【獣医師監修】犬にスイカをあげても大丈夫?食べていい理由3つ・注意点4つのサムネイル画像

犬がスイカを欲しがった時、「食べていいのかな?」と悩んだ方への記事です。水分摂取などの夏バテ対策、利尿作用など、スイカは犬に良いとされる栄養素があります。しかし、嘔吐や下痢などのアレルギーに要注意。正しいスイカのあげ方を解説します。

記事監修者「星野 崇希」

この記事の監修者星野 崇希
一般社団法人愛玩動物健康管理協会 - CAHA

スイカは夏バテに効果的な食材ですので、正しい与え方で夏を楽しみましょう。

この記事の目次

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犬にスイカをあげても大丈夫?


記事モデル:まろたん


暑い夏になると、キンキンに冷やしたあまーいスイカが恋しくなりますよね。そんな時に足元にワンちゃんが駆け寄ってくる。


「犬ってスイカを食べていいのかな?」

「犬も夏バテしそうだし。でも下痢になるって聞くから心配。」と不安になりますよね。


スイカには利尿作用もあるため、心配する声が多くあるのも事実ですが、適切な量を与えればメリットもたくさんあります。しかし与えすぎはアレルギー症状を引き起こす恐れがあるため注意が必要です。


この記事では、

  • 犬がスイカを食べるメリット
  • 犬にスイカを食べさせる時の注意点
を主に解説していきます。


犬がスイカを食べるメリット・デメリットをまとめましたので見ていきましょう。

犬がスイカを食べるメリット3選

実は私たち人間と同じように、ただおいしいだけではなく、犬にとってもスイカを食べることはメリットがあります。


犬がスイカを食べることのメリットは以下の3つです。

  1. 腎臓が弱い犬に対して、利尿作用がある
  2. 栄養成分が豊富
  3. 夏バテ解消・水分補給に効果
おいしいスイカのうれしいメリットをそれぞれ見ていきましょう。

腎臓が弱い犬は利尿作用が良い

腎臓が弱いとどうなるの?



犬の中には人間と同じように腎臓が弱い子もいます。


腎臓とは胃や肝臓のうしろ側にある臓器で、一番の役割は尿を作ることです。人間と同じように犬も老廃物を尿とともに排泄しますが、腎臓が弱い場合にはそれがうまくできません。


そのため腎臓が弱いと、血中の老廃物をうまく排出することができずに毒素がたまってしまいます。すると尿毒症という病気になる危険性が発生します。


腎臓の働きが弱り、尿とともに老廃物をうまく排出することができないと体内に老廃物が溜まってしまい、下痢や嘔吐の症状の原因になります。


この状態が続くと、過剰な水分を排出してしまうので脱水症状を引き起こします。


そしてもっとも恐ろしいのが、腎臓病の発症は気づきにくいということです。


犬の場合は特に知らぬ間に毒素が蓄積され、気付いたら発症していたというケースが多くあるので普段から注意しておきましょう。


  • おしっこの回数や量が増えた
  • 水を飲む量が増えた
という場合には特に注意してください。


スイカを食べておしっこの回数を増やす

スイカは成分の約90%が水分でできています。つまり、手軽な水分補給にぴったりの食材ということです。

腎臓が弱い子はおしっこの回数も減ってしまうので、スイカをおやつ代わりに与えれば、おいしく水分補給が可能になります。そしてスイカには利尿作用があるため、自然とおしっこを促すことができます。

普通の水を多く飲んでくれる場合にはいいのですが、なかなか飲んでくれない場合もあります。
その原因として考えられるのは、味のない水を飲みたくないと思っていることです。
そのためあまいスイカでおいしく水分補給をさせてあげましょう。

水分をしっかり摂り、病気予防をしましょう。

しかし、腎不全の犬にとっては水分だけでなくカロリーも必要です。腎臓が弱い飼い犬にスイカを与えて安心するのではなく、全体的な栄養バランスにも気を遣ってあげてください。

健康に良いとされる栄養成分が多い

スイカの持つ栄養素

スイカには水分が多く含まれているので、栄養があまりないイメージがあるかもしれません。

しかしスイカには豊富な栄養素が含まれています。


特に多く含まれているのが、

  • カリウム
  • ビタミンA
  • ビタミンC
です(水分除く)。

参考:食品成分データベース(文部科学省)


それぞれの栄養素の役割を見ていきましょう。


疲労回復効果のカリウム

利尿作用があるカリウムには腎臓が弱い犬や腎臓病予防にも効果が期待できます。
そのほかにも疲労回復効果もあります。

それは利尿作用により、不要な塩分を尿とともに排出させるからです。

ただしスイカの食べすぎには要注意。カリウムの過剰摂取は高カリウム血症や下痢を引き起こします。

体調を見ながら少量ずつ与えるようにしましょう。

老化防止効果のビタミンA

脂溶性(脂に溶ける)ビタミンであるビタミンAには抗酸化作用があり、老化防止に役立ちます。犬はβ-カロテンからビタミンAを生成することができます。

皮膚や粘膜を健康な状態に保つ手助けする効果や、呼吸器系の手助けもしてくれます。また、表皮細胞の成長や皮脂の産生を調節してくれるので、フケの発生も抑えられます。

ビタミンAが不足すると毛ヅヤが悪くなってしまいます。

ただし食べ過ぎると、ビタミンA中毒を引き起こす可能性があるので気を付けましょう。
もしビタミンA中毒になってしまうと、肝臓の機能が衰えてしまったり、嘔吐をしてしまいます。

免疫力向上効果のビタミンC

抗酸化作用を持つビタミンCは、疲労回復や免疫力向上に役立ちます。
ただし、健康な犬は体内でビタミンCを作り出すことができるので、必須の栄養素とはいえません。

しかし油断は禁物です。犬が一日に必要とするビタミンCの量は、小型犬で500mg程度~大型犬で3000mg程度とされています。

それに対し、犬が体内で合成できるのは、1日で最大約60mgだと言われているので、気にしていないと不足してしまう可能性があります。

ビタミンCには免疫力向上効果があるので、不足してしまうと免疫力が下がってしまいます。
すると関節疾患の発生や、骨折する可能性が高まってしまうので気を付けましょう。

夏バテ解消・水分摂取に効果的

スイカで夏バテを予防しよう


スイカは約90%が水分でできているので、手軽に水分補給をすることができます。

特に暑い夏には犬も食欲が落ちてしまいます。


そんなときにおやつ代わりにスイカを与えることで、手軽に水分補給をさせることができます。

またスイカには豊富な栄養素も含まれていますので、夏バテ解消にも効果が期待できる食べ物なんです。


犬にスイカをあげる時の4大注意事項


わたしたち人間だけではなく、犬にとってもいいことがいっぱいのスイカ。これまでの情報を読むと、ついついあげてしまうかもしれません。


栄養価も高く、おやつにも最適なスイカですが注意事項もいくつかあります。


ここではスイカをあげるときの4つの注意点をご紹介します。ひとつずつ見ていきましょう。

スイカをあげすぎない(糖分の過剰摂取対策)

食べ過ぎは肥満のもと

スイカは可食部100g当たり37キロカロリーと低カロリーです。

そのため大量に摂取しなければ、糖分も特に気にする必要はありません。


しかし人間と同じくらいの量は犬にとっては多すぎるので、肥満の原因となってしまいます。

犬の体格に見合った量を与えてあげましょう。


犬も肥満になる?

スイカを大量に食べることで糖分を過剰摂取してしまうと、肥満になります。

これは人間も犬も同じですね。


犬は1歳の時から基本的に体重が変わらないといわれています。

そのため1歳の時と比べて体重が増えていたら肥満の可能性があります。


犬の肥満度をはかる方法として、BSC(ボディ・コンディション・スコア)というものがあります。

おもに肋骨と腰をさわって確かめていきます。スコアは5段階に分かれていて、どこに当てはまるかで体型の管理をできるようになります。


やり方は決して難しくないので、スキンシップと合わせて日ごろからおこなうようにしましょう。


参考:ペットライン BSC(ボディ・コンディション・スコア)


犬が肥満になるとどうなる?

肥満になってしまうと、呼吸器や循環器に影響を及ぼします。それだけでなく、四肢や腰にも負担がかかってしまうので歩行が困難になり、さらにほかの病気を併発するリスクもあります。


犬にとってもスイカはおいしい食べ物なので、一度味を知るとたくさん欲しがることがあります。


かわいいワンちゃんにはついつい欲しがるままにあげたくなってしまいますが、あげすぎには注意しましょう。

スイカの種や皮はあげない(消化不良対策)

種や皮はできる限り取り除こう

スイカの種の詳しい成分はわかっていませんが、老化を促進させる成分があると考えられています。

そのためできるだけ取り除いて与えるのが望ましいでしょう。


しかし全部の種を取り除くことはなかなか大変ですので、そこまで神経質にならなくても問題ありません。

よほど大量に食べてしまわなければ、不要物として排泄されます。


また皮に関しても種と同様に取り除くようにしましょう。スイカは皮に近いほうが栄養価が高いとの情報もありますが、外皮はとてもかたいため消化不良を引き起こしてしまいます。


チワワなどの小型犬であれば、中型犬や大型犬よりも気を付けるようにしましょう。


スイカを与える際には、皮を除いてから与えるようにしましょう。

常温であげる(下痢対策)

スイカは常温であげる

スイカは冷えていたほうがおいしいですよね。しかし、犬に与える際には、常温で与えるようにしてください。


冷えたスイカは犬の胃腸に負担になってしまいます。

犬もおなかが冷えると下痢や嘔吐を引き起こしてしまうので、できる限り常温で与えましょう。


下痢を起こしてしまうと脱水症状にもつながります。ただし、ぬるいスイカへの食いつきがあまりよくないときもあるので、そのようなときには常温より少しだけ冷やして与えるとよいでしょう。

初めてあげる時は少量から(嘔吐・下痢などのアレルギー対策)

初めてあげるときは、まずは一口分にする

スイカはウリ科の食べ物なので、アレルギーを持っていると嘔吐や下痢などを引き起こしてしまいます。


アレルギーの有無はわかりにくいので、初めて上げるときにはまずは一口にしましょう。

そのまま様子をみて、何も問題がないようであれば再度与えるようにします。


与える量ですが、体の大きさにあわせて15g~30gを目安にしてください。実際に準備するととても少なく感じますが、犬にとっては適量になります。


多く与えすぎると体に負担がかかったり、肥満になったりしてしまうので「少ないかな?」と思う程度で適量だと考えておきましょう。

犬にスイカを食べさせる量について

飼い犬にスイカを食べさせるとき、犬の体重を目安に与える量を調整してください。

犬の体重と1日に与えても良いスイカの量の目安は以下の通りです。

  • 3〜5kg:15g~20g
  • 5=10kg:30g~35g
  • 10〜15kg:50g~60g
  • 15〜20kg:70g~80g
  • 20kg以上:90g~100g
上記の量はあくまで目安ですので、愛犬の体調や普段の食事量に合わせて調整するようにしてあげてください。

また、スイカはあくまでおやつです。スイカだけでは栄養のバランスが偏ってしまいます。
スイカで犬がお腹いっぱいになってご飯を食べられなくなることがないように、スイカの与えすぎには十分注意してください。

まとめ:犬にスイカのあげる際の方法について

今回は「犬にスイカを与えていいの?」をテーマにスイカを食べることのメリット・デメリットを紹介してきました。


この記事のポイントは、以下のような点でした。

  • 水分補給、栄養補給が手軽にできる
  • 与えるときは種と皮を取り除く
  • なるべく常温で与える
  • 下痢や嘔吐、アレルギーに注意
暑い夏に食べるスイカはとてもおいしいもの。それはワンちゃんにとっても同じです。


あまくて水分の多いスイカは、手軽な水分補給や栄養摂取にもぴったり。

まずは少量ずつ反応を見ながら、大好きなワンちゃんと一緒においしいスイカを楽しみましょう。


今年の夏は、夏の風物詩をおすそわけしてみてはいかがでしょうか?