今更聞けない厚生年金の基礎知識!ひと月の受給額や保険料はいくら?

給与明細の控除項目の中でも特に高い厚生年金、厚生年金とは一体どういう制度で、将来いくらの年金を貰えるのでしょうか?厚生年金をしっかり払ったのに老後のお金が足りない?この記事では将来貰える金額や国民年金との違いなど、厚生年金制度についてわかりやすく解説します。

厚生年金とは?対象者や加入期間は?どうして高いの?

毎月の給料から天引きされている厚生年金保険料。「高いな…」と感じていませんか?


最近のニュースでは、年金に対してネガティブな報道が多く、自分が貰う時に損しないのか気になってしまいますよね。


頑張って高い厚生年金保険料を納めているのですから、不安に感じるのも当然です。


でも、将来、年金が全く貰えないような事態にはなりませんから、安心してください。


厚生年金制度を理解すれば、漠然とした将来の不安が解消されて、安心につながります。


そこで今回のこの記事では、「厚生年金」について、

  • 厚生年金の仕組み
  • 将来の年金受取額
  • 老後の生活費は年金で足りる?損しない?
  • 国民年金との違い
  • 万が一のとき、遺族が受け取れる年金

以上のことを中心に説明します。 


この記事を読んでいただけたら、厚生年金の仕組みが分かり、将来のために具体的な計画を立てることが出来るようになります。ぜひ最後までご覧ください。


では、早速、厚生年金の仕組みについてみていきましょう!この記事では

  • 厚生年金の加入・受給資格、加入期間
  • 厚生年金保険料は給料の何%?

について説明します。


厚生年金とは?加入資格や期間、受給資格は?

まずは、厚生年金とはどのような年金なのかについて確認します。


厚生年金は、会社員が加入する公的年金です。


加入期間は、働いている期間。上限は原則として70歳となっています。


受給は65歳からです。


厚生年金を受給するには、受給資格をクリアしている必要があります。その受給資格とは、公的年金加入期間が10年あること。


公的年金というのは、厚生年金・国民年金・共済年金のことです。すべての公的年金を合わせて10年あれば問題ありません。


例えば、国民年金9年11ヶ月+厚生年金1ヶ月=合計10年でも良いのです。


この場合は、9年11ヶ月分の加入期間に対する国民年金と、1ヶ月分の加入期間に対する厚生年金が受給できることになります。


実は、以前は、25年の加入期間が必要でした。平成29年8月1日より10年に改正されています。


(参考サイト:日本年金機構「厚生年金」https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/index.html

厚生年金保険料率は給料の18.3%!

厚生年金の保険料が高いと感じている人も少なくありません。


厚生年金は、給料から天引きされますが、どのように計算されているのでしょうか?


厚生年金は、給料(標準報酬月額)に厚生保険料率を掛けて求められます。


その保険料率は、18.3%です。


ただし、厚生年金は、半分の額を会社が負担してくれるため、自己負担分は9.15%になります。


計算の元になるのは、標準報酬月額。4,5,6月の平均給与を基に算出し、9月から翌年8月まで適用されます。


厚生年金は、国民年金と比較して高いと感じる人が多いかもしれません。


それにはきちんと理由があります。

  • 受給するようになってからの年金額が高い
  • 障害が残ったときの障害年金がある
  • 万が一の時の遺族年金の支給がある

このように、保障が手厚いことが、厚生年金保険料が高い理由なのです。

将来貰える厚生年金の額は?老後に必要な金額を受け取れる?

それでは、将来貰える厚生年金の額はどのくらいになるのでしょうか?


最近、「老後の年金が足りない!」などと報道されていることから、最も関心があることかもしれませんね。


ここでは、

  • 厚生年金の平均受給額
  • 厚生年金額の計算方法

を見ていきましょう

厚生年金の平均受給額は月間14.5万円

厚生年金は、将来受け取れる額を正確に知ることができません。


しかし、今の受給額を知ることで予測を立てることはできます。


そこで、厚生年金の平均受給額をご紹介します。


平均受給額は月間14.5万円。


実は、この平均額は、男女差が大きい特徴があります。


男性と女性とで厚生年金の平均受給額を分けた場合、次のようになります。

  • 男性 16万円
  • 女性 10万円

平均ではなく、最も人数が多い受給額を見た場合、

  • 男性18~19万円
  • 女性9~10万円

という結果になります。


こうして比較すると、女性の受給額が平均値を下げていることが分かります。


今厚生年金を受給しているのは、結婚後退職して専業主婦になった人が多い世代。


そのため、女性の受給額が少ない結果となっているのです。


今後は、女性の受給額が上がってくることが予想されます。

将来の年金受給額の計算方法

では、将来自分が貰える年金受給額はいくらになるのでしょうか?


実は、年金は、賦課方式といって、その時にならないといくら受給できるか分からない仕組みになっています。


積み立て貯金のようなイメージを持っているかもしれませんが、今納付したお金が将来返ってくるものではないのです。


この仕組みは、将来、物価の大きな変動などお金の価値が変わる可能性を考慮したものです。


その時代にあったお金で受給することができるメリットがありますが、将来いくらもらえるのか、正確な計算ができないという側面もあります。


しかし、目安として、計算する方法はいくつかあります。簡単な計算式をご紹介します。

勤めた期間の平均年収×0.0055×勤めた年数

平均年収は40代半ばの年収額を目安とすると良いでしょう。


また、日本年金機構でも、試算できるツールが用意されています。気になるときに利用してみてください。(日本年金機構「ねんきんネット」

老後の生活費はいくら?【受給額は足りる?】

さて、ここで気になるのは、老後の生活費です。年金で足りるのかが問題ですよね。


単身高齢者の生活費は、平均月15.5万円と言われています。


年金での平均収入は月14.5万円でしたから、月1万円不足するイメージです。老後30年として、360万円程度の不足という計算になります。


昨今話題になっている老後2,000万円必要というのは、2人世帯で月5万円の不足を予想しているものでした。


月5万円の不足なら、年60万円を貯金からまかなう必要があり、老後が30年とすると1,800万円が必要という計算になります。


毎月必要な生活費には個人差がありますから、自分にとって、老後の生活費にいくら必要なのか、この機会にイメージしておかれると良いでしょう。

厚生年金保険料 若い世代は払い損?

年金が破綻するのではないかなど、不安を煽るような発言を目にする機会が多くなりました。


若い世代は、「自分の老後には年金が返ってこなくて払い損になる」と考える人もいるようです。


本当に、若い世代は、厚生年金保険料が払い損になってしまうのでしょうか?


厚生年金に関しては、会社が半分負担しているため、自己負担額と比較すると大きな払い損にはならないと考えられます。


国民年金だけの加入だと、払い損が発生する可能性は否めません。


今の50代以下の世代は、払い損になる可能性がありますが、年金はもらいはじめると一生涯受け取れるお金です。その安心感は大きいものがあります。


そもそも、年金は、損得で考える性質のものではないのです。


経済的な損得で考えると、受け取る前に死亡した場合は損になりますし、障害を負って障害年金を早く受取りはじめると得することになります。このように考えると違和感があるのではないでしょうか?


様々課題があることは間違いないですが、損得だけを考えて厚生年金保険料を払うことにマイナスイメージを持たないようにしたいです。

厚生年金と国民年金の違い



厚生年金と似た年金制度に、国民年金があります。分かるようで実は区別がついていないこともあるかもしれません。

そこで、今更聞けない厚生年金と国民年金について、
  • 国民年金の概要と保険料や受給額の厚生年金との違い
  • 国民年金と厚生年金の関係性
この2点について解説します。

国民年金とは?保険料や受給量の違い

国民年金は、20歳以上の国民全員が加入する基礎年金です。

勤務形態を問いません。よく「自営業が加入する年金」と言われますが、国民全員が加入しています。

保険料は、その年によって一律の額が決まります。厚生年金の保険料は、収入に応じて計算して求められましたが、国民年金は収入は関係ありません。

2019年度は、16,410円です。

気になるのは、受給額ではないでしょうか。

国民年金の受給額は、平均5.5万円です。

厚生年金と比較するとかなり少ないと言えるでしょう。

国民年金のみの場合は、資産形成をしっかり考えておく必要がありますね。


(参考サイト:日本年金機構「国民年金」https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/index.html

国民年金は1階、厚生年金は2階

国民年金と厚生年金との関係は、二階建ての建物にたとえられます。


1階:国民年金

2階:厚生年金


人によって、1階部分だけの人と、2階まである人に分かれるのです。


1階がなく2階だけの人はいません。


厚生年金に加入しているということは、厚生年金だけではなく、国民年金にも加入していることになります。

厚生年金の仕組みや疑問について詳しく解説

厚生年金の仕組みは複雑で、どのようになっているか分かりづらい点がたくさんあります。

  • 国民年金と厚生年金の切り替えは?
  • 会社をすぐに辞めると減額されて損する?
  • 万が一の時に家族に支払われる額は?

このようなよくある疑問について、詳しく解説いたします。

国民年金と厚生年金の切り替え

まずは、手続きについてみていきましょう。会社に就職するときや退職するとき、どのような手続きをしなければいけないか、いまいち分かりづらいですよね。


就職するとき

会社に就職して厚生年金に加入する際は、会社が手続きしてくれます。


年金手帳を会社に提出することになりますから、年金手帳はしっかり保管しておきましょう。


退職するとき

退職する際は、国民年金への切り替えの手続きが必要なため、自分で手続きが必要です。


厚生年金の脱退は会社がしてくれますから、国民年金への加入手続きをしなくてはいけません。退職日から14日以内に、居住地の市区町村役場の国民年金担当窓口で手続きしてください。


この際、年金手帳もしくは基礎年金番号通知書と、退職証明や離職票などの退職日が分かる書類、免許証など身分証明書が必要です。


退職するときの手続きは、少々面倒に感じるかもしれませんね。


配偶者がいる場合、130万円未満の被扶養者であれば、一緒に手続きが必要ですから覚えておきましょう。

すぐに会社を辞めると損?受給額が減額?

すぐに会社を辞めると受給額が減額されて損をすると思っているかもしれませんが、これは勘違いです。

厚生年金は、1ヶ月以上加入していれば、支給されます。

受給資格である公的年金加入期間10年はクリアしておく必要はありますが、厚生年金だけで10年を満たす必要はありません。

ただし、受給額は、1ヶ月の加入期間に対してしか受け取れませんから、当然少ないです。

会社をすぐに辞めても、損はしませんし、減額されるわけでもありませんから、安心してください。

万が一の時、家族にはいくら払われる?

この機会に、万が一のことも考えておきたいです。

もし、加入者が亡くなった場合、家族に支払われる年金があります。
  • 遺族基礎年金
  • 遺族厚生年金
  • 死亡一時金
  • 寡婦年金
どの年金も、亡くなった方と生計が同一であったことが必須の条件になります。

金額や受給資格者の条件が異なりますから、詳しく解説します。

遺族基礎年金

遺族基礎年金は、国民年金から支払われる年金です。

遺族基礎年金の特徴は、子供が成長するまでに限られること。

受給できる対象者は、次の通りです。
  • 18歳未満の子(あるいは20歳未満で障害等級1級または2級を持っている子)がいる配偶者
  • その子本人
配偶者がいれば、原則として配偶者が受給することになります。

支給額は、一律で、以下の計算式です。

77万9300円+子供の数による加算

子どもが2人までは1人につき22万4300円、3人目以降は1人につき74,800円が加算されます。

少し分かりづらいので、表でご紹介します。

子の数配偶者が受給する場合子が受給する場合
1人77万9300円

22万4300円
77万9300円
2人77万9300円

22万4300円×2
77万9300円

22万4300円
3人77万9300円

22万4300円×2

7万4800円
77万9300円

22万4300円×2
4人77万9300円

22万4300円×2

7万4800円×2
77万9300円

22万4300円×2

7万4800円

遺族基礎年金は、支給額が一律で決まっています。

遺族厚生年金

遺族厚生年金は、厚生年金に加入中もしくは受給資格を持っている人が亡くなった場合に遺族が受け取れる年金です。

遺族基礎年金と重複して受取れます。

ただし、国民年金のみに加入している場合は対象になりません。

受け取れるのは、優先順位が高い方から、
  1. 配偶者
  2. 子:18歳(障害等級1級2級なら20歳)まで
  3. 父母
  4. 孫:18歳(障害等級1級2級なら20歳)まで
  5. 祖父母
配偶者と子では、子の有無などにより優先順位が変わる可能性があるため注意してください。

受給額は、次の計算方法で最も高い額が採用されます。
  • 自分の老齢基礎年金+自分の老齢厚生年金
  • 自分の老齢基礎年金+配偶者の厚生年金×4分の3
  • 自分の老齢年金+お互いの厚生年金の平均
国民年金のみに加入している場合に選べるのは、「配偶者の厚生年金の4分の3」です。

死亡一時金

老齢基礎年金や障害基礎年金を受給する前に亡くなった場合、死亡一時金が遺族に支払われます。

第一号被保険者として3年間国民年金に加入していたことが条件となります。第一号被保険者なので、自営業の方です。

受給額は、保険料を納めた月数に応じて12万円~32万円の範囲で決定されます。

受け取りの優先順位は配偶者→子供→父母→孫→祖父母→兄弟姉妹。配偶者以外でも受け取れる可能性がありますが、死亡当時生計を一にしていたことが条件になります。

寡婦年金

寡婦年金は、国民年金の第一号被保険者としての加入期間が10年以上ある夫が亡くなった場合にが受け取れる年金です。

寡婦年金は、年齢が限定されているなど、少し条件が多く複雑になっています。
  • 10年以上継続して婚姻関係にあった
  • 死亡当時、夫に生計を維持されていた
  • 夫が老齢基礎年金や障害基礎年金を受給する前に亡くなった
  • 妻が繰上げ支給の老齢基礎年金を受けていない
  • 妻の年齢が60歳から65歳の間
妻だけが対象となり、夫は対象にならないところに特徴があります。

受給額は、夫が受け取れたはずの老齢基礎年金の4分の3です。

死亡一時金とは、重複して受給することができず、どちらかを選択しなければいけません。

まとめ:厚生年金制度と貰える金額、国民年金との違いについて



厚生年金制度について説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。


この記事のポイントは、

  • 厚生年金の平均受給額は月間14.5万円
  • 老後の生活費には不足する可能性があるが、払い損とは言えない
  • 厚生年金と国民年金は、建物の2階と1階の関係
  • 退職したら、厚生年金から国民年金に切り替える手続きが必要
  • すぐに退職しても損しない
  • 万が一のときは、遺族が年金を貰える可能性がある

でした。 


厚生年金は、保険料が高いイメージがありますが、会社が半分負担してくれていることや受け取れる額が大きいこと、もしものときの保障が大きいものです。


様々な課題や意見があるのは間違いありませんが、給料から天引きされるものですから、悲観的になってもどうにもなりません。


あまりネガティブな情報に惑わされず、助け合いの精神で気持ちよく納めたいです。


それと同時に、自分の老後のために資産運用や保険の準備もしておくと安心できるのではないでしょうか。


ほけんROOMでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、是非ご覧ください。 

この記事の監修者
谷川 昌平
東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、保険相談や選び方のポイントを伝える「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

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