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少量であれば猫がヨーグルトを食べても大丈夫です。下痢や便秘の解消などの効果が期待できますが、脂肪分も多いため、毎日与える必要はありません。この記事では、猫にヨーグルトを与えても大丈夫であることを説明すると共に、メリットや与え方、腎臓病との関連なども解説します。

記事監修者「森下 浩志」

この記事の監修者森下 浩志
フィナンシャルプランナー

早稲田大学基幹理工部出身。すべてのペットのお金と健康にまつわる問題を解決したい、という強い思いからMOFFMEを立ち上げ。ファイナンシャルプランナー、損害保険(ペット保険を含む)の公的資格取得。獣医師団体などと連携をして、ペットのWEB健康診断ツールの開発も行う。

この記事の目次

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猫にヨーグルトを与えても大丈夫なのか解説


記事モデル:カイザー


この記事をご覧のあなたは、猫のえさに「ヨーグルトを与えてよいのか?」という点に悩んでおられるかもしれません。


猫のえさとして一般的に与えられるのはいわゆる「キャットフード」ですが、それだけでなく、健康のために生物を与えることがあります。


そこである方はヨーグルトを与えようと思いますが、そもそも猫の健康にヨーグルトは本当に良いのだろうか、と思われるかもしれません。


そこで今回は、

  • 猫にヨーグルトを与えても大丈夫なのか?
  • 猫にヨーグルトを与えるメリットとは?
  • ヨーグルトは猫の腎不全や口内炎などに効果があるのか?
以上の点を取り上げていきます。

この記事を読んでいただければ、猫にヨーグルトを与えることによるメリットおよびデメリットを理解することができるでしょう。

ぜひ最後までご覧ください。

猫にヨーグルトを与えても大丈夫だが注意が必要


猫はどのような食べ物を必要としているのでしょうか。


一般的に猫に与えられるキャットフードの種類には、

  • ドライタイプ
  • ウェットタイプ
  • セミモイストタイプ
このような種類があります。

本来はこのような種類のキャットフードをバランス良く与えることで健康を保ちますが、猫が食べることができる生のえさを与える方も多いでしょう。

では、その中でも猫が好むとされている「ヨーグルト」は与えても大丈夫なのでしょうか。

少量を与えるだけなら問題ない

猫にヨーグルトを与えるのは、基本的に少量であれば大丈夫です。


乳製品として代表的な食べ物であるヨーグルトには健康を促進する様々な栄養素が含まれています。


人間がヨーグルトを食べることで得られるメリットと同じ、

  • 整腸機能
  • 免疫向上

このような乳製品における「腸内環境を整える」というメリットを猫も得ることができますから、猫にとってもヨーグルトは健康食品であると言えます。


ただし、ヨーグルトの与えすぎには注意です。


それはなぜなのでしょうか。

ヨーグルトで消化不良や下痢になる可能性がある(乳糖不耐症)


ヨーグルトを与えることはメリットだけではなく、デメリットもあります。


その一つが「乳糖不耐症」です。


乳糖不耐症とは、消化において非常に重要な役割を担っている「ラクターゼ」という成分が不足することにより小腸がうまく働かず、様々な症状を引き起こすものです。


乳糖不耐症は乳製品、まさにヨーグルトを多量摂取することが原因となりますが、そもそも牛乳などの乳製品全体に、多量摂取による乳糖不耐症のリスクがあります。


ですから、猫がヨーグルトを多量摂取することで、乳糖不耐症に伴う消化不良に伴う下痢や嘔吐などの症状を引き起こす可能性があります。


ヨーグルトやチーズは牛乳よりはリスクが少ないものの、やはり乳糖が含まれているためリスクは少なからず存在します。


ただしこれは「猫にヨーグルトを与えてはいけない」ということではなく、「少量であれば健康に寄与する」ということでもあります。


与える場合は、ごく少量から様子を見て、与えすぎないように注意する必要があるでしょう。

下痢や嘔吐などのアレルギー症状にも要注意

乳糖不耐症になると下痢や嘔吐などの症状が見られることがあります。


しかし、そのような症状が出たからといって、全ての場合で乳糖不耐症とは言い切れず、アレルギー症状により引き起こされた症状である可能性もあります。


特に動物がかかりやすい食物アレルギーでも、よく下痢や嘔吐などの症状が出るため、こちらである可能性も多いにあります。


食物アレルギーは1回目にアレルゲンとなる食物を摂取することで発症することよりも、2回目、3回目の摂取でアレルギー反応が出ることが多いため、1回目の摂取で症状が出なかった食品が安全、と言い切れるわけではありません。


特に、下痢や嘔吐などの代表的な症状のほかに、

  • 体を異様に掻いている
  • 便の回数が急激に増える
  • 体のどこかに炎症がみられる
こういった症状がある場合、食物アレルギーである可能性が高くなります。

どちらにしても素人判断にしかならないため、そういった症状が続くようであれば、すぐに動物病院で診療を受けさせることをおすすめします。

参考:ヨーグルト(乳酸菌)には相性がある

いわゆる「アレルギー」のような症状が引き起こされるのは、体(個体)と食品の相性が良くないから、と言い換えることもできるかもしれません。


そして、ヨーグルトおよびそれが含む「乳酸菌」という成分にも、体との相性があります。


そもそもビフィズス菌にもいくつかの種類があり、

  • ブルガリア菌
  • サーモフィルス菌
  • ビフィズス菌
  • ガゼリ菌

これらの種類のうち、どの種類の乳酸菌が含まれているのか、という点もそれぞれのヨーグルト製品によって異なります。


ですから、「商品A」というヨーグルトでは便秘に効いたけれど「商品B」というヨーグルトでは効くどころか下痢がひどくなった、ということもあり得ます。


猫にどのヨーグルトを与えるかを考えるうえでも、この「相性」について考えることが重要です。

注意:子猫は避けたほうが無難

人間の赤ちゃんの場合、乳児期には「与えないほうが良い」食べ物というものがありますが、猫の場合はどうなのでしょうか。


基本的に子猫は産まれてすぐの段階ではドライフードなどの固形物を食べることができないため、ミルクを与えることになります。


キャットフードなどの固形物が食べられるようになるのは生後1~2カ月くらいで、歯が生え揃ってからようやく与えられるようになります。


特にそのくらいの子猫の時期は、まだ消化器官が発達しきっていないため、食べられるものにも制限があります。


ですから、まず生後1~2カ月くらいはヨーグルトを与えるのは控えるべきです。


ある程度成長すればヨーグルトを与えることができますが、それでも1週間に2~3回など、頻繁に与えすぎないように注意するべきです。

ヨーグルトの効果やメリットは?与え方も紹介

多くの方が「ヨーグルト」という食品に対して、「なんとなくお腹に良さそう」という抽象的なイメージを持っているかもしれません。


人間ならそれでも問題ありませんが、猫に与える場合はやはりその効能について詳しく知っておきたい、と思われるでしょう。


では、ヨーグルトを猫が摂取することで、具体的にどのような効能があるのでしょうか。

メリット①:腸内環境(便秘・下痢)の改善

まず1つ目に挙げられるメリットは、腸内環境の改善です。


腸の中には「善玉菌」と「悪玉菌」という2つの菌が存在しており、お腹の調子を整えるためにはこのうち「善玉菌」が活発化している必要があります。


そしてその「善玉菌」に含まれているのが今回のテーマとなっているヨーグルトに含まれる「乳酸菌」であり、これを摂取することで腸内環境を整えられるというのは、人間も猫も変わりません。


腸内で善玉菌が増えて腸内環境が整うと、

  • 便秘改善
  • 下痢改善
などの消化に伴う明確なメリットがあります。

人間においては特に「快便(便秘でない)」というのは普段の生活におけるパフォーマンスにも深く結びついているとされており、健康的な生活をするためには「腸内環境を整える」ことは欠かせません。

同じく猫の場合も、ヨーグルトを適宜与えることで便秘や下痢になりにくい体づくりをすることができます。

飼い主はその腸内環境を把握するために、猫の便の状態を定期的に確認する必要があるでしょう。

メリット②:免疫力向上

ヨーグルトなどの乳製品により乳酸菌を摂取することには、腸内環境を整える以外のメリットもあります。


それが「免疫力を向上させる」というメリットです。


乳酸菌を含む腸に直接良い影響を与えることができる微生物は「プロバイオティクス」とも言われますが、プロバイオティクスが含まれるヨーグルトは腸内環境を整えるだけでなく、免疫力を向上させる働きも強いとされています。


ヨーグルトによって免疫力が向上すると、

  • 感染症にかかりにくくなる(ことが期待できる)
  • 胃腸を起因とする病気にかかりにくくなる(ことが期待できる)

などのメリットがあります。


昨今拡大している感染症はペットにも感染することが確認されていますから、その予防としてもヨーグルトを猫に与えて免疫力を向上させることは一定の意味がある、と言えます。

ヨーグルトの種類や量に注意して与える

ヨーグルトには「相性」があるという点はすでに取り上げた通りですが、それを考える必要があるのはそれぞれのヨーグルトに含まれている成分に違いがあるからです。


一口にヨーグルトといっても糖分が含まれていないプレーンヨーグルトや、低脂肪のものなど、多種多様です。


猫に与えるならできるだけプレーンヨーグルトなどの糖分を抑えた無添加のヨーグルトを与えたいですが、それでも与えすぎには注意が必要です。


猫に「どのヨーグルトが効果的なのか」を見極めるのは簡単ではありませんが、「どのヨーグルトは避けたほうが良いのか」を把握しておくことで、必然的に与えられるヨーグルトの種類は絞られてきます。


間違っても人間のように「毎朝自分がヨーグルトを食べているから猫も同じものを一緒に」というような与え方をしないように気を付けましょう。

参考:ヨーグルトの成分に注意(キシリトールや添加物)

猫に与えるヨーグルトの種類に注意するべきだというのはすでに取り上げたとおりですが、そもそも「猫が摂取するべきではない成分」が存在します。


もしその成分が与えようとしている(またはすでに餌として与えている)ヨーグルトに含まれているのであれば、与えるのをやめるべきです。


猫が摂取してはいけないとされている成分には、

  • キシリトール:ガムや歯磨き粉に含まれる
  • テオブロミン:主にカカオ入りのチョコレートに含まれる
  • アリルプロピルジスルフィド:玉ねぎやニラなどに含まれる
このようなものがあります。

特に「キシリトール」は主にガムに含まれているイメージがありますが、実はヨーグルトの甘味料として用いられている場合があります。

キシリトールを猫が摂取してしまうと、
  • 低血糖
  • 肝機能障害
これらの症状を引き起こし、最悪の場合命にかかわることもあります。

できるだけヨーグルトの中でも無添加のプレーンヨーグルトを選んだほうが良いのも、このキシリトールが含まれていないものを選ぶためです。

人間の健康に良いからこれで良いだろう、という安易な判断で選ぶのではなく、あらかじめ猫のために買おうとしているヨーグルトの成分を確認し、猫にとって危険な成分が含まれていないかどうかを確認しましょう。

参考:ヨーグルトにはちみつを加えても大丈夫?


普段からヨーグルトを食べているという方であれば、ヨーグルトにはちみつをかけるのが好き、という方も多いでしょう。


はちみつにはビタミン類や鉄分など、体に良い栄養分が数多く含まれているため、健康だけでなく美容にも良いとされている食品です。


ただしやはりはちみつも猫にとってはカロリーが高いため、ヨーグルトの風味づけ程度に用いるのが理想と言えます。


また、猫によってはアレルギー症状やボツリヌス菌による中毒症状が出る場合もあるので、その場合は即時与えるのをやめます。


特に、ボツリヌス菌の影響を受けやすかったり、カロリー過多になりやすい子猫にははちみつを与えないほうが懸命でしょう。

ヨーグルトは猫の腎不全や口内炎などに効果がある?

健康を促進する食品を猫にたべさせてあげたい、と思うのは飼い主にとって当然の心理デす。


特に、ある食品に特定の猫がなりやすい病気の予防効果があると耳にしたら、飛びついてしまうこともあるかもしれません。


しかし、やはりこれも人間における健康と猫における健康は分けて考えなければならず、根拠のない情報が出回っていることも確かです。


では、猫がなりやすいとされている「口内炎」や「腎不全」に関しては、ヨーグルトは効果を発揮するのでしょうか。

腎不全の場合は要注意

猫の死亡原因として挙げられる代表的な病気が「腎不全」であり、尿検査などの検査を定期的に行っていないと初期段階での発見が難しいとされています。


腎臓は体に溜まった余分な成分を分解・排出させるはたらきがありますが、この機能が何らかの原因で弱まると腎不全になり、体からうまく毒素を排出できなくなります。  


実際のところ、ネット上の情報ではヨーグルトが「腎不全に効果的である」とか、「ヨーグルトを与えたら腎不全が治った」などという極端なことが書かれていることがあります。


ヨーグルトにはナトリウムが含まれているためこの腎不全にも効果を示すと言われることがありますが、実際のところヨーグルトが腎不全に効果的であるという科学的な根拠は見つかっていません


腎不全予防になると思い頻繁にヨーグルトを与えていると、逆に今まで取り上げたような乳糖不耐症などのデメリットの方が高くなってしまうかもしれません。


どちらにしても、猫に腎不全などの持病がある場合は特に、与える餌の種類については自分で判断するのではなく、与える前に獣医師の判断を仰ぐべきです。

口内炎や歯周病に効果があるかはわからない

ヨーグルトを与えることは、口内炎や歯周病に効果があると言われることもあります。


そのために、定期的にヨーグルトを与えている方もおられるでしょう。


ただし、やはりこれも科学的な根拠ありません


ヨーグルトによって腸内環境が整えば口臭が少なくなることは期待できますが、それが口内の病気を防ぐかどうかは分かっていません。


結局は猫も人間と同じく個体差があり、ヨーグルトを食べることでどのような効果があるのかも、それぞれの猫の体質によって異なります。


猫にとって良いとされている食品であっても、「必ず」それが病気に効果を示すわけではないことを前提に考えて、何よりも栄養バランスを重視したえさを与えるようにしましょう。

適量を与えるなら結石を気にする必要はない

猫にとっての多い死亡原因として「腎不全」をすでに挙げましたが、腎臓に関係している猫が発症しやすい病気がもう一つあります。


それが「尿路結石」です。


尿路結石とは、腎臓・尿管・膀胱といった尿の排出にかかわる器官のいずれかの部位において「結石」ができてしまう病気であり、頻尿血尿などが主な症状として現れます。


猫が尿路結石になる主な原因はその多くが水分不足や運動不足、食生活など非常に基本的なことの積み重ねであり、感染症が原因である場合もあります。


ヨーグルトが尿路結石の原因という説もありますが、基本的には「与え過ぎ」がリスクを高めるのであって、与え過ぎなければ問題ありません


どちらにしてもヨーグルトを与える分量には注意するべきです。

猫にヨーグルトを与えても大丈夫?のまとめ

今回は猫のえさに「ヨーグルトを与えても良いのか?」をテーマに様々な点を取り上げてきましたが、いかがでしたでしょうか。


今回の記事のポイントは、

  • 猫にヨーグルトを与えても大丈夫だが、与え過ぎは禁物
  • 下痢や嘔吐などの症状が続くようであればすぐに病院へ
  • ヨーグルトに含まれる乳酸菌は猫にもメリットがあるが、添加物には要注意である
  • 持病のある猫に与える餌は、何よりも獣医師の指示に従うべきである
以上の点です。

猫にヨーグルトを与えても大丈夫で、健康上のメリットもあるということを知って安心された飼い主の方も多いのではないでしょうか。

メリットばかりではなく、与えすぎるとリスクになりかねないものでもあることを知ることは、餌の与え方を考え直す良いきっかけとなるでしょう。

MOFFMEではこの記事以外にも役に立つ記事を多数掲載していますので、ぜひご覧ください。