【獣医師監修】犬の膀胱炎はどんな病気?症状・原因、治療費・治療法なども紹介のサムネイル画像

犬も人間と同じように膀胱炎になる可能性があります。膀胱炎はどんな症状なのか、原因は何か、食べ物で予防することができるか、ペット保険で補償されるのかを知っておく必要があります。この記事では犬の膀胱炎の症状・原因・治療費を中心に解説します。

記事監修者「森下 浩志」

この記事の監修者森下 浩志
フィナンシャルプランナー

早稲田大学基幹理工部出身。すべてのペットのお金と健康にまつわる問題を解決したい、という強い思いからMOFFMEを立ち上げ。ファイナンシャルプランナー、損害保険(ペット保険を含む)の公的資格取得。獣医師団体などと連携をして、ペットのWEB健康診断ツールの開発も行う。

この記事の目次

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犬の膀胱炎とは?

この記事をご覧のあなたは、犬の「膀胱炎」について調べておられることでしょう。人間では40代以下の女性がなりやすいとされている膀胱炎ですが、実は犬もなる病気として有名です。

普段の様子からは膀胱炎だと分からないこともあるので、どうしたら病気を見分けられるかを知っておくことは大切です。

そこで今回「MOFFME」では、
  • 膀胱炎とはどんな病気?
  • 膀胱炎になりやすい犬種・年齢は?
  • 犬が膀胱炎になったら、その治療費を保険で賄うことはできる?
以上の点を取り上げていきます。

この記事を読んでいただければ、犬の膀胱炎はどういった病気かの理解を深めることができるでしょう。

ぜひ最後までご覧ください。

またMOFFMEでは、ペット保険のランキングについても詳しく解説しておりますので、そちらもぜひご覧ください。

膀胱が炎症を起こしてしまう病気


そもそも、膀胱炎とはどのような病気なのでしょうか。膀胱炎は、泌尿器系に当たる「膀胱」という部位の粘膜が炎症を起こしている状態です。


人間では特に女性がなりやすい病気とされていますが、それも女性特有の「細菌が体内に侵入しやすい」体のつくりが関係しています。


同様に犬も、排泄物からの感染が多いため、そのような意味では動物の中でも膀胱炎になりやすいと言えます。

犬の膀胱炎の症状

では、犬は膀胱炎にかかると、どのような症状が現れるのでしょうか。


主な症状としては、

  • 乏尿:トイレでの排尿量が極端に少ない
  • 頻尿:短時間のうちに何度もトイレに行く
  • 血尿:尿に血液が混ざる
  • 残尿感:トイレに何度も行って落ち着きがない
  • 排尿痛:排尿時に鳴いたり苦しそうにする
これらの症状が挙げられます。

これらの症状だけを見てみると、人間がかかる膀胱炎とほぼ症状が変わらないことにお気づきでしょう。

しかし犬の膀胱炎における問題点は、たとえ発症しても犬はその異常を具体的に伝えられないので、症状や違和感は飼い主が把握しなければいけない、という点にあります。

早期発見のためにも、飼い主が普段から犬のトイレをチェックして、異常がないかどうか確認することが大切です。

犬の膀胱炎の原因

なぜ犬は膀胱炎になってしまうのでしょうか。


原因はいくつか考えられますが、主な原因は、

  • 細菌の侵入(細菌性)
  • 膀胱結石・腫瘍・外傷等により膀胱の粘膜を傷つける
  • ストレス
この3点です(ストレスは特発性膀胱炎の原因であると考えられています)。

この中でもとりわけ、下痢等の排泄物から付着した尿道からの「細菌の侵入」は膀胱炎における代表的な感染経路です。

人間は排泄時にある程度体内へ大腸菌などの細菌を侵入させないようにすることが可能ですが、犬には自力でそれができません。

多くの場合、排泄物に付着した細菌が、尿道を通って体内に侵入することで膀胱の粘膜が炎症を起こし、膀胱炎となります。

注射や抗生物質を使う?犬の膀胱炎の治療法

もし犬が膀胱炎になった場合は、症状がひどくならないうちに早期治療をすることが大切です。

主な治療方法としては、
  • 抗生物質の投与
  • 食事療法
  • 手術(膀胱結石の場合)
このような、人間の膀胱炎とほぼ変わらないものを用いて治療を行います。

早期発見・早期治療のためには、少しでも膀胱炎と見られるような症状が見られたらすぐに動物病院で検査を受けさせる必要があります。

また治療法としては、抗生物質等の投薬治療を行います。医師の診断により、治療後はしばらく療法食を用いた食事療法を行う場合があります。

ドッグフードなどの食事で予防できる?犬の膀胱炎の予防法

では、犬の膀胱炎は予防が可能なのでしょうか。


確実に飼い主の誰もが行える方法として、

  • こまめに水分を補給させる
  • 排尿状態を確認する(早期発見・早期治療のために必要)
  • 食事の内容に気を付ける
この3点があります。

犬は自ら症状を言葉にして訴えることができません。たとえ飼い主が犬の状態があまり良くないことに気づいても、ただの体調不良かと思い込んで放置してしまうことがあります。

ですから、ミネラルバランスを考えて水分不足にならないように常に気を配ってあげましょう。

膀胱炎になりやすい犬種・年齢は?


皆さんが今もし犬を飼っておられるなら、自分が飼っている犬種が病気になりやすいかどうか、気になることでしょう。


では、膀胱炎になりやすいとされている犬種、また膀胱炎を発症しやすい年齢はあるのでしょうか。

膀胱炎になりやすい犬種

犬の膀胱炎にも「なりやすい犬」は存在します。体のつくりから、オスよりもメスのほうがなりやすいとされています。


また、膀胱炎そのものというよりも、膀胱炎のきっかけとなる病気にかかりやすい犬種として、「ミニチュア・シュナウザー」という犬種が挙げられます。


長い毛が特徴の小型犬ですが、この犬種は「尿石症」という病気にかかりやすい犬種として知られています。さらに尿石症はミニチュア・シュナウザー以外にも、「トイ・プードル」や「シー・ズー」、「ミニチュア・ダックスフンド」もかかりやすいといった犬種もかかりやすいです。


尿路結石とは、膀胱や尿道、腎臓などの排尿に関係する部位に結石ができてしまう病気であり、

  • シュウ酸カルシウム
  • 尿酸アンモニウム
  • リン酸アンモニウムマグネシウム(ストラバイト)
  • シスチン

このような成分の結石ができます。


X線検査でも写らない結石もあるため、飼い主が自力で見つけるのは難しいでしょう。


結石の種類によっては薬や食事療法によって溶かすこともできますが、手術によって結石を摘出しなければならない場合もあります

膀胱炎になりやすい年齢

人間では、40代以下の女性がなりやすいと言われている膀胱炎ですが、犬にも膀胱炎が発症しやすい年齢はあるのでしょうか。


犬の場合、「膀胱炎になりやすい年齢」というのは特にありません。ただし、加齢に伴う様々な病気のリスクが上がるのは人間と同じです。


たとえば、犬の年齢は人間に換算すると、1歳でおよそ17歳、5歳でおよそ36歳、10歳でおよそ56歳とされています。


そして、加齢が進むと「尿失禁」が増えてくることがあります。これは特に高齢のメス犬に多い症状であり、膀胱炎の症状の一つでもあります。


高齢犬が膀胱炎になりやすい理由は、免疫力が低下して細菌感染をおこしやすい、膀胱腫瘍になりやすい、寝ている時間が増えて飲水量が減ったりトイレに行く頻度が下がったりするからです。


ですから、相対的な意味では「高齢の方が膀胱炎を発症する確率は高い」と言えます。

犬の膀胱炎の治療費はどのくらい?ペット保険で補償される?


犬を飼っている飼い主の多くが悩んでおられるのが、愛犬が病気になったときの治療費かもしれません。


犬の治療費は、たとえ家族の一員だとしても国民健康保険は適用されません。ですから、投薬治療や手術に伴って治療費が予想外に高額になることがあります。


どのように、そのような治療費の問題に対処できるでしょうか。


また、ペット保険で犬の膀胱炎は補償してくれるのでしょうか。

犬の膀胱炎の治療費の例

まずは具体的な治療費について把握しておきましょう。


ある保険会社請求事例によると、2週間、計4回の通院で合計13,500円かかったようです。また、1日通院しただけで8,000円以上かかった、という例もあります。


動物病院に行って症状と病名がはっきりしている場合、検査だけをして終了ということはほぼなく、すぐに治療を行うこともあります。


治療費は膀胱炎がどこまで進行しているのかという点や、受診する動物病院、治療内容によっても大きく変わります。

ほとんどのペット保険で補償される

犬の病気は、健康保険では補償されません。

ただし、ペット用の保険に加入することによって、たとえ膀胱炎になったとしても、治療費の負担が大幅に軽減される場合があります。

多いところではかかった治療費のうち7割も負担してくれる保険があり、飼い主にとっては大きな負担軽減となるでしょう。

しかし膀胱炎は再発しやすい病気であるため、完治の基準が難しい病気です。加入当時症状が無くても、過去に膀胱炎にかかったことがある場合は不担保となってしまう可能性があります。

ペットの場合も人間と同様に、病気になってから加入するものではなく、「病気に備えるために加入する」ものであることを再度認識しておきましょう。

まとめ:犬の膀胱炎について

今回は、犬の「膀胱炎」に関して様々な点を取り上げてきましたがいかがでしたでしょうか。


今回の記事のポイントは、

  • 膀胱炎とは、細菌の侵入(細菌性膀胱炎)や膀胱結石、腫瘍、外傷等により膀胱の粘膜を傷つけ炎症が発生する病気
  • 膀胱炎はメス犬が発症しやすく、膀胱炎を引き起こす病気になりやすい犬種もある
  • 犬が膀胱炎になった場合、ペット保険に入っていれば保険金が下りる

以上の点です。


犬の膀胱炎は比較的発症しやすい病気でもありますが、食生活等で予防することは可能です。


もし発症しても、金銭面の問題によって治療が遅れることのないよう、膀胱炎が補償対象となるペット専用の保険で万が一の事態に備えておきましょう。


MOFFMEでは、この他にも様々なペットや保険に関する記事を多数公開しておりますので是非ご覧下さい。