【獣医師監修】犬はもやしを食べても大丈夫?栄養素やダイエット効果についても解説のサムネイル画像

とても安価で栄養価の高いもやしは、家計の強い味方であるのと同時に犬にとっても有用な野菜です。うまく取り入れることで、ダイエット効果や水分補給が期待できます。この記事では、犬に効果的にもやしを食べさせるために、もやしの栄養素や適量、調理法などの情報を紹介します。

記事監修者「星野 崇希」

この記事の監修者星野 崇希
一般社団法人愛玩動物健康管理協会 - CAHA

食感を楽しめるので食事の飽き防止や、暑さの厳しい時期のトッピングとして与えると良いでしょう。

この記事の目次

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犬にもやしをあげても良いのか解説


記事モデル:くり(@kuri__patona)


低価格で家計に優しいだけじゃなく、ダイエットフードとしても優秀なもやし

家の冷蔵庫にも常備してるよ!という方もいらっしゃるのではないでしょうか。


そんなコスパ最強のもやしですが、犬が食べているイメージってあまりありませんよね。

実際に犬が食べても大丈夫なのでしょうか。


そこで今回の記事では

  • もやしは犬が食べても大丈夫な野菜なのか
  • もやしには犬にとって有効な栄養分があるのか
  • 犬に与える際の調理法と分量はどれぐらい?
  • もやしを与える際の注意点
以上のことを中心に解説していきます。


この記事を読んでいただければ、もやしの危険性や正しい与え方を理解し愛犬と食卓をもっと楽しめることでしょう。


是非最後までご覧になってください。

もやしは犬でも食べられる野菜



結論から言うと、犬がもやしを食べても問題はありません


もやしの成分には、犬の健康を害するようなものは含まれておりません。

それどころか、与え方さえ気を付ければ愛犬の健康を手助けするのに役立つとても優秀な野菜なのです。


かといって、嫌がるわんちゃんも中にはいますので無理矢理に食べさせることはやめてくだいね。


もやしの有効性や健康効果について、どのようなものがあるのか以下から詳しく見ていきましょう。

主食には向かないが栄養豊富なもやし

もやしにはさまざまな栄養素が含まれていますが

  • ビタミン
  • カリウムなどのミネラル
  • アミノ酸
  • 食物繊維
上記のものなどが含まれています。


参考:文部科学省「食品成分データベース」


成分だけを見ればとても魅力的ですよね。


しかしもやしは栄養分より水分量が勝っている食物なので、人間のように炒めたり茹でたり調理を施したうえで結構な量を摂取しなければそこまでの栄養効果は望めません


特に犬はもともと肉食の生き物で、肉を中心とするタンパク質を必要とします。

もし、そんな犬がもやしだけの生活をしてしまえばたちまち栄養不足になってしまうでしょう。


ですので、いつものフードにトッピングしたりおやつとして少量を補助的に与えるのがおおすすめです。

ダイエット効果も期待できる

もやしに含まれる水分量は約95%と、そのほとんどが水分です。  

(残りの5%はビタミンなどの栄養素)


くわえて食物繊維も含まれていますので、少量でも腹持ちが良い野菜なのです。

人間のダイエット同様、この効果は犬に対しても有効なのです。


体重の増加が気になるわんちゃんのフードのかさ増しに使えば、高いダイエット効果が期待できます。その反面、もやしを食べ過ぎることでお腹が膨れ肝心のフードを残してしまうこともあります。


そうなってしまうと栄養不足の原因になりかねません。

あくまで主食はドッグフードであることを忘れずに、もやしを与える際には分量に注意しましょう。

水分補給の補助として食べさせるのも効果的

その豊富な水分量から、水分補給の補助としてももやしは有効的です。


犬はもともと水が好きですが、老犬になるにつれて喉の渇きに鈍感になっていきます。

また、代謝が落ちたりすることでも飲水量が減ってくることがあります。


ですので、上のような加齢や体調不良によってうまく水分が摂取出来ない犬には特におすすめです。


また、もやしは一年中購入することが可能な野菜ですので夏場の熱中症対策や、冬の乾燥による水分不足対策にも良いでしょう。


しかし大量に食べてしまうと、かえってその水分の多さのせいで下痢を引き起こしてしまう恐れがあります。消化器官が弱っている犬や子犬は特に気を付けて与えるようにしましょう。

もやしの栄養は犬にも良い影響を与える


もやしは犬に対して無害なだけではありません。

上で紹介した栄養素のほとんどは、人間だけでなく犬の身体にとっても有用な成分ばかりです。


もやしだけでは犬の栄養全てを担うことは出来ませんが、補助的に与えることで高い健康効果が望めます。


それでは犬の身体にどのような影響があるのか、一つずつ詳しく見ていってみましょう。

もやしに含まれる栄養素①:食物繊維

もやしに含まれる食物繊維には、腸内環境を改善する効果が望めます。


犬は食物繊維を消化する機能はないのですが、その性質から便のかさを増やし腸内の毛玉などを絡め取って排出してくれる働きがあります。

ダイエットが必要なわんちゃんだけでなく、便秘気味のわんちゃんにももってこいな野菜といえるでしょう。


また、お通じが良くなると腸内の解毒作用から糖尿病大腸ガンなどの病気を予防する効果も期待できます。このことから、普段の健康管理にも役立ちます。

もやしに含まれる栄養素②:アミノ酸

もやしにはアミノ酸も多く含まれており、その中でもアスパラギン酸という成分が含まれています。


アスパラギン酸はとても優秀な栄養成分で、利尿作用があることから体内に有毒なアンモニアなどの成分を排出し、体内を綺麗に保ってくれます。

上の働きから、老化防止高いデトックス効果をもたらしてくれます。


その他にも疲れの原因となる乳酸を分解しやすくすることで、疲労回復を手助けしてくれる効果もあります。運動量が多いわんちゃんのスタミナ補助食としてももちろんですが、夏バテ予防にも有効です。


アスパラギン酸はもやしの中でも特に「大豆もやし」に豊富に含まれていますので、ご購入の際は是非チェックしてみてください。

もやしに含まれる栄養素③:ビタミンC

もやしに含まれるビタミンCにはさまざまな働きがあります。


ビタミンCは水溶性のビタミンで、血管を強化したり鉄分の吸収を助けたりすることで免疫力を高める効果があります。免疫力が上がると動脈硬化やガンなどの病気予防になります。


他にも被毛や皮膚の健康維持や、視力の低下予防などの効果もあります。

ビタミンCは愛犬の強い身体づくりに重要な栄養素といえるでしょう。


もともと犬には、ビタミンCを体内で生成する機能が備わっています。

しかし加齢によりこの機能はどんどん衰えていくので、老齢のわんちゃんには特に食べさせてあげると良いでしょう。


ストレス軽減効果もあるので、疲れ気味のわんちゃんのごはんにトッピングしてみるのもおすすめです。

もやしに含まれる栄養素④:カリウム

もやしにはカリウムやカルシウムなどのミネラル成分が含まれています。


カリウムは主に血圧を下げる効果が代表的ですが、それ以外にも心臓機能・筋肉機能の補助老廃物の排泄を促す機能などがあります。


さらに、体内の代謝を良くし脂肪を燃焼しやすくさせる効果もあります。

痩せやすい身体づくりに有効的なので、犬のダイエットを始める飼い主さんは是非お試しください。


犬がもやしを食べる事でカリウムの過剰摂取に陥ることはほぼありませんが、腎臓機能が低下していると上手くカリウムが排出できず高カリウム血症になる恐れがあります。


腎臓に疾患がある場合は、獣医師と相談してから与える方が安心ですね。

他にもさまざまな栄養がある

上記以外にもビタミンB1B2葉酸などのたくさんの成分が含まれています。


ビタミンB1は高い疲労効果があり、B2には皮膚や粘膜の保護をサポートしたりエネルギーの代謝を良くしてくれます。これにより、先程説明したアミノ酸やビタミンCとの相乗効果が期待できます。


葉酸には赤血球の形成を助ける働きがあり、妊娠中の胎児の正常な発育にも大きく役立ちます。特に妊娠中はエネルギーを消費しやすく疲れやすいので、オヤツがわりに与えるのも良いでしょう。

参考:水に晒し過ぎると栄養が流れ出てしまう

先程紹介しましたが、ビタミンCは水溶性のビタミンです。

ビタミンB1とB2もこれに含まれます。


水溶性ビタミンは文字通り水に溶けますので、水に晒し過ぎてしまうと外に溶け出てしまう性質があります。これ以外にもカリウムや葉酸も水に溶けやすい性質を持っています。


ですので、水洗いする際や茹でて与える際はその時間に注意しないと健康効果が薄れてしまう恐れがあります。茹でる際はさっと湯がく程度で十分でしょう。


茹ですぎてしまった場合でもせっかくの栄養素を無駄にしたくはありませんよね。

そんな時はもやしの茹で汁をフードに混ぜて与えると良いでしょう。


特に子犬や老齢のわんちゃんは茹で汁でフードをふやかすことで食べやすくなりますのでおすすめです。

犬にとって適切なもやしの量と調理法


犬が食べられるだけでなく、栄養価も高いもやし。


しかしたくさん食べれば良いわけでもなく、摂り過ぎる事でデメリットも見えてきます

また、調理法を間違えればせっかくの栄養分を無駄にしてしまう恐れもあります。


ここではわんちゃんに食べさせる際の適切な量と調理法について見ていきましょう。

犬にとってもやしは少量で十分

犬は肉食寄りの雑食動物ですが、やはり肉に比べ野菜は消化しにくい傾向にあります。


特にもやしは水分量が多く食物繊維が豊富なので、一度にたくさんの量を摂取してしまうと下痢や消化不良を引き起こしてしまいます


もやしを与える際は、あくまで少量に留めましょう。


少量といってもわんちゃんの体格や体質にも左右されますが、およそ10~20g程度を目安にすると良いでしょう。

加熱してから食べやすい大きさに刻む

切ってから茹でてももちろん大丈夫ですが、出来れば何らかの加熱調理後に包丁で細かく刻むようにしましょう。


理由としては、上でも説明した通りもやしには水溶性の栄養素が多く含まれています

調理前にもやしを切ってしまうことで、余計に栄養素が外に流出してしまう可能性があります。


より効果的にもやしの栄養を取り入れる為にも、是非この工程で与えることをおすすめします。


加えて、細かい方が犬も食べやすく体内への消化吸収もされやすくなるので、必ず細かく刻んでから与えるようにしましょう。

もやしは犬にとって消化しにくい食べ物

もやしは食物繊維を多く含んでいる事もあり、犬には消化しにくい野菜です。

特に未調理で生のもやしの場合や、切らずに長いまま与えると余計に消化不良を起こしやすくなります。


消化されなかった場合そのままの姿で便として出てくるので「便から白くて長い虫が出てきた!」と思って検査したらもやしだった、なんて事も珍しくありません。

上手く消化されないと、便が連なってしまったりする事で逆に便秘になってしまう恐れもあります。


加熱することで少しでも柔らかくすれば消化しやすくなります。

更に食べやすいよう細かく刻んであげれば、食べている最中に喉に引っかかる心配もありません。


愛犬の安全のためにもひと手間掛けてあげましょう。

参考:もやしに味付けは不要

もやしだけに限ったことではありませんが、犬に与える際の味付けは必要ありません


犬は人間と比べ、味を感じる細胞の「味蕾」の数が5分の1ほどしかありません。

そのかわりに犬の場合は嗅覚がすぐれている為、食材の匂いで美味しさを感じることが出来ます

ですので、人間と同じような味付けをしなくても特別問題ありません。


また、人間が使う調味料には犬にとって有害なものもあります

かえって犬の健康を害さないためにも、人間が食べる用のものと犬用のものとは別にしましょう。


ただ味付けに興味はなくても食材自体への好き嫌いはありますので、苦手そうな素振りを見せていたら無理に与えないようにしましょう。

犬にもやしをあげる際の注意点

ここまで犬がもやしを食べても問題ない事を説明してきましたが、それでも与える際には気を付けなければならない点がいくつかあります。


誤った与え方をする事で、かえってわんちゃんの健康を害してしまう可能性があります。


もやしを与える際の注意点を以下から詳しく解説していきます。

正しい与え方と対処法を知ったうえで、安全に美味しくもやしを食べさせてあげてくださいね。

もやしを上げる際の注意点①:生のもやしは避けたほうが無難

日本と海外ではもやしの衛生基準が異なり、日本国内ではもやしは加熱して食べることを前提に生産されています。

普段家庭の食卓に並ぶ際も、炒め物だったりスープの具材の一つだったりと加熱調理されていることがほとんどだと思います。


新鮮であれば生で与えても良いという意見もありますが、犬にとってもやしは消化されにくい食材のため下痢や嘔吐の原因になりかねません。

消化吸収の観点からみても、多少は茹でたり炒めたりして与えた方が良いでしょう。


もし、もやしの生の食感が好きなわんちゃんなのであれば熱湯を回しかけるだけでも良いでしょう。

愛犬の好みも考慮しながら、ひと手間加えて安全に食べさせてあげて下さい。

もやしを上げる際の注意点②:傷んだもやしは危険

もやしは他の野菜と比べても、とても腐りやすく痛むのが早い食べ物です。


特に夏場の暑い時期は、購入した日に調理して食べるのが良いとされています。

冷蔵庫に保管してももやしの根元には水分が付着していますし、もやし自体も水分量が多い食物なので長くはもちません。


シナシナに痛んだ状態で食べてしまうと、人間同様お腹を壊す原因となってしまいます。なるべく新鮮なものを与えるよう注意しましょう。


冷蔵庫で保管する際も、出来るだけチルドルームに入れて保管すると鮮度が長持ちします。チルドルームがない場合は野菜室ではなく、野菜室よりも保存温度が低い冷蔵室の方が良いでしょう。

もやしを上げる際の注意点③:ダイエットの一環であげる場合は量に注意

もやしは食物繊維が豊富なだけでなく、低カロリーで少量でもお腹が膨れるためわんちゃんのダイエットに最適です。ですが、もやしだけで満腹になってしまわないよう気を付けましょう。


基本的に犬はドッグフードと水があれば、一日に必要な栄養を賄うことが出来ます。

もしダイエット目的で主食をまるごともやしに変えてしまうと、たちまち栄養不足を起こしてしまいます


必ず普段のドッグフードに混ぜたり、上からトッピングしたりと補助的に与えるように注意しましょう。それでもフードを残してしまう場合は、更にもやしの量を減らしてください。

もやしを上げる際の注意点④:アレルギーに気をつけよう

もやし自体には有害な成分は含まれていませんが、犬によってはアレルギー反応を引き起こす事があります。


特にもやしは大豆類に分類されるため、大豆アレルギーのわんちゃんにはもやしを与えるのは避けた方が賢明です。


「うちの子がアレルギーかどうか分からない」という飼い主さんもいらっしゃると思います。

アレルギーの主な症状として、

  1. 嘔吐
  2. 下痢
  3. 皮膚の痒み
  4. 顔の周りや耳・目周辺の赤み

などの症状が見られます。


もやしを与えて少しでもこれらの症状が見られればすぐに与えるのを中止し、動物病院を受診してください。


初めて与える際は特に注意して、少量ずつ様子を見ながら与えるようにしましょう。

万が一の時に備えて、動物病院に相談が可能な時間帯だと尚良いでしょう。


これらの症状は一度食べて大丈夫だった場合でも2回目、3回目で発症することも少なくありません。少しでも異常を感じたら食べさせるのを止めてくださいね。


最近では動物病院でアレルゲン検査が出来る所もあるので、興味があればそちらもチェックしてみて下さい。

まとめ:犬にもやしをあげても良いのかについて

ここまで犬にもやしを与えても良いのか説明してきましたが、いかがだったでしょうか。


この記事のポイントは

  • もやしは犬でも食べられる野菜
  • もやしの栄養素は犬にも良い影響を与える
  • 犬のダイエットにも効果的
  • 犬にもやしを与える際は正しい量と調理法を守る
  • アレルギーが反応が出たら食べさせるのを止める
以上の点となります。


栄養価が高く、価格も安いので人間だけでなくわんちゃんにもメリットの多いもやし。

暑い夏の水分補給にも活躍してくれる反面、腐りやすいので管理には要注意です。


正しい与え方と用量を守って、愛犬と無理のないヘルシーライフを送りましょう。


MOFFMEにはこの他にもペットに関する記事が多数掲載されていますので、是非そちらも併せてご覧ください。