猫に生のマグロ(刺身)をあげてもいい?食べ過ぎや病気には要注意!のサムネイル画像

猫にマグロを与えても、基本的には問題ありません。通常のフードに少量を添える、おやつとして少量を与えるのが良いでしょう。食べ過ぎてしまうと、病気などのリスクがあるためです。この記事では、猫にマグロを与える際のリスクなどについて、わかりやすく解説しています。

記事監修者「森下 浩志」

この記事の監修者森下 浩志
フィナンシャルプランナー

早稲田大学基幹理工部出身。すべてのペットのお金と健康にまつわる問題を解決したい、という強い思いからMOFFMEを立ち上げ。ファイナンシャルプランナー、損害保険(ペット保険を含む)の公的資格取得。獣医師団体などと連携をして、ペットのWEB健康診断ツールの開発も行う。

この記事の目次

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猫にマグロの刺身をあげてもいいのか解説


記事モデル:ポワン


私たちが普段食べている食べ物は、猫に与えても良いのでしょうか?


例えば、マグロの刺身。

自分が食べている時に猫がじっと見ていたら、「生のマグロを与えても良いのかな?」と気になりますよね。


与えても良い場合、どの程度の量なら良いのでしょうか?
また、いつ頃からなら大丈夫なのでしょうか?


そこで、この記事では

  • 猫はマグロの刺身を食べても大丈夫?
  • 猫にマグロを与えるならいつ頃から?
  • マグロなど青魚を与える時には病気に注意!
  • 猫の魚アレルギーに注意!
  • マグロの加工品は与えても大丈夫?

以上のことを中心に説明していきます。


「猫にマグロの刺身を与えても良いの?」「与えるならどんな事に気を付ければ良いの?」と気になっている人は、ぜひ最後までお読みください。

マグロは猫が食べても大丈夫だが量に注意

結論から言うと、「猫にマグロの刺身を与えても大丈夫!」です。

ただ、好きなだけ与えてもいい訳では無く、量や与え方の注意点があります。


「与える量は?」「子猫でも良いの?」など、気になる人も多いのではないでしょうか?


そこで、以下の点について詳しく説明していきます。

  • どの程度の量をあげても良いの?
  • マグロに含まれている猫に良い栄養分って?
  • 味が付いているマグロをあげても良いの?
  • いつ頃からマグロを与えても良いの?
  • マグロに含まれる水銀の影響は無いの?

食べ過ぎなければ大丈夫


猫にマグロの刺身を与えても大丈夫ですが、量には気を付けましょう。


食事代わりに与えると量が多くなってしまうので、食事はキャットフードにし、ご褒美やおやつとしてマグロを少量だけ与えるのが理想的です。


また、日常的に与えているといつもの餌を食べなくなってしまう事も。
かわいい顔で催促されるとつい与えたくなってしまいますが、そこは我慢してご褒美やおやつに少し与える程度にしましょう。


「与えている量が適量か分からない……」という場合は、獣医師等の専門家に相談して下さいね!


※「生のまま与えるのは心配……」という人は、少し加熱してみてください。
火を加えると生の時よりも歯触りが良くなるので、加熱した方が喜んで食べる猫もいます。

マグロには猫に良い栄養が豊富に含まれている

マグロには猫に良い栄養が豊富に含まれているので、量に気を付ければ猫に与えても問題ありません。


マグロに含まれている主な栄養素はこちら。

  • タンパク質
    猫はもともと肉食のため、タンパク質はとても大切です。
    血液や筋肉などを作ったり、エネルギー源にもなる欠かせない栄養素なのです。

  • ビタミンB6
    筋肉や血液を作ったり、タンパク質からエネルギーを産生するビタミンB6も猫にとっては大切な栄養素。
    タンパク質と一緒に取ると効果が高くなります。
    ビタミンB6が足りなくなると皮膚や血液に異常が起こる可能性があるため、マグロを少し与えることでビタミンB6の補給ができます。

    ※ビタミンB6は餌にも含まれているので、普段の食事時にも補給されています。

  • DHA・EPA
    魚の目や頭に豊富に含まれているオメガ3系の脂肪酸。特に青魚に多く含まれています。
    血液の流れを良くしてくれるので、腎臓病の予防にも効果があります。

    ※DHA・EPAは摂りすぎると逆に良くない栄養素。マグロに含まれている量は青魚より少ないですが、与えすぎに注意しましょう!

  • タウリン
    動物性の食材にしか含まれない栄養素。
    人間や犬は体内でタウリンを産生することができますが、猫は体内で産生することができません。
    そのため、餌からから補給する必要があります。
    タウリンが足りなくなると、目の障害や心臓病になる可能性があります。

しょうゆやわさびなどの味付けはNG

猫にマグロを与えるときは、醤油やわさびを付けて与えるのは避けましょう。
また、漬けやカルパッチョなど味が付いた物も与えないようにして下さい。


マグロを与える時には、そのままの状態で与えましょう。

猫にとってはマグロだけで十分!
醤油などが付いていると、塩分の摂り過ぎになってしまうので注意してください。


塩分の摂り過ぎは腎臓病の発症を引き起こす可能性があります。

マグロを与える場合は、猫の健康を損なわない様気を付けましょう。

参考:猫にマグロを与えるならいつから?


それでは、いつ頃からマグロを与えてもいいのでしょうか?


子猫のうちは、できるだけ子猫用の餌を与えましょう。
おやつやご褒美を与えたい場合は、猫用のおやつを与えるといいですね。


猫がまだ若い段階(6ヶ月~2歳頃)で与えてしまうと、食物アレルギーの発症率が高いため特に注意が必要です。


マグロを与え始めるのは1歳以上の大人になってから。

初めて与える時には、少量のみを与え嘔吐や下痢などのアレルギー症状が出ないか注意して観察してください。


※実は、魚肉アレルギーの猫は意外に多いのです。

初めてマグロを食べた後に嘔吐や下痢などの異常があれば、自己判断せずすぐにかかりつけの獣医の所へ連れて行きましょう。

参考:マグロに含まれる水銀の影響は?

マグロなど大きな魚の体内には、餌になる小魚の体内に含まれていた水銀が蓄積されます。


以前は「妊婦は食べない方がいい」という情報もありましたが、現在は厚生労働省からも「水銀濃度が高い魚介類を偏って多量に食べることは避け、水銀摂取量を減らすことで魚介のメリットを活かす」という妊婦への注意事項へ変更されています。

(参照:https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/suigin/dl/index-a.pdf)


マグロばかりを毎日大量に食べる、という食べ方をしなければ妊婦でも問題はなさそうですね。


猫の場合も同じ。ご褒美やおやつとして、少しだけ与える分には問題ありません。

マグロなど青魚の刺身は猫にとって注意すべき食べ物

与える量に気を付ければ、猫にマグロを与える事が出来ます。
では、何故魚を多く与えてはいけないのでしょうか?


それは、マグロ・イワシ・サンマなどの青魚を食べ過ぎると、様々な症状が引き起こされる危険性が高まるからなんです。
その他の魚では、ブリやカツオ等も注意が必要です。


ここでは、マグロを与える時に注意すべき病気について紹介します。

  • イエローファット(黄色脂肪病)
  • ヒスタミン中毒
  • チアミン(ビタミンB1)欠乏症
  • 寄生虫症

注意すべき病気①:イエローファット(黄色脂肪腫)


マグロに含まれているDHA・EPA(不飽和脂肪酸)の摂り過ぎにより引き起こされる代表的な病気が「イエローファット(黄色脂肪種)」
皮下脂肪が黄色く酸化し、炎症を起こしてしまう病気です。

(通常は白い脂肪が黄色く変色するため、この名前が付きました。)


症状

腹部や胸部の皮下脂肪が炎症を起こし、触るとしこりが認められます。
痛みが伴うため、歩き方がおかしくなったり腹部を触られるのを嫌がるようになり、重症化すると食欲も落ちます。


治療

すぐに魚を与えるのを辞め、キャットフードなど良質の食事に切り替えましょう。
脂肪の酸化を抑えるため、ビタミンEの投与を行う場合があります。


予防

魚を与えるのを辞め、キャットフード等バランスのいい食事を与えましょう。

注意すべき病気②:ヒスタミン中毒

ヒスタミン中毒とは、ヒスタミンと言う物質が含まれるマグロ等を食べた時に起こる食中毒の事です。

マグロの刺身などを常温で長時間放置しておくと、細菌と一緒にヒスタミンが増殖します。
特に暑い時期は注意が必要です。

症状

マグロ等を食べてから2~3時間以内に下痢や嘔吐など食中毒の症状の他、蕁麻疹が出る事もあります。

予防

マグロの刺身等はできるだけ新鮮な物を購入し、必ず冷蔵庫で保存しましょう。
冬場でも常温では保存しないようにして下さい。

※ヒスタミンは一度生成されてしまうと、熱を加えても冷凍しても消えることはありません!
「加熱して(冷凍して)与えれば大丈夫」と、新鮮ではない魚を猫に与えるのは絶対にやめましょう。

注意すべき病気③:チアミン(ビタミンB)欠乏症

チアミンとはビタミンB1の事。
ビタミンB1が不足し引き起こされる病気が「チアミン欠乏症」です。

良質の餌には含まれているため、猫用の餌を食べている様なら問題ありません。
しかし、マグロの刺身等を多く食べると、魚に含まれるチアミナーゼにより分解されてしまいチアミンが不足してしまうのです。

症状

食欲不振や吐き気から始まり、重度になるとふらつきなどの神経症状も出てきます。

予防

良質の餌を食べさせるようにしましょう。
チアミナーゼを多く含むマグロなどの生魚を与え過ぎない様にして下さい。

※猫用の缶詰を与えていても、チアミン欠乏症になった症例が報告されています。
猫用の餌を選ぶ時には、信頼できるメーカーの物を選ぶと安心ですね。

注意すべき病気④:寄生虫症(アニサキスなど)

生のマグロを猫に与える場合、寄生虫の心配もあります。

生魚に付いている寄生虫と言えば「アニサキス」が有名。
アニサキスは2~3㎝の白い紐のように見える寄生虫です。

その他、ヘキサプンクタータやクドアという寄生虫もいるので、生魚を与える時には注意が必要です。

症状

寄生虫による症状は、下痢や嘔吐などの食中毒症状です。
その他、特にアニサキスは強い腹痛を起こします。

マグロを食べた後で猫が部屋の隅で丸くなっていたり、呼吸が荒くなっている場合は強い腹痛が起こっている可能性があります。

予防

アニサキスは目で見ることが出来るので、マグロを与える時には小さく切って確認しましょう。
冷凍(-20度で24時間以上)にすると、寄生虫は死滅するので安心です。

参考:マグロ以外に注意すべき青魚や魚介類は?


これまでマグロについて見てきましたが、マグロ以外に猫に与えるのに注意が必要な魚介類があります。


知らずに与えてしまうと大変な事になる可能性があるため、ここでは注意すべき魚介類について紹介していきます。


青魚

アジ、サバ、イワシなどの青魚は、食べ過ぎるとイエローファット(黄色脂肪種)になってしまう危険性があります。

ご褒美やおやつとして少しだけ与えるなら問題はありませんが、食事代わりに毎日多量に与えるのは避けましょう。


貝類

アワビ、サザエなどの貝類は、食べた後に日光に当たると皮膚炎を起こしてしまう危険性があります。

特に体毛が薄い耳に炎症が起こる可能性が高くなるので、耳の縁に炎症が見られる場合は貝類を食べていないか確認しましょう。


イカ

昔から猫に与えてはいけないと言われているイカ。
イカに含まれるチアミナーゼが、ビタミンB1を分解し「チアミン欠乏症」になってしまう危険性があります。

刺身の中でも、特にイカは絶対に猫には与えないように気を付けて下さい。

猫の魚アレルギーにも注意が必要

猫は魚好きと思っている人も多いですが、実は魚肉アレルギーを持つ猫も多いのです。

初めてマグロ等の魚を猫に与える場合には、少量を与え少し様子を見てみましょう。
食べた後に一緒に過ごせない場合は、与える機会を待つ方が賢明です。
特に初めて魚を与える時には、食べた後に一緒に過ごせる時にして下さい。

ここでは、猫の魚アレルギーについて
  • アレルギーの症状と発症時の対応
  • 猫に多い食物アレルギー
について詳しく説明していきます。

食物アレルギーの症状と発症時の対応

猫が食物アレルギーを起こす場合、どのような症状があるのでしょうか?

また、発症してしまった場合、どのように対応すれば良いのでしょうか?


ここでは、食物アレルギーの症状と発症時の対応について詳しく説明していきます。


食物アレルギーの症状

食物アレルギーの場合、以下のような症状を引き起こします。

  • 嘔吐
  • 下痢
  • 発熱
  • 倦怠感
  • 痒み
  • かぶれ
  • 膿皮症

嘔吐や下痢の場合はすぐに気が付きますが、倦怠感や発熱は発見が遅れることが多いです。

初めての食物を食べた後は、変わった様子が無いかしばらく観察しましょう。


また、アレルギーの痒みで強く掻いてしまい、細菌が感染して膿皮症になってしまう症例もあります。
食べた後に体を頻繁に掻いている場合は、アレルギーによる痒みが原因かもしれません。


発症時の対応

初めての食物を食べた後で上記のような症状が出た場合には、自分で判断せずすぐに獣医の診察を受けましょう。


診察の際には、何をどの程度食べたのかを出来るだけ詳しく説明してください。

魚アレルギーの猫は意外に多い

日本では魚好きと思われている事が多い猫ですが、昔は砂漠に住む肉食動物で魚は食べていませんでした。

人と住むようになり、特に日本に住む猫は魚を食べる様になりましたが、実は魚アレルギーの猫が意外に多いのです。


特に多い食物アレルギーは牛肉や魚肉
その他、鶏肉・豚肉・牛乳・卵・小麦・大豆のアレルギーを持つ猫も多い事が分かっています。


「猫だから魚は好きだよね」と、安易にマグロ等の魚を与えるのは危険!

初めてマグロ等の魚を与える時には、食べた後にアレルギー症状が出ないか必ず確認して下さいね。


 ※猫の餌に入っている牛肉や魚の成分でアレルギー症状が出る猫もいます。
初めての餌を与える時にも、アレルギー症状がでないか様子を見守りましょう。

マグロの加工品(マグロ節・ツナ缶・フレークなど)は大丈夫?

   
では、私達が普段食べているマグロ節やツナ缶等の加工品は与えても大丈夫なのでしょうか?
ここでは、マグロの加工品について詳しく見ていきましょう。

  • マグロ節
    マグロ節とは、マグロを燻製にした物。
    人間用のマグロ節は猫には塩分が強過ぎる為、与えない方が良いでしょう。
    ペットショップ等には猫用のマグロ節が販売されています。
    マグロ節を与えたい場合は、猫用の物を与える様にしましょう。
  • ツナ缶
    人間用のツナ缶も塩分が強く、オリーブオイル等の油を使っている物もあります。
    塩分も油も猫には良くない為、与えない様にしましょう。
    ツナ缶も猫用の物が販売されています。
    ご褒美用などで与えたい場合は、猫用の物を与える様にして下さい。
  • マグロフレーク
    マグロの身をほぐしてフレーク状にした物。
    これも人間用は塩分が強過ぎるので、与えるのは避けましょう。
    マグロフレークも猫用の物が販売されている為、与えたい場合は猫用のマグロフレークを与えて下さいね。

猫にマグロの刺身をあげてもいい?のまとめ

猫にマグロを与えても良いのか、という点を中心に紹介してきましたがいかがでしたでしょうか?


最後に、今回紹介した内容をまとめておきますね。

  • 猫にマグロを与えても大丈夫 
  • 与え過ぎは厳禁!量に気をつけよう 
  • マグロには猫に良い栄養が豊富に含まれている 
  • マグロを与える場合は醤油やワサビ等は付けないで! 
  • マグロを与えるのは大人になってから 
  • 与えすぎると様々な病気になることも 
  • マグロ以外に注意するべき魚介類は? 
  • 猫の魚アレルギーに注意! 
  • マグロの加工品は猫用のものを与えよう


実は、昔は肉食で魚は食べていなかった猫たち。

海外で魚を食べる猫は少ないですが、日本の猫たちは魚好きが多い様です。
猫の食生活の嗜好も、住む場所によって変化しているのですね。


猫には、栄養バランスを考えて作られたキャットフードが一番。

でも、時々ご褒美やおやつとしてマグロを与えたくなったら、猫の健康を損なわないよう量に気を付けて与えるようにしてくださいね。