【獣医師監修】犬が認知症になるとどんな症状が出る?原因や予兆、治療法なども紹介のサムネイル画像

高齢になると犬も人間と同様に認知症になってしまう可能性があります。万が一なってしまった場合に備え、認知症になるとどのような症状が出るのか、予兆、対策や治療法はどのようなものがあるかなど知っておく必要があります。この記事では犬の認知症について詳しく解説します。

記事監修者「森下 浩志」

この記事の監修者森下 浩志
フィナンシャルプランナー

早稲田大学基幹理工部出身。すべてのペットのお金と健康にまつわる問題を解決したい、という強い思いからMOFFMEを立ち上げ。ファイナンシャルプランナー、損害保険(ペット保険を含む)の公的資格取得。獣医師団体などと連携をして、ペットのWEB健康診断ツールの開発も行う。

この記事の目次

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犬の認知症とは?

何年も一緒に暮らしている大切な愛犬が、名前を呼んでも反応が鈍かったり、夜鳴きをするようになるなどの症状が出てきたらとても心配になりますよね。


そのような場合、もしかしたら愛犬は「認知症」になっているかもしれません。


犬も人間と同じように、加齢により認知症になることがあります。


しかし、早期治療をすることで症状の進行を抑えることができ、飼い主さんに認知症の知識があれば、ささいな変化にも気づくことができます。そうなれば早期に症状を改善するための対策ができます。


そこで今回「MOFFME」では、犬の認知症について

  • 犬の認知症の症状
  • かかりやすい犬種・年齢
  • 認知症の対策・改善法

以上のことを中心に説明します。


この記事を読んでいただけたら、認知症に対する知識が増え、いざという時の参考になると思います。


ぜひ最後までご覧ください。


またMOFFMEではペット保険のランキングについても詳しく解説しておりますので、そちらもぜひご覧下さい。

人間の場合と同様にさまざまなことを忘れてしまう病気


犬の認知症は、老化により脳細胞が正常に働かなくなったり、神経伝達の異常が起こったりすることで認知力反応力低下してしまう病気です。


人間と同じく、高齢化とともに認知症になってしまう犬が増えてきました。


いつも歩いていた散歩コースを忘れてしまったり、トイレなどのしつけを忘れてしまったり、人間の場合と同じようにさまざまなことを忘れてしまいます。


大切な愛犬の長生きはとても嬉しいものですが、一方で認知症に悩む飼い主さんも増えています。


そこで次に犬の認知症について詳しく説明します。

犬の認知症の症状

犬の認知症の具体的な症状として、

  • 飼い主さんの呼びかけに応えなくなる
  • 飼い主さんを噛んだり吠えたりする
  • 夜に起きて吠えてしまったり、生活が昼夜逆転してしまう
  • 狭いところに入ってしまい、出られなくなってしまう
  • 同じところをグルグル歩き回る
  • ご飯を何度も欲しがる
  • 人や物事への無関心
  • トイレの失敗
  • 単調な声で鳴く

などがあります。


高齢だから仕方ないと放置してしまうと、犬の認知症状は進んでしまいます。


気になる症状があれば、すぐに獣医師に相談するようにしてください。

認知症の原因とは?

認知症の発症要因の一つとして、酸化ストレスがあります。酸化ストレスは、タンパク質・資質・核酸にダメージを与えます。


酸化ストレスが脳の細胞にダメージを与えてしまって認知症が引き起こされることがあります。


また認知症は1つの病気として存在していますが、認知症ではなくとも認知症と似たような症状を引き起こす病気として脳腫瘍や水頭症があります。


認知症とよく似た症状が見られた際には、認知症と決め付けるのではなく他の病気の可能性もあることを考えておくことも大切です。

犬の認知症の予兆は?飼い主を噛む・吠える、夜鳴きは認知症の予兆?

犬の認知症には予兆があるのでしょうか。


予兆があれば早期に治療でき、進行を抑えることができますね。


認知症になった犬の初期症状としては、

  • 声をかけても反応しない
  • ボーっとしたりウロウロしている
  • 寝ている時間が長い

といった様子が、時々見られるようです。


ただいつもそういう状態ではないので、認知症の診断が下ってから、予兆だったのかもしれないと思うくらいのささいな症状です。


予兆に気づくことは、難しいです。


また、飼い主さんを噛んだり、飼い主さんに吠える等今までしなかった行動をするようになった場合も、認知症による攻撃行動かもしれません。


認知症により脳の制御機能が低下してしまうと、攻撃行動に対する抑制が効かず、人や他の動物に噛みついたり吠えてしまうことがあります。


そして、寝る時間が長いこともまた認知症状の一つである可能性があります。


昼間なのに寝てばかりいる場合は認知症なのかもしれません。


上記のような症状が出始めた場合、動物病院に行くことを迷う方もいるかもしれませんが、ささいなこととは思わず、まずは相談に行ってみることが大切です。

認知症になりやすい犬種・年齢は?


犬の高齢化により、犬種に関わらず認知症になってしまう可能性が増えています。


そして、認知症の犬の中でも、チワワやダックスフンドなどの洋犬よりも、日本犬がなりやすいという調査結果があります。


ここでは認知症になりやすい犬種・年齢について解説していきます。


認知症になりやすい犬種

犬の認知症になりやすい日本犬は、
  • 柴犬
  • 秋田犬
  • 北海道犬
  • 甲斐犬
  • 紀州犬
  • 日本犬の血を引くミックス犬
などです。この中でも柴犬が特になりやすいです。

日本犬は長い間を中心とした食生活を送ってきました。

そのため、他犬種と比べに多く含まれる栄養素であるDHAEPAといったω3脂肪酸の要求量が高いです。しかし普通のドッグフードは肉類が中心であるため、そうした栄養素が不足してしまい、認知症を起こしやすくなるといわれています。

また、日本犬以外のヨークシャーテリアやシーズー、トイプードルといった犬種も発症することはありますが、日本犬は症状が強くでる傾向があるそうです。

犬が認知症になりやすい年齢

認知症は、人間と同じように加齢により発症しやすくなりますが、具体的に何歳くらいから気をつければいいのでしょうか。


犬の年齢は1歳を人間の17~18歳として、以降は1年ごとに4歳ずつ歳をとると言われています。そして一般的に7歳を過ぎるとシニア世代と呼ばれます。


認知症は、そのシニア世代と呼ばれる7歳を超えた頃から症状が出始め、その後徐々に増え13歳くらいから急増してくるようです。


具体的には、大型犬は8歳、小型犬は10歳を過ぎた頃からとなります。


そのため、愛犬がそれくらいの年齢になる頃から、変わった様子がないか気にかける必要があります。

犬の認知症対策はある?


認知症は、根本的な治療法はなく徐々に進行してしまう病気のため、早期発見早期治療で進行を抑えることが重要です。


進行を抑えるための対策としては、普段から脳に刺激を与えることが大事になってきます。


ここでは認知症の対策や注意点、改善方法について解説していきます。

認知症の対策と注意点を解説!

ここでは認知症の対策についてご紹介します。認知症の対策として、

  1. 散歩等の運動
  2. 認知症の犬に絶対してはいけないこと:オーナーが犬を叱り付ける
  3. 新しいコマンドを教える
  4. 生活環境を大きく変えない
以上の4つの方法が効果的です。

愛犬にとって、散歩で外の匂いを嗅ぐだけでも刺激になり、いつもと違う道を歩いてみるだけでも好奇心がわき、脳への良い刺激になります。

ドッグランに行き、他の犬と触れ合うことも刺激となり有効です。

また、昼夜逆転の生活になっているときには、昼間は刺激を与えて起こしたり、日光浴をさせることで、夜に寝てくれるようになる場合もあります。

ただし叱っても認知症の症状は改善されないので、粗相や夜鳴き、徘徊などの行為に対してオーナーが叱り付けることは絶対にしないでください。

また、認知症の予防策として、新しいコマンドを教えたり、過去の教えたコマンドをまた練習することもよいでしょう。脳に適度に刺激を与えることは重要です。

さらに、生活環境が変わったことで認知症を発症するケースもあるため生活環境は大きく変えないようにしましょう。

最後に認知症の対策の注意点ですが、昼夜逆転の生活になってしまっている場合でも睡眠導入剤の使用は認知症を進めてしまうこともあるそうなので、獣医師としっかり相談して決めるようにしてください。

そして、狭いところに入り込んでしまう場合には、出られなくなってしまったりケガをしてしまうことがあるので、外出時などは、大きめのケージサークルに入れてあげるといった対策をしてください。円形で柔らかい素材のものが用意できると理想的です。

サプリメント・漢方薬などを使った改善方法

犬の認知症の改善方法として、日本犬に不足しがちなに含まれる栄養素である、DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)をサプリメントで摂取させてあげることも認知症の初期には有効です。


DHAやEPAは血液をサラサラに関節炎や心臓・腎臓病を防いだり、脳神経細胞を活性化させるといった抗酸化作用を持つので、高齢になってきたら予防として摂取させてもいいでしょう。


サプリメントの他、塩分の少ない煮干しなどをおやつにしてあげても効果的です。


また動物病院等で処方される薬とは別に漢方薬もあります。


ただ、漢方は体質によってはアレルギーを起こす症例も見られ、副作用があります。漢方が予防に効果が見られた、といった文献も見当たりませんでした。薬については、獣医師に相談して処方してもらうようにしましょう。

まとめ:犬の認知症について

犬の認知症について説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。


この記事のポイントは

  • 犬の高齢化により、人間と同じように認知症になる犬が増えた
  • 柴犬などの日本犬がかかりやすい
  • 早期発見・早期治療が重要
  • 散歩やマッサージなど脳に良い刺激を与えることが大事
  • 認知症の予防や進行を抑えるために、サプリメントを与えても良いかも

でした。


認知症の犬のお世話はとても大変なので、飼い主さんの心身に大きな負担がかかり辛いこともあると思います。


しかし、愛犬が一番甘えられ安らげる場所は飼い主さんのそばです。


飼い主さんが笑顔で接してあげられるよう、飼い主さん自身の心のケアも必要ですので、ペットシッターさんに預けて気分転換するなど、頑張りすぎないようにしてください。


MOFFMEでは、他にも読んでおきたいペット保険に関する記事が多数掲載されていますので、是非ご覧ください。