【獣医師監修】犬の風邪、ケンネルコフとは?原因や症状、治療法や予防法を解説!のサムネイル画像

愛犬の咳やくしゃみが止まらない?それ、もしかしたらケンネルコフかもしれません。犬伝染性気管気管支炎とも呼ばれるこの病、軽ければ自然治癒で済みますが、主に薬を投与することになります。今回はその症状や原因、治療法や治療費、予防法について解説します!

記事監修者「森下 浩志」

この記事の監修者森下 浩志
フィナンシャルプランナー

早稲田大学基幹理工部出身。すべてのペットのお金と健康にまつわる問題を解決したい、という強い思いからMOFFMEを立ち上げ。ファイナンシャルプランナー、損害保険(ペット保険を含む)の公的資格取得。獣医師団体などと連携をして、ペットのWEB健康診断ツールの開発も行う。

この記事の目次

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ケンネルコフとは?

ケンネルコフ…あまり聞き慣れない病名ですが「犬風邪」と言えば納得できるでしょうか。


しかしただの風邪だと思って甘く見ていてはいけません。


大変感染力が強く、感染した細菌によっては重篤化する怖い病気です。発見したら直ちに動物病院に連れていきましょう。


そこで今回「MOFFME」では、ケンネルコフについて、

  • ケンネルコフの症状、原因、予防法
  • ケンネルコフの治療法
  • ケンネルコフにかかりやすい犬種や年齢
  • ケンネルコフにまつわるペット保険事情

以上のことを中心に説明します。


この記事を読んでいただけたら、ケンネルコフが良く分かりますのでぜひ最後までご覧ください。


またMOFFMEでは、ペット保険のランキングについても詳しく解説しておりますので、そちらもぜひご覧ください。

「犬が引く風邪」ただし油断は禁物!


ケンネルコフは、多頭の犬が密集して飼われている場所で発生しやすい病気で、犬伝染性気管気管支炎です。ペットショップ、ペットホテル、ブリーダーの施設、個人宅での多頭飼いなど、犬が複数いる場所で発生・感染しやすくなります。


ウイルスが単独で感染するケースだけでなく、Bordetella bronchiseptica(ボルデテラ・ブロンキセプティカ)という病原菌に感染して体力が落ちているところに、マイコプラズマや犬ジステンパーウイルス、犬パラインフルエンザウイルスなどのウイルスに二次感染する形で症状が現れたりなど感染経路は様々です。


ワクチンを打っていない場合、犬ジステンパーウイルス、犬パラインフルエンザウイルスに感染するだけでは軽症ですみますが、他の細菌やウイルスと混合感染することで重症化することがあるので、症状を発見したら直ちに病院へ連れて行かないといけない病気です。


感染した犬が苦しいのはもちろん、とても感染力の強い病気ですので他の犬にも感染させてしまいます。二次被害を防ぎ、治療費の負担を増やさないためにも多頭飼いをしている場合には調子が悪そうな犬を見つけたらすぐに治療を受けさせてください。


ケンネルコフについての詳しい説明がドルフィンアニマルホスピタルという動物病院のサイトに記載されているので、ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。

ケンネルコフの症状!咳がすごい?

ケンネルコフ(犬伝染性気管気管支炎)の症状は以下のとおりです。

  • なにかを吐き出そうとしているような、短い乾いた咳
  • 熱がある
  • ぐったりと動かない
  • 食欲がない
  • いかにも苦しそうな呼吸をする

ケンネルコフの咳はかなり特徴的です。まるで吐き戻すような音にも聞こえます。ケンネルコフが進行するとこの咳を1日中するようになり、同時にいつもより体温が上がり、熱が出ているのがわかります。


ケンネルコフが重症化すると、動かなくなったり食べなくなったり、呼吸困難を起こすことがあります。


ケンネルコフの咳は吐きたそうにしているけど吐けないような特徴があります。もしそのような咳をしていたら、すぐに病院に連れて行きましょう。重症化するまで放置していてはいけません。

ケンネルコフの原因

ケンネルコフの原因は、ウイルスが単独の感染だけでなく、Bordetella bronchiseptica菌に感染して体力や免疫力が落ちているところに、病気を引き起こすウイルスや細菌が感染する二重感染で発症する場合もあります。


人間の呼吸器系の粘膜もそれほど強くありませんが、動物の呼吸器はさらに乾燥に弱いため、空気が乾燥してくる時期に感染拡大することが多いです。


密集して飼われている状態は犬にとっては不快なもので、ストレスが増して免疫力・抵抗力が落ちて感染しやすくなります。


ペットショップなど、犬のストレスが増している場所が感染場所となりやすいですが、普通にお散歩をしていてもケンネルコフの犬が近くにいれば簡単に感染します。

ケンネルコフの治療・手術方法!自然治癒やワクチン?

ケンネルコフの多くは手術になることはありません。内科的治療が中心となります。


治療法は以下の4つです。

  • インターフェロンの投与
  • 抗生物質の投与
  • 去痰剤や気管支拡張剤の投与
  • 鎮咳薬の投与(ネブライザーを使用する場合もあります)

症状や年齢、問診の内容などからケンネルコフが疑われる場合は、身体検査や聴診などは行いますが、血液検査やレントゲン検査などは行わずに治療的診断を行うことが多いです。治療に対する効果が出なかった場合にそれらの検査にすすみます。


インターフェロンは、ウイルスを不活化し自己免疫力をアップするという素晴らしい効果を発揮します。抗生物質は細菌感染に効果を発揮します。


咳がひどい場合は鎮咳薬の投与を行います。かなりひどい咳の場合は早く効果を出すためにネブライザーで薬剤を吸引させる場合もあります。


ネブライザーとは人間の喘息治療でも使われている機器で、薬剤を霧状にして鼻や喉の粘膜に直接浸透しやすくするものです。


多くのケンネルコフは1回~2回の通院で快方に向かいます。軽症の場合は自然治癒することもありますが、念の為病院で検査を受けて処置をしてもらうことをおすすめします。


また、犬ジステンパーウイルス、犬パラインフルエンザウイルス、アデノウイルス2型感染は、混合ワクチンで防ぐことができますので必ず受けるようにしましょう。

どうやって検査する?診断方法を紹介

それでは、ケンネルコフが疑われる場合、病院に行くとどのような検査が行われるのでしょうか。


  • 問診

いつから咳をしているのか、元気がないのはいつからか、他の犬と触れる機会はなかったか、混合ワクチンを接種しているかなどを確認されるはずですので、答えられるようにしておきましょう。


  • 必要に応じて、レントゲン検査

気管の状態が悪そうであったり、菌が肺に達している可能性がある場合にはレントゲン検査をおこなうかもしれません。


  • 必要に応じて、ウイルスや細菌、マイコプラズマの同定検査

薬が効かない場合には同定検査を行うことが多いです。

ケンネルコフの予防法

先ほどもお話しましたが、ケンネルコフの予防で一番効果的なものは「混合ワクチンを接種する」ことです。


混合ワクチンで完全にケンネルコフを防ぐことはできません。ケンネルコフを引き起こす菌は無数にあるため、ワクチンではすべてを網羅することはできないからです。


しかし混合ワクチンには、感染すると特定のウイルスに対して免疫力をつけることができます


混合ワクチンは必ず受けてもらうとして、普段の生活で出来るだけケンネルコフに感染させないためには、

  • 咳をしている犬には近付かない
  • 犬が集まる場所に行くのを極力避ける
  • ストレスを軽減するような生活をして抵抗力を落とさない

以上のような生活を送ればケンネルコフを防げるかも知れませんが、犬は散歩などで頻繁に外に出るため、感染を完全に防ぐのは難しいと思われます。


やはり、飼い主さんが毎日注意深く犬を観察して、体調の変化をしっかり把握しておくことがケンネルコフの重症化を避ける一番の予防法でしょう。

感染するケンネルコフは人にうつるのか

ペットの犬がひどい咳をしていたら、飼い主にもうつるのかどうか、心配になります。


ケンネルコフは、「ケンネル=犬小屋、犬舎。コフ=咳」という意味があり、犬の飼育所での咳の病気とされています。人間にはうつりません


人にうつらないという点では安心ですが、ペットが苦しんでいたらかわいそうですし、多頭飼いをしていたら、犬同士ではとても感染力が強いため、隔離しなくてはなりません。


ペットショップで子犬を買った場合、家に来た時点ですでに感染しており、しばらくしてから発症するということも考えられますので、注意が必要です。

ケンネルコフにかかりやすい犬種、年齢は?


これまで、ケンネルコフについて紹介してきました。ケンネルコフは他の犬からうつるかもしれないと思うと、ドッグランなども集まる場所などに愛犬をつれていくのは心配になります。


ケンネルコフにかかりやすい犬種や年齢などがあれば、犬を飼ってる方なら誰でも知りたいと思います。


ケンネルコフにかかりやすい犬種や年齢などはあるのでしょうか?これから順番に見ていきますので、一緒に確認しましょう。

ケンネルコフにかかりやすい犬種

さて、ケンネルコフについてかかりやすい犬種というのはあるのでしょうか。


ケンネルコフにかかりやすい犬種というものはありません。


ただ、子犬の集まる場所は注意しなければなりません。しかし、ケンネルコフという病気はケンネルコフだけの罹患であれば、軽症で済むことが多いので、必要以上に恐れて、外出しないなど犬にとってはストレスがかかることはやめましょう。

ケンネルコフにかかりやすい年齢

ケンネルコフにかかりやすい好発年齢は、6ヶ月未満の幼犬か高齢犬に偏る傾向があります。


免疫力・抵抗力が弱い時期が一番感染率が高くなります。変な咳をしていたら、急いで病院に連れて行きましょう。


成犬の元気な時期でも、寒い季節や罹患している犬に接触すると感染してしまう可能性があるので、どの年齢でも注意は必要です。

ケンネルコフはペット保険で補償される?治療費は高いの?


犬のケンネルコフはペット保険で補償されるのでしょうか。


また犬がケンネルコフにかかって病院に連れて行くと、一体どのくらいの治療費がかかるのでしょう?


治療費は病院の料金体系によって変わってきますので概ねの金額になりますが、ケンネルコフの治療費の一例は以下のようになります。

治療費用
問診・診察700円
検査3,000円
症状を抑えるための注射や投薬3,000円
処方薬2,000円
合計8,700円
もし多頭飼いをされているなら、他の犬も感染している可能性があるので順番に治療が必要になるかも知れません。そうなった場合、頭数✕8,700円となりますのでかなりの出費となります。

このような思わぬ痛い出費に大いに助かるのがペット保険です。多頭飼いの場合は、なおさら補償はあったほうが安心です。

ケンネルコフはペット保険会社ならほぼどこでも補償してくれますので、保険料の安い手頃なプランで加入しておくことをおすすめします。

ただし、ペット保険の加入条件は「規定する既往歴がなく、現在健康であること」ですので、加入時にすでにケンネルコフにかかっている場合は加入は難しくなります。

そしてペット保険には、加入後すぐには補償は受けられない待機期間(約1ヶ月)というものが設けられているところがほとんどですので、今かかっているケンネルコフはその間に治ってしまいます。

ただ、ペットショップ専門の商品には待機期間がないものもあります。ケンネルコフは特に6カ月齢未満でかかりやすく、ペットショップから家に連れて帰ってすぐは体調を崩しやすいので、その期間の治療費を補償するためにも、引き取るときに入っておくと安心ですね。

もし今ケンネルコフの疑いがあるのでしたら、それはなんとか自費で治してしまって、次の病気に備えるためにペット保険を検討されるとよいでしょう。
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まとめ:ケンネルコフについて

これまで、ケンネルコフ(犬伝染性気管気管支炎)について紹介しました。


この記事のポイントは

  • ケンネルコフの症状は咳が特徴
  • ケンネルコフの原因は免疫力、抵抗力の低下
  • ケンネルコフの治療方法は手術はなく主に内科的治療
  • ケンネルコフの診察方法は問診、レントゲン検査ウイルスや細菌、マイコプラズマの同定検査
  • ケンネルコフにかかりやすい犬種はないが6ヶ月未満の幼犬か高齢犬に多い
  • ケンネルコフはペット保険で補償できるので加入しておくのがおすすめ

以上です。


ケンネルコフの予防として、混合ワクチンは毎年打つことを推奨されていますが、3年に1回が一般的です。犬の集まる場所に行く機会がある犬はもちろん、お散歩だけの場合でも予防接種は大切なので忘れず打ちましょう。


MOFFMEでは他にもペット保険に関する記事を多数掲載していますので、ぜひ他の記事もお読みください。