【獣医師監修】犬の回虫症とは?幼犬と成犬の症状の違いや原因、駆除期間など解説!のサムネイル画像

犬の回虫症は母犬と子犬間の母子感染や糞便中に含まれる虫卵が原因でうつる可能性が高まり、成犬の中では成虫にならず、吐くなどの症状があります。有効な駆除期間中に回虫を駆除することで回虫症は防ぐことができます。主な症状や原因、駆虫薬による治療法を解説します。

記事監修者「森下 浩志」

この記事の監修者森下 浩志
フィナンシャルプランナー

早稲田大学基幹理工部出身。すべてのペットのお金と健康にまつわる問題を解決したい、という強い思いからMOFFMEを立ち上げ。ファイナンシャルプランナー、損害保険(ペット保険を含む)の公的資格取得。獣医師団体などと連携をして、ペットのWEB健康診断ツールの開発も行う。

この記事の目次

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犬の回虫症とは?

皆さんは「回虫症」という病気をご存知でしょうか?


犬の回虫症とは、母犬と子犬間の母子感染や糞便中に含まれる犬回虫が原因となる疾患です。


犬回虫症は、犬だけでなく人にうつる場合もあり、幼虫移行症とよばれるさまざまな障害を引き起こす恐ろしい病気です。


そこで今回「MOFFME」では、犬の回虫症について

  • 犬の回虫症の症状や原因、治療・手術方法、予防方法
  • 回虫症にかかりやすい犬種や年齢
  • ペット保険で犬の回虫症は補償対象に入るのか?

以上のことを中心にご説明していきます。


この記事を読んでいただければ、犬の回虫症についての理解が深まり、大切な愛犬や家族を回虫症から守ることができます。


ぜひ、最後までご覧ください。


またMOFFMEでは、ペット保険のランキングについても詳しく解説しておりますので、そちらもぜひご覧ください。

犬回虫という寄生虫によって引き起こされる病気


回虫症とは、犬回虫という寄生虫によって引き起こされる病気です。


感染した母犬から子犬に感染する母子感染や、糞便中に含まれる虫卵が原因で感染します。


また、犬回虫に感染している犬の糞便中に排出された虫卵が、傷口や口から体内に侵入し、人間にうつる場合もあります。


人に犬の回虫が誤って侵入した場合、成虫にまで発育することはできません。


幼虫のまま体内を移行し、内臓や眼などに侵入して、幼虫移行症とよばれるさまざまな障害を引き起こします。

犬の回虫症の症状は?成犬の場合は無症状が多いので注意!

犬が犬回虫に感染した場合、症状が現れない「不顕性感染」がほとんどです。


犬は成長するにつれて犬回虫への抵抗性が増すので、生後6ヵ月以内の幼犬が回虫症を発症しやすくなります。


幼犬が感染した場合は、下記のような症状が見られます。

  • お腹の異常なふくれ
  • 吐く息が甘い
  • 異嗜(食べ物ではないものを食べること)
  • 元気がない
  • 発育不良
  • 体重が減る、痩せる
  • 貧血
  • 皮膚のたるみ(皮膚弛緩)
  • 毛づやの悪化
  • 食欲不振
  • 便秘
  • 下痢
  • 腹痛
  • 嘔吐

通常、犬回虫の成虫は消化管内に寄生します。基本的に犬回虫は肺に寄生することはありませんが、気管型移行と呼ばれる幼虫の生活環の中で、肺を通過する際に肺炎を引き起こし最悪の場合命を落としてしまう可能性もある危険な病気です。


回虫の卵は顕微鏡を使用しないと見ることはできませんが、成虫が糞中に排泄されたときに飼い主様が気付くことが多いようです。


虫卵の卵殻は表面がでこぼことしていて、厚いたんぱく膜と呼ばれるものがみられることが特徴です。


成虫の大きさは性別によっても異なりますが、4~18cmの白く細長い寄生虫です。


成犬は感染しても無症状であることが多いため、感染した母犬から子犬に感染する「母子感染」の場合、気付かないうちに産まれてくる子犬に感染してしまっているというケースもあります。


そのため、母犬に異常がなかったとしても、念のため子犬には早めに検査を受けさせてあげることをおすすめします。


犬回虫は、犬だけでなく人間にも感染します。


人間が感染すると、下記のような症状が見られます。

  • 発熱
  • 全身の倦怠感
  • 喘鳴(ぜーぜー)
  • 視力・視野障害

回虫症は、犬もその家族も注意する必要がある恐ろしい病気です。


成犬では症状が出にくい性質のため、知らないうちに他の犬や人間に感染してしまう場合があるので、愛犬の定期健診や、犬と触れ合った後の手洗いうがい等を徹底しましょう。

犬の回虫症の原因

犬における犬回虫の感染経路は、主に下記の2つです。

  • 経口感染
  • 母子感染(経乳感染・経胎盤感染)

それぞれの原因について、詳しく見ていきましょう。


経口感染

散歩中に、糞便中の虫卵が草やごみに付着し、それを口にしてしまったり、それを食べた小動物を食べてしまうことで、間接的に虫卵を取り込んでしまうケースがあります。


リードをせずに散歩をすると、飼い主の目が届かないところで、別の動物の糞便のにおいを嗅いだり、口にしてしまったりする場合があります。


便だけでなく草などから感染する可能性もあるので、注意が必要です。


母子感染(経乳感染・経胎盤感染)

犬回虫に感染した母犬から、子犬に感染するルートです。


感染した母犬の胎盤を経由して感染したり、母乳を口にして感染したりするケースがあります。 


成犬は感染しても無症状であることが多い、母犬に異常がないからといって子犬も大丈夫とは限りません。 


知らないうちに、産まれてきた子犬たちが感染しているケースも多いので、母犬の感染有無や子犬の症状有無に関わらず、検査や回虫駆除することをおすすめします。

犬の回虫症の治療・手術方法

もしも愛犬が回虫症になってしまったときは駆虫薬を投与します。


基本的には駆虫薬の投与のみで治療を行うため、入院や手術まで行うケースはほとんどありません。


1回の治療では駆虫されないこともあるので、必要であれば複数回にわたって、検査や駆虫薬の投与が行われます。


また、嘔吐や下痢などの症状がある場合には、下痢止めや吐き気止め、脱水症状が起きている場合には輸液などの対症治療も行われます。


下記は、回虫症の治療費の一例です。

  • 治療期間:3週間
  • 通院回数:2回
  • 合計治療費用:2,866円
  • 1通院当たりの治療費例:1,000~1,900円(診察料、糞便検査、内用薬) 

回虫症の治療は、1回で済むとは限りません。


通院が複数回にわたることもあれば、回虫症以外の症状を治療する必要も出てきます。 


場合によっては、治療費用が高額になる場合もありますが、完治するまできちんと通院しないと重症化してしまいますので注意しましょう。

駆虫薬で犬の回虫症を予防する

回虫症は、特に子犬がかかりやすいといわれているので、症状がなくても一度糞便検査を行うことをおすすめします。


また、母子感染(特に経胎盤感染)した場合は、生後3週目から糞便中に虫卵が排泄されるので、すべての犬に対して生後3週齢までに駆虫薬投与を開始することで、回虫症を予防することができます。


具体的には、3ヵ月齢までは2週間ごとに再投与を行い、3~6ヵ月齢では毎月、その後も定期的に駆虫することでより回虫症を予防できます。

回虫症にかかりやすい犬種や年齢は?


ここまで犬回虫に感染した時の症状や原因などを説明してきましたが、回虫症にかかりやすい犬種は年齢があるのかも気になりますよね。


ある病気にかかりやすい犬種だと、ペット保険の補償対象外になる場合もあります。


ペット保険を選ぶにあたって、ご自分のペットがかかりやすい病気を把握しておくことはとても大切です。


回虫症にかかりやすい犬種、かかりやすい年齢について、それぞれご紹介します。

回虫症にかかりやすい犬種

回虫症にかかりやすい犬種は、特に報告されていません。


しかし、だからといって「じゃあ、うちの子は大丈夫!」と安心するのは間違いです。


かかりやすい犬種が特にないということは、どの犬種でもかかる可能性が十分にあるということです。


定期的な検診や犬と触れ合った後の手洗い等を徹底して、感染が拡大しないように注意しましょう。

回虫症にかかりやすい年齢

先述した通り、回虫症は特に子犬がかかりやすくなっています


犬の場合、年齢が上がるにつれて回虫への抵抗性が増すので、6ヵ月以内(特に2~3ヵ月)の子犬が回虫症にかかりやすいです。


子犬が産まれたり、子犬を譲り受けたときは、回虫症の症状の有無に関わらず、検便と駆虫を行いましょう。


生後3週齢までに駆虫薬を投与し始めることで、回虫症の予防や感染拡大の予防につながります。

犬の回虫症はペット保険で補償される?

犬の回虫症はペット保険で補償されるのでしょうか。


結論から言いますと、回虫症はほとんどのペット保険で補償されますので、もしものときでも費用を気にせず治療に専念できます。  


回虫症の治療は完治までに長引く場合もあり、治療費が高額になる場合があります。


通院してもなかなか治らず、治療費がどんどん高くなるからといって、途中で治療を断念してしまうと、命を落としかねません。


高額な費用のせいで治療を断念してしまわないためにも、ペット保険に加入しておくことをおすすめします。


また、回虫症を患っている状態でも、特定傷病補償対象外特約などを付帯することでペット保険への加入できる場合もあります。


まずは加入を検討する際に保険会社に問い合わせたり、補償内容をしっかりと比較して、ご自分のペットに適した保険を選ぶようにしてください。

まとめ:犬の回虫症について

犬の回虫症についてご説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。


この記事のポイントは、

  • 犬の回虫症は成犬の場合、無症状であることが多いため注意が必要である
  • 回虫症にかかりやすい犬種は特にないが、生後6カ月以内の幼犬はかかりやすい
  • 回虫症は、ほとんどのペット保険で補償される

でした。


回虫症は症状が出にくい病気なので、発見が遅れる場合もある恐ろしい病気です。


また、犬から人間に感染する場合もあるので、飼い主やご家族も注意が必要です。


回虫症にかかってしまうと、完治までに駆虫薬を何度も投与する必要があり、治療が長引いて治療費も高額になりがちです。


そんなとき、高額な治療費のせいで治療を断念してしまわないためにも、ペット保険に加入しておくことをおすすめします。


回虫症は、ほとんどのペット保険で補償の対象となるので、安心して治療に専念することができます。


MOFFMEでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、是非ご覧ください。