犬のクッシング症候群とは?症状や治療費・治療法、検査法を解説!

クッシング症候群は犬に多く見られるホルモン異常の疾患です。そのため治療法や治療費を知りたい飼い主の方が多いです。下痢や食事を摂らないなどの症状がある場合や、疾患と付き合っていく場合には血液検査を含む定期的な検査を受けることで寿命を全うできる可能性が高まります。

犬のクッシング症候群とは?

犬のクッシング症候群とは、日本語で副腎皮質機能亢進症と言い、5歳を過ぎる頃から発症するパターンが多く、メスのほうが罹患率は高まります。


そこで今回のこの記事では、犬のクッシング症候群について、

  • 犬のクッシング症候群の症状や原因、治療法
  • どの犬種がクッシング症候群に罹りやすいか?
  • 犬がクッシング症候群に罹った時の日常のケア
  • 犬のクッシング症候群はペット保険で補償されるか?

以上のことを中心に説明します。


この記事を読んでいただけたら、犬のクッシング症候群が良く分かりますのでぜひ最後までご覧ください。

クッシング症候群について

犬のクッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)は脳の下垂体や副腎に腫瘍ができ、ホルモンが過剰に出ることで様々な身体症状が出る病気です。


犬がクッシング症候群にかかり病状が進行すると、糖尿病、皮膚病などの感染症、高血圧など、命にかかわる慢性病を合併することがあります。


長期の投薬治療や放射線治療、場合によっては手術が必要になる病気ですので、治療費や精神的負担の面でも覚悟が必要になるでしょう。

犬のクッシング症候群に見られる嘔吐や下痢の症状

犬がクッシング症候群を発症すると、初期にはこのような症状が出ます。

  • 多飲多尿
  • 食欲が増す
  • 毛が左右対称に抜ける
  • 呼吸が荒い
  • 腹部がぽっこりしてくる
  • あまり動かない

よく食べるわりに動かず、やたら水を飲んでおしっこをしたがるので、毎日よく観察していれば気付きやすい症状です。


また投薬治療を開始した際、副腎皮質機能が亢進していたところに投薬して抑えることで副腎皮質機能が低下しすぎてしまい、活力や食欲が低下して嘔吐や下痢を起こすことがあります。


投薬後にそんな症状が出た場合は投薬を中止し、すぐに医師に相談する必要があります。

犬のクッシング症候群の原因

犬のクッシング症候群の原因は以下の3つです。


腫瘍ができたことでコルチゾール(別名:ストレスホルモン)が過剰に分泌されて、それに体が対応し続けるため様々な異常が出てきます。

副腎腫瘍

副腎はコルチゾールを作り放出する場所ですので、副腎に腫瘍ができるとコルチゾールが過剰に放出されるようになります。


クッシング症候群の10%がこの副腎腫瘍によるものです。

下垂体腫瘍

脳の下垂体はコルチゾールの増減を司っている器官で、ここに腫瘍ができると常にコルチゾールを出すように副腎に司令が飛び、ストレスホルモンが常時出るようになります。


クッシング症候群の約90%がこの下垂体腫瘍が原因です。

薬剤の影響

ノミやアトピーなどのアレルギー性皮膚炎や、脂漏性皮膚炎などの治療でよく使われるステロイドの影響で稀にクッシング症候群を発症することがあります。


ステロイドは副腎から出るホルモンを科学的に作り出した薬で、長期に使用すると副腎の働きを狂わせてしまい副作用が出ることがあります。

犬のクッシング症候群の治療・治療費

次に、犬のクッシング症候群の原因の治療法と治療費を見ていきましょう。


診断や経過観察には主に血液検査が用いられます。結果によって超音波検査やCT・MRIを使用する場合もあります。


治療法を見て総じて言えることは、治療は長期に渡り、治療費はかなりの負担となるということです。

副腎腫瘍の治療・治療費

副腎にある腫瘍を手術で摘出することが第一選択になり、きれいに摘出できれば予後も良好なのですが、副腎腫瘍は血管をもろくしてしまう性質があり、また、腫瘍細胞が血管に乗りやすく転移しやすいため、術後中や術後のリスクが高い手術となります。


犬の年齢などにより手術は回避されることも多く、手術をしなければ内服でコツコツ腫瘍を小さくしていくことになります。しかし、下垂体腫瘍よりも内服での治療が難しく、大変根気のいる治療となります。


治療費は以下のとおりです。

副腎腫瘍の治療費
手術をした場合15~25万円
投薬治療1回分300~600円×1日2回の服用=1ヶ月合計 18,000〜36,000円

ただし副腎腫瘍は手術をしても、転移をさせない配慮から一部しか切り取ることが出来ないケースが多くなります。一部でも腫瘍を残すとクッシング症候群は治りませんので、術後もクッシング症候群の投薬が必要になるなど、費用がかさむ傾向にあります。


内服の場合も、クッシング症候群は慢性病の合併症を併発しやすく、併発してしまえばその病気に対する投薬も開始しますので、晩年になるほど治療費は増すと覚悟を決めておいたほうがいいでしょう。

下垂体腫瘍の治療・治療費

下垂体は脳の下側に位置するため開頭手術は行えない場所です。鼻の奥か、喉から切開して施術しないといけないところでかなりの高度な技術を要します。この手術に対応できる医師や病院がそもそも少ないので、手術を選択することは稀になるでしょう。


仮に手術で下垂体を切除できたとしても、術後は下垂体がなくなりホルモンの調整が出来なくなりますので、生涯に渡りホルモン投与を行う必要があります。


下垂体腫瘍が原因のクッシング症候群の治療は、以上の理由から投薬で行うパターンが多くなります。副腎腫瘍と同じ薬を使いますので、治療費はそちらを参照していただきたいのですが、副腎腫瘍よりも薬が効きやすく副作用も少ないので、比較的落ち着いて治療が行えるでしょう。


もうひとつ検討されるのが放射線治療です。腫瘍をそのまま残していますので、放射線を当てて小さくすることを目指す治療法です。


放射線を当てるたびに全身麻酔が必要になる施術で、4回ほどに渡って放射線を腫瘍に当てて経過を見ます。

放射線治療費
放射線治療ワンセット(4回の場合)40〜60万円

放射線治療ができる施設もまだ少なく、この治療法を選択する機会は少ないと思いますが、ワンセットの照射を行い経過が良ければ、数カ月は治療無しで過ごせるところがメリットとなります。

医原性(薬の影響)の治療・治療費

ステロイドを使用していてクッシング症候群が発生した場合は、まずそのステロイドを中止することを目指します。


しかしこれは飼い主さんの勝手な判断で行わないように注意して下さい。ステロイドは急に停止すると副腎不全を起こす場合がありますので、必ず医師の指示に従って下さい。


停止した上で、そのステロイドを必要としていた既往症とクッシング症候群の兼ね合いを見て治療方針を決めていきます。


定まるまでは頻繁な通院を余儀なくされますし、治療方針が決まっても既往症とクッシング症候群の投薬が重なって治療費はかさむことになるでしょう。

犬のクッシング症候群の場合は定期的な血液検査が必要

犬のクッシング症候群の原因である過剰なコルチゾールは、血液を調べるとその量が判明するため、クッシング症候群の診断と経過観察は主に血液検査を用います。ホルモン量を計測するので単純な血液検査よりは費用が高くなります。


病院によって変わりますが、おおよそ5,000円~10,000円くらいは病院に行くたびに必要になります。


少し高めの治療費を設定している病院では、診断と血液検査と投薬で1回に25,000円、少しホルモン系の検査を追加すると60,000円を請求してくる病院もあります。


その血液・ホルモン検査の結果、必要があれば全身麻酔をかけてCTやMRIの検査を行う場合もあります。


犬種が大型犬になるほど全身麻酔の量が変わり、投薬の量も変わるので治療費は変動しますが、おおよそ平均的な治療費を以下に記しておきます。(トータルの額ではありません。1回の診療でかかる費用です。)

クッシング症候群 平均的な治療費
診察1,500円
血液・ホルモン検査10,000円
CT・MRI100,000円
投薬(1ヶ月分)30,000円
合計141,500円


クッシング症候群にかかりやすい犬種や年齢は?

犬のクッシング症候群の原因や症状、治療法や治療費を見てきましたが、かかりやすい犬種や年齢などはあるのでしょうか?


そしてもしクッシング症候群に罹患してしまうと寿命を全うできるのでしょうか?


犬のクッシング症候群にまつわる気になる疑問を解説します。

クッシング症候群にかかりやすい犬種

クッシング症候群にかかりやすい犬種ですが、日本ではトイプードルやダックスフンドが罹患率が高いと言われています。


しかしこれは、日本で飼われる頭数が圧倒的に多いことがデータに影響しているとも言われています。


この2つの犬種に限定して発生しているわけではないことから、すべての犬種に発生するという見解が定着しているようです。

クッシング症候群にかかりやすい年齢

犬がクッシング症候群にかかりやすい年齢は5~7歳以上と言われています。


腫瘍が発生して発症するため予防することは困難です。その割には犬の飼い主さんは比較的よく目にする病名ではないでしょうか。


一刻も早く特効薬や予防法が確立されることを祈ります。

クッシング症候群にかかっても寿命を全うできるのか

下垂体腫瘍でクッシング症候群を発症した場合、投薬で順調に腫瘍が小さくなれば症状も治まり寿命を全うすることができますが、腫瘍が小さくならない場合は難しくなります。


投薬で腫瘍が小さくならない場合は放射線治療が検討されますが、近くに放射線治療を行っている病院がない場合や治療費が支払えない場合、数年で腫瘍は発達して脳を圧迫し、神経症状が現れるようになります。


副腎腫瘍の場合は、手術できれいに取り除けるとクッシング症状は消え寿命も全うできますが、一部が残ってしまった場合は投薬治療に移行し進行を抑える治療に入りますが、下垂体腫瘍よりも難しく、寿命の長さは様々となります。


クッシング症候群を引き起こす腫瘍は、外科的処置できれいに取り除く以外に完治はありません。もしきれいに取り除けた場合も生涯に渡りホルモン投与が続きますので、一生涯定期的に病院に通うことになります。

愛犬がクッシング症候群にかかってしまったときには

犬のクッシング症候群は早めに発見して腫瘍がそれほど肥大していない段階から治療を開始すると予後が良好になりやすいと言われています。


ですので、出来るだけ早期発見することが大切ですが、そのために飼い主さんが日頃気を付けることは、愛犬の様子をいつもよく見ておくということです。


そしてもし仮に愛犬がクッシング症候群になってもらってきた薬を飲ませ始めたら、いつも以上に愛犬の様子を監視するようにして下さい。


先ほども軽く述べましたが、副腎皮質機能が亢進しているところに抑える薬を多めに与えると、今度は急に低下して食事量減少、活力減退、嘔吐、下痢を引き起こします。そうなれば急いで病院に連れていき薬の量を調整してもらわないといけません。


様子をしっかり確認することと同時に、クッシング症候群は飲水量に特徴が出る病気ですので、飲水量を常に測っておくことも変化がよく分かり状態把握に役立ちます。

獣医さんに指定された量と回数の食事を守る

クッシング症候群の原因であるコルチゾールを抑える薬は、食事と共に与える薬ですので、獣医師に指定された食事量と回数を必ず守るようにして下さい。


そして飼い主さんは、その薬の取り扱いに注意しましょう。人間にも適用する薬です。ホルモンの量を操作する薬ですので、薬の粉を吸い込まないようにしましょう。特に妊娠中の方が家にいる場合は薬の取り扱いには十分に注意して下さい。

ブログで実際の犬のクッシング症候群を知ることができる

ネットを探すと、ペットがクッシング症候群になってしまった飼い主さんの生の声をブログで知ることができます。


飼い主さんが振り返るクッシング症候群の最初の兆候は「突然のおもらし」だったそうです。粗相を1回もしなかった子がトイレの前でもらしたり、カーペットの上でしてしまったりしたそうです。


それもずっとではなく、しばらくすると治まったので安堵していたそうです。しかし1年ほど経った頃、突然のけいれんを起こして倒れて血液検査を受けたそうです。その結果は異常なし。尿検査も異常なしで、またそのまま1年放置したそうです。


そうこうしているうちに、多飲多尿がひどくなり、けいれんの回数も増え、その上ゴミまで漁るような暴食になったため、この頃から飼い主さんはクッシング症候群を疑っていたそうです。


クッシング症候群を診断する「ACTH刺激試験」という検査は高額で、しばらく二の足を踏んでいたところ意を決してACTH刺激試験を受けると、案の定「クッシング症候群」の診断が下ったという飼い主さんのお話が印象的でした。


クッシング症候群の諸症状を病院で訴えても、一般的な血液検査や尿検査しかしてもらえないようです。そのようなものではコルチゾールの数値は出ないので病気は発見されません。


ACTH刺激試験は病院によって費用はまちまちですが、おおよそ8,500円ほどです。多飲多尿、食欲増進、元気な割に動かない、けいれんを起こすなど、クッシング特有の症状が出たら、飼い主さんから獣医に「ACTH刺激試験を受けます」とハッキリ伝えて下さい。


早期発見が功を奏しやすい病気ですので数年も放置していてはいけません。ペット保険に加入していれば検査費用も補償されますので、費用に躊躇せず早め早めに検査を受けられるように万全の準備を整えておきましょう。

犬のクッシング症候群はペット保険で補償される?

犬のクッシング症候群の治療は生涯に渡り、その治療費も手軽な金額ではないということが分かりました。金額を示した表をもう一度記します。

クッシング症候群 平均的な治療費
診察1,500円
血液・ホルモン検査10,000円(ACTH刺激試験込み)
CT・MRI100,000円
投薬(1ヶ月分)30,000円
合計141,500円

これはCTやMRI検査を行った例ですが、行わない場合でも4万円を超えてきます


もう一度言いますが、これは1回の受診の金額です。投薬が1ヶ月ごとなら毎月最低4万円はかかると言うことです。ここに治療方針によって手術や放射線治療の費用が上乗せされます。


そして、これが生涯に渡るかも知れないということも忘れてはいけません。


もし今、クッシング症候群の疑いがあるなら今からでもペット保険に加入しておくことをおすすめします。既往症がある場合、本来なら加入できないのが一般的ですが、特定傷病補償対象外特約を付帯すれば加入できます。


ペット保険はたくさんあるのですべてを紹介することはできませんが、ほとんどのペット保険で補償されますので加入を検討されてみてはいかがでしょうか。

まとめ:犬のクッシング症候群について

犬のクッシング症候群について説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。


この記事のポイントは、

  • クッシング症候群は臓器に腫瘍ができて起こる病気
  • 治療法は手術、放射線治療、投薬があるが、どれも高額
  • 完治しなければ一生投薬治療が続く
  • 完治しても一生ホルモン投与が続く
  • 多飲多尿、暴食、けいれんなどが目に付きやすい症状
  • 疑いがある時はACTH刺激試験を受けよう
  • クッシング症候群に備えるためにペット保険に加入しよう

でした。


早期に発見して治療法があえば寿命を全うできる疾患です。比較的よく見られる病気で治療法も確立しています。


ただ、治療費だけは高額になりますので費用だけなんとかなれば恐れることはない病気です。ペット保険を備えて躊躇なく治療を開始できるようにしておきましょう。


ほけんROOMでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、是非ご覧ください。

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