【獣医師監修】犬の肺水腫とは?初期症状の咳、嘔吐や吐血は要注意!肺水腫を解説!のサムネイル画像

本記事では犬の肺水腫について紹介をしています。死亡に至ることもある肺水腫の咳や嘔吐、吐血の症状や原因、利尿剤での治療、手術で治るのか、治療費に保険が適用されるのかを紹介しています。犬にとって肺水腫は心臓病の中で発症率一位のため常に備えておく必要があります。

記事監修者「森下 浩志」

この記事の監修者森下 浩志
フィナンシャルプランナー

早稲田大学基幹理工部出身。すべてのペットのお金と健康にまつわる問題を解決したい、という強い思いからMOFFMEを立ち上げ。ファイナンシャルプランナー、損害保険(ペット保険を含む)の公的資格取得。獣医師団体などと連携をして、ペットのWEB健康診断ツールの開発も行う。

この記事の目次

目次を閉じる

犬の肺水腫とは?

犬の肺水腫は最悪死に至る病気であり、その発症を危惧する飼い主さんもいらっしゃることでしょう。


愛犬が肺水腫を発症したら、早い段階で十分な治療を受けさせ、完治してもらいたいですよね。しかし、犬の肺水腫の原因や治療法・予防法を皆さんご存知でしょうか。犬の肺水腫の病気の内容を知っていれば、いざというとき慌てずに対処ができます。


そこで今回「MOFFME」では、「犬の肺水腫の特徴と、その注意点」について

  • そもそも肺水腫とは?
  • 肺水腫に気を付けるべき犬種・年齢
  • 治療費はペット保険で賄えるか?その注意点は?
以上のことを中心に解説していきます。

この記事を読めば、犬の肺水腫の原因とその対処法がよくわかり、犬の肺水腫を未然に防ぐ方法もよくおわかりになると思います。ぜひ、最後までご覧ください。

またMOFFMEでは、ペット保険のランキングについても詳しく解説しておりますので、そちらもぜひご覧ください。

肺に水が溜まる病気です


肺水腫
とは、肺に水分が溜まり呼吸が難しくなり、呼吸困難になる病気です。最悪の場合は死に至ります。愛犬の生死に関係する病気なので、飼い主さんは大変不安になる病気と言えるでしょう。


こちらでは、

  • 犬の肺水腫はこんな症状に要注意!
  • 犬の肺水腫は何が原因?
  • 肺水腫の治療法
  • 肺水腫の予防方法
  • 重傷化はまずい!
について解説します。

犬の肺水腫の症状は咳?嘔吐や吐血には要注意!

肺に水が溜まるわけなので、「呼吸に異常が起きるのでは?」と思う飼い主さんもいることでしょう。まさしくその通りなのですが、それだけではありません。


次の症状が確認できるならば、動物病院の医師に診察してもらいましょう。

  • 開口呼吸が目立ち呼吸数が増加
  • 呼吸が速く、咳が頻繁に出る
  • 歯茎や舌が白または紫色に変色
  • 吐血することがある
開口呼吸や呼吸数が増加するのは、激しい運動をした場合でも同様と言えます。しかし、舌や歯茎が紫色に変色するのは、チアノーゼの状態にあることを意味します。

チアノーゼは血液中の酸素が欠乏していることで起こります。この状態を確認したら、まず肺に異常があるとみて間違いないでしょう。

肺水腫についてJASMINEどうぶつ循環器病センターのサイトで詳しく解説されているので、一度確認してみてはいかがでしょうか。

犬の肺水腫の原因

「肺水腫になるからには、何か大きな病気を患っているのでは?」と、飼い主さんも心配ですよね。愛犬が肺水腫になってしまう原因は病気だけと限りません。事故が原因となる場合も十分想定されます。


主に次のような原因が考えられます。

  • 心原性肺水腫:心疾患により左心不全になり、液体が肺に過剰に貯留する症状。
  • 非心原性肺水腫:何らかの事故と術後や発作後、肺腫瘍や肺炎との併発で肺の血管透過性が亢進することにより、呼吸が難しくなった症状。
心臓病として注意すべき症状に僧帽弁閉鎖不全症拡張型心筋症があります。僧帽弁閉鎖不全症とは、左心室から全身に送り出されるはずの血液が左心房に逆流してしまう疾患です。

拡張型心筋症とは、心室が広がって血液を送り出すポンプの力が減少し、心不全の状態となる症状を言います。特に心原性肺水腫は重篤な事態へ悪化する場合が多いです。

速やかに医師の指示のもと、適切な治療や救急管理が必要となります。一方、非心原性肺水腫は軽症から重症まで様々で、治療を行うか慎重に検討する必要があります。

犬の肺水腫の治療法は利尿剤?手術できる?

「命の危険があるし、大きな手術になるのでは?」と、不安な飼い主さんがいるかもしれません。


肺水腫は、外科手術で肺から水分を取り除くのではなく、利尿剤を投与して対応します。とにかく、肺に溜まった水分を体外へ排出させることが大切です。


その後は、心原性肺水腫か非心原性肺水腫かで治療が異なります。心原性肺水腫なら注射薬・内服薬で血液量を調節し、心臓の負担を軽減させます。


また、酸素室を利用し、高濃度の酸素を愛犬へ供給します。この酸素を十分体内に取り入れる方法で、呼吸を楽にさせます。


一方、非心原性肺水腫なら、まずは原疾患の治療と酸素室での管理がなされます。

犬の肺水腫の予防方法

愛犬が肺水腫にならないよう、予防法があれば早めに実践したい飼い主さんもいると思います。


しかし、肺水腫の場合は残念ながら、これといって効果的な予防法はないのが現状です。愛犬を定期的に検診して、状態を医師にみてもらうことが大切です。


また、首が過剰に閉まる首輪は使用しない等、肺や心臓に負担がかからない工夫を行いましょう。

補足:肺水腫によって死亡する可能性がある!

肺水腫の症状は心臓病の他、肺炎であるとか熱射病等、心臓の疾患とは関係ないケースもあります。


そのため、治療が遅れると重症化し、死亡に至るケースもあります。原因となる病気を突き止め、早期治療に努めることが愛犬の命を守る効果的な方法です。


愛犬の状態をまめに確認し、異常に呼吸が荒くなっている時は、速やかに医師の診察を受けましょう。

肺水腫にかかりやすい犬種や年齢は?


肺水腫にかかりやすいのは、いったいどんな犬種でしょう?一見すると、体格が大きく、心臓に負荷がかかりそうな大型犬をイメージするかもしれませんね。


こちらでは

  • 肺水腫に気を付けるべきは小型犬?
  • 肺水腫に気を付けるべき年齢は意外にも
について解説します。

肺水腫にかかりやすい犬種

肺水腫に気を付けなければいけない犬種は、意外にも小型犬です。


主に次のような小型犬があげられます。

  • ミニチュアダックスフンド
  • チワワ
  • トイ・プードル
  • ヨークシャー・テリア
心疾患になりやすいので小型犬で多いです。

できるだけ首や心臓に負荷をかけないようにしましょう。

肺水腫にかかりやすい年齢

肺水腫を気を付けるべき年齢は、心臓の疾患のある犬なら犬種・年齢を問わずそのリスクがあります。


また、心臓の衰えが目立つシニア犬には、検診を定期に行ってあげることが大切です。一方、実は子犬も肺水腫には注意しなければいけません。


発生は稀ですが、先天性疾患の悪化の場合に非心原性肺水腫にかかることがあります。

犬の肺水腫の治療費はペット保険で補償される?


犬の肺水腫の治療費はどれくらいなのでしょうか。

またペット保険で補償されるのかも気になりますよね。


肺水腫の治療費

事例をあげて治療費の内訳を見てみましょう。

(例)小型犬(チワワ・7歳)、通院1日

  • 診察:800円
  • 血液検査:5,000円
  • 胸部レントゲン検査:6,000円
  • 注射:1,500円
  • 合計:13,300円
手術を行わないため、大きな出費というわけではないですが通院1日分の料金です。通院回数が増えれば全額自己負担になるので、負担は大きくなっていきます。負担の拡大を防ぐ何らかの対策が必要です。

ペット保険で備えを!

費用の心配をせず、愛犬に十分な治療を受けさせるため、ペット保険の加入を検討しましょう。ペット保険の補償金額は、原則として治療費の50%~70%に補償が下ります。


月払保険料は事例の小型犬(チワワ)の場合、年齢等も影響しますが1,000円~3,500円程度です。肺水腫は深刻な病気に発展するため、ほとんどのペット保険で補償対象です。


ペット保険の注意点

ペット保険へ加入する場合、愛犬が病気となる前に保険申込を行い、備えておくことが大切です。


心臓病や肺気腫等を既に患っていると、保険会社から引き受けを拒否されることがあります。ただし、保険会社の中には、愛犬に持病や病歴があっても、条件付きで加入できる場合があります。


その条件には「特定疾病不担保」「部位不担保」があります。特定疾病不担保とは、特定の疾病(例えば心臓病、肺炎等)やケガを補償対象外とする条件です。部位不担保とは、特定の臓器(心臓や肺等)を補償対象外とする条件です。


動物健康保険証

保険を申し込み、無事に審査が通ってペット保険へ加入できれば、「動物健康保険証」が送付されます。


動物健康保険証は、まさしく愛犬ための保険証です。この健康保険証を動物病院の窓口へ提示すれば、保険が適用され5割または3割自己負担で済みます。ただし、動物病院の中には、保険会社の交付する健康保険証に未対応の病院もあります。


保険金の請求をする場合

こちらでは、保険証対応病院と保険証未対応病院に分けて解説します。


〇保険証対応病院で治療した場合

保険証に対応している病院なら手続きも簡単です。


次のような流れとなります。

  1. 動物病院へ愛犬と通院し、動物健康保険証も持参する
  2. 愛犬の検査・治療
  3. 動物病院の窓口で、自己負担分の料金を払う

〇保険証未対応病院で治療した場合

保険証未対応の病院なら手続きにやや手間がかかります。


次のような流れとなります。

  1. 動物病院で愛犬を検査・治療
  2. 動物病院の窓口で、自己負担分全額の料金を払う
  3. 保険会社へ保険金請求を行う旨を連絡
  4. 保険会社から保険金請求書が自宅に送付される
  5. 保険金請求書へ必要事項を記載
  6. 保険金請求書・領収証等を揃え提出
  7. 保険会社が書類を受理し、審査
  8. 支払条件に合致すれば、保険金が下りる

窓口で自己負担分を支払うだけの保険証対応病院よりは、保険金の受け取りが遅くなります。書類の提出からご自分の指定口座へ保険金が振り込まれるまで、だいたい1ヶ月が目安です。

まとめ:犬の肺水腫について

犬の肺水腫の特徴と、その注意点について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。


今回の記事のポイントは

  • 犬の肺水腫とは、肺に液体が溜まり呼吸困難となる病気
  • 犬の肺水腫の原因には、心原性肺水腫と非心原性肺水腫がある
  • 肺水腫には利尿剤を投与して対応し、肺に溜まった水分を体外へ排出させる
  • 心原性肺水腫の場合、注射薬・内服薬で血液量を調節、酸素室も利用する治療を行う
  • 非心原性肺水腫の場合、基本的に炎症を抑制する内服薬を投与し治療する
  • 犬の肺水腫には、これといって効果的な予防法はないのが現状
  • 肺水腫にかかりやすい犬種は小型犬が多い
  • 肺水腫にかかりやすい年齢は、シニア犬が多い
  • ほとんどのペット保険で肺水腫は補償されるが、健康な時に加入しておくことが必要
でした。

肺水腫には効果的な予防法は無いので、愛犬の定期的な検診を行いましょう。また、頸部を過剰に圧迫する首輪の使用は控え、事故を未然に防ぐことが大切です。

MOFFMEでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧ください。