • マンゴー
  • イチジク
などになります。間違って与えないように十分な注意が必要です。

猫はりんごを食べられる?のまとめ

いかがだったでしょうか。猫はりんごを食べられますが、さまざまなことに気をつけなければいけないことが分かりました。

記事のポイントは
  • りんごを食べても大丈夫である
  • メリットや注意点をしっかり把握する
  • 種を食べてしまったときの対処法
  • 市販のりんご酢やりんごジュースは与えるのNG
でした。

繰り返しになりますが、肉食性が強く食物繊維を上手に消化できません。果物好きだからと、欲しがるだけ複数の果物をあげることや食べさせ過ぎには注意が必要です。

初めて与えるときにはごく少量から与えましょう。体調に変化がないか様子を見て食べた後に下痢や嘔吐などの体調不良が起きた場合は与えるのを中止して、すぐに動物病院への連絡をしましょう。

また、飼い猫の体に合ったフードを継続している場合には、とくに野菜や果物などをすすんで与えることは必要ないと言えます。

可愛いペットの健康を守れるのは飼い主だけです。共に長く楽しい生活を送るためにも、しっかりと健康管理をおこなっていきましょう。

MOFFMEでは、この他にもペットやペット保険に関する記事を多数掲載していますのでぜひご覧下さい。