医療費控除の対象となるのはどんな時?範囲・期間・金額すべて解説

治療にかかった費用が医療費控除制度で税控除されることはご存知だと思いますが、その対象範囲や期間・金額を正しく把握していますか?これらを正しく理解して、最大限節税をしましょう。ここでは医療費控除の対象となる範囲・期間・金額やその計算方法をわかりやすく解説します。

医療費控除の対象となるのはどんなときなのか徹底解説します


治療にかかる費用は、積み重なって来ると家計の大きな負担になります。家族に通院や投薬が必要な人が居ると、医療費はかなりかさんでしまいます。


治療費が多くかかり、家計を圧迫してしまうような人の為に、医療費控除制度がありますが、対象の範囲や期間、控除される金額を正しく把握していますか?正しく理解する事で節税し、少しでもお金の負担を減らしましょう。


こういった制度は、調べても説明が難しかったり、ややこしい部分が多く、面倒だと諦めてしまう方も多いでしょう。もし自分や家族が対象者になるのならば、申請しなければ損をしてしまいます。

  • 医療費控除の制度
  • 医療費控除の対象・対象外を解説
  • セルフメディケーション税制とは?
  • 医療費控除の対象者・対象期間・対象額について
  • 医療費控除の申請方法

以上についてわかりやすく解説していきます。是非最後までご覧下さい。

医療費控除とはどんな制度なのか


医療費控除とは、1年の間で支払った医療費の合計が定められた金額を超えた時に適用される制度です。かかった医療費をもとに計算した金額分の所得控除を受ける事が可能です。


税金は自分が得た所得によって支払う税金の金額が計算されます。簡単に言うと所得が多いほど払う税額も多くなってしまいます。医療費控除を使うと、税金を計算する時に基準となる「課税所得」から医療費控除分の金額を含めなくてよくなります。すると、税金の支払い額を決める基準となる「課税所得」が少なくなり、その分支払う税金の金額が下がります。


会社によっては、給与を貰う時点で既に税金が差し引かれている場合もあります。そういった場合にはどうなるのでしょうか?


サラリーマンなど、給与をもらう時点で税金が差し引かれている場合は、支払った税金の一部が「還付金」として戻ってきます。自営業者の方も、確定申告の時に医療費控除を利用することで、納める税金が少なくなります。


確定申告の時に医療費控除の申請をすると、支払う税金が少なくなる場合と、お金が戻ってくる場合の2種類があります。

医療費控除の対象・対象外をわかりやすく解説します


医療費控除を受けるには、医療費控除の対象になるのかそうでないかを確認しましょう。

国税庁のサイトで対象になる範囲が記されていますが、難しい言葉で書いてあるので、できるだけ簡単に説明します。

区分
対象になる対象にならない
診療・治療・通院費
診療費や医療費
治療を目的としたマッサージ・鍼灸・柔道整復の費用
入院した時の部屋代・食事代
虫歯治療、歯列矯正
治療に関係ない施術に支払った費用
医師・看護師への謝礼
美容を目的とした歯科矯正や治療(インプラントなど)
交通費診療を受けるための通院・交通・送迎費用
タクシー(やむを得ない場合は対象)
車のガソリン代
新幹線・飛行機(自己都合の場合)
医療器具・医薬品治療や療養のための医薬品代
義手や義足などの医療用器具の購入代
予防・健康・美容目的の医薬品
その他妊娠に関わる検査、定期健診、通院の費用
助産師の介助費用
親族への謝礼


上記にある項目が私達にもよく当てはまる項目になります。更に詳しい事は国税庁のサイトにて明記されています。わかりにくい場合や、特殊な理由で自分が当てはまるかわからない場合は、税務署に確認してみましょう。治療のための医療費は対象になり、予防のための医療費は対象外になります。これを頭に入れておけば医療費制度の半分は理解出来た事になります。


歯科では虫歯の治療は医療費控除の対象になりますが、インプラント、歯科矯正、ホワイトニングなどは医療費控除の対象外になります。


出産に関わる費用については、妊娠初期から出産までに掛かった費用や交通費、その他備品等が出産費用として認められることが多いです。他にも不妊治療や産後ケア等、体をいつもの状態戻すための治療についても医療費控除が認められます。更に詳しいことは「出産の費用は医療費控除の対象に含まれる?いくらぐらいになる?」をご覧下さい。


人間ドックに関しては、自己負担で受けた場合の費用は医療費控除の対象になりません。人間ドックについては【徹底解説】人間ドックは医療費控除の対象になる?対象となる条件とはをご覧下さい。


インフルエンザなどの予防接種は、治療ではなく予防の範囲に入ります。なので医療費控除の対象になりません。ですが例外がある場合もありますので、詳しくは医療費控除はインフルエンザや乳児の予防接種なども対象になる?をご覧下さい。


コンタクトレンズについては、使用している目的や理由によって変わってきます。詳しくはコンタクトレンズにかかる費用は医療費控除の対象になるのか?をご覧下さい。

セルフメディケーション税制|第二医薬品も医療費控除の対象に!


セルフメディケーション税制をご存知ですか?貴方がドラッグストアなど購入している市販薬が、医療費控除の対象になるかもしれません。セルフメディケーションとは、「軽い不調は自分で手当てする」という意味です。そうすれば病院に行く必要が減り、ひいては国民の医療費を減らす事で、国の医療費負担を軽くするという狙いがあります。

  1. 健康診断などを受けている
  2. 第2類医薬品(市販薬)の世帯での購入数が年間1万2千円を超えている
  3. セルフメディケーション税制と医療費控除は同時に申請できない

セルフメディケーション税制を受けるにあたり、上記の3つのポイントを押さえておきましょう。更に詳しい事や、対象となる医薬品は厚生労働省のHPで確認出来ます。


第2医類薬品とは、ドラッグストア等で買える医薬品のうちのひとつです。現在市販されている医薬品のうち、ほとんどが第2類医薬品です。例えば普段使っている鎮痛剤も第2類医薬品です。申請のための条件が優しいので、積極的に使っていきましょう。


申請に必要なもの

  • 医薬品を購入したレシート
  • 申告する対象となる年に受けた予防接種や健康診断の領収書や結果通知

これらは申請の時に必要になるので、捨てないようにしましょう。医療費控除とセルフメディケーション税制は同時に申請することが出来ません。どちらを申請するかは自分が決めなくてはいけません。下の表から所得税率を調べて所得税の減税額を比べてみましょう。

課税所得額所得税率
195万円以下5%
195万以上330万円以下10%
330万以上695万円以下20%
695万以上900万円以下23%
900万円以上1800万円以下33%
4000万円以上45%

セルフメディケーション税制による控除額の計算式は以下の通りです。例えば課税所得額が200万円で、対象の医薬品を年間で3万円分買っていた場合で見てみましょう。

控除額:(200万円-3万円)× 所得税率:10%=1800円

この場合所得税から1800円が減税される事がわかりました。医療費控除の額と合わせて検討し、自分にとってお得な方を選びましょう。

介護費用・介護用おむつも医療費控除の対象になる

自宅に要介護者が居る場合も、医療費控除の対象になる費用があるので確認しておきましょう。まず介護サービスですが、大きく「医療系施設サービス」と「福祉系施設サービス」に分けられるのを知っていますか?


医療系施設サービスには、介護老人保健施設と介護医療院、指定介護療養型医療施設が含まれます。 医療系施設サービスを利用した時には、介護費と食費、居住費は全額が対象になります。


福祉系施設サービスには、特別養護老人ホームや指定地域密着型介護老人福祉施設が含まれており、 福祉系施設サービスを利用した時には、介護費と食費、居住費の半額が対象になります。


どちらの場合も、普段の生活に必要なものを購入したり、必要なサービスを受けた場合には対象になりません。例えば入居中に髪が伸びたので散髪してもらった場合などを指します。他には医師の指示が無いのに特別な部屋への入居した時など、特別なサービスを受けた費用は医療費控除の対象にはなりません。


在宅介護サービスも「福祉系居宅サービス」と「医療系居宅サービス」の2種類に大きく分ける事が出来ます。どちらのサービスを受けた時にも、医療費控除の対象となるので、領収書などは大事にとっておきましょう。更に詳しく知りたい場合は国税庁のHPを確認して下さい。


要介護者のおむつ代も、家計にとっては結構な負担になりますよね。6ヶ月以上寝たきりの人の紙おむつや、貸しおむつ代も医療費控除の対象となります。医療費控除を申請する場合は、医師に「おむつ使用証明書」を発行して貰うのを忘れないようにしましょう。

医療費控除の対象者は?家族も対象になるのか


医療費控除の対象者は、自分だけなのかは気になるポイントです。実は医療費控除は家族も対象になります。

  • 自分と同じ生計で暮らしている人
  • 所得の無い家族・別居している家族
  • 配偶者・子供
  • 子供からの仕送りで生活している親・親族

上記に当てはまる人の医療費を自分が支払っており、所得合計金額が200万以上で、医療費が家族合わせて10万円を超えていれば医療費控除を受ける事が出来ます。


家族の中で1番稼いでいる人が家族を代表して支払い、確定申告の時に家族分の医療費控除を申請するなど、それぞれの家庭で1番得する方法を考えましょう。家族分の医療費もあわせて医療費控除を申請する場合は、自分のはもちろん、家族の分の領収書も必要になるので、うっかり捨ててしまわないようにしましょう。

医療費控除の対象期間はいつからいつまでなのか


医療費控除を申請するにあたって、かかった医療費を計算しなければいけません。それにはまず医療費控除の対象期間がいつからいつまでなのかを知りましょう。


医療費控除の対象となる期間は1年間です。例えば、2020年ならば1月1日から12月31日の間に支払った医療費が控除の対象になります。


まだ支払っていない医療費があった場合は、実際に医療費を支払った年の医療費として計算します。例えば治療を受けたのは2020年でも、2021年に支払いをしたのならば、その分の医療費は2021年にかかった医療費として計算しましょう。

医療費控除の対象額はいくらから?金額の計算方法も解説


医療費控除について理解してくるとやはり1番気になるのは、対象額はいくらからなのか?、結局いくら戻ってくるのか?という事でしょう。


まず医療費控除の対象額は、10万円以上からになります。それと合わせて計算方法も見ていきましょう。計算の方法は年収が200万円以上かそれ以下かで変わってきます。


年収が200万円以上の場合の計算は以下の通りです。

1年間に支払った医療費-保険金などで補填される金額-10万円=医療費控除額

年収が200万円以下の場合の計算は以下の通りです。

1年間に支払った医療費の総額-保険金などで補填される金額-所得合計金額の5%=医療費控除額

年収が210万円で、1年間に払った医療費が30万円、保険などで10万円お金が戻ってきた場合は、

30万円(医療費)-10万円(保険金)-10万円=10万円(医療費控除額)

計算の結果、10万円が控除される事がわかります。

次に、年収が200万円以下だった場合で計算してみましょう。年収が150万円、1年間に支払った医療費の総額が30万円、保険金などで10万円お金が戻ってきた場合は、

30万円(医療費)-10万円(保険金)-7万5千円(所得合計金額の5%)=12万5千円(医療費控除額)

式に当てはめると、12万5千円が控除される事がわかりました。自分の年収を当てはめ、実際に計算してみましょう。

医療費控除の申請方法・手続きを解説

医療控除の対象、医療費を計算する期間がわかったところで、いよいよ申請です。申請方法や手続きはどうするのでしょうか。申請は、確定申告の時期に行います。所得があった年の翌年2月15日から3月15日までに申請します。


還付金を受け取る「還付申告」の場合は、翌年1月1日から5年以内であれば遅れての申請が出来ます。例えば2020年の医療費控除であれば、2021年1月1日から2025年12月31日まで遅れて申請する事が出来ます。還付申告じゃない場合は1年の期間が期限なので忘れないようにしましょう。


過去に1年間に10万円以上の医療費を支払ったのに、今まで医療費控除の手続きを行っていないなら、早めに確認しておきましょう。還付申告の場合ならまだ間に合うかもしれません。ただ医療費控除の申請は遅れてもいい事はありません。基本的には医療費のかかった年の翌年1月から申請の準備をしておくと安心です。

医療費控除の申請に必要なもの・書類


それでは早速、医療費控除に必要な書類を確認していきましょう。用意する書類の難易度は低めです。しっかり確認して用意しましょう。

  1. 病院で貰ったレシート・領収書など
  2. 医療費控除の明細書
  3. 源泉徴収票
  4. 確定申告書A
  5. マイナンバーなどの本人確認書類

上記の5点が必要になります。医療費控除の明細書にかかった医療費を記入し、確定申告書Aを完成させます。出来上がった書類にマイナンバーなどの本人確認書類の写しを添付して、住んでいる地域の税務署へ提出すれば申請完了です。


レシートや領収書類は税務署に提出する必要はありません。とはいえ、医療費控除の明細書の内容を証明しなければならない時があります。なので医療費控除を申請してから5年間は保管しておきましょう。


医療費控除の明細書・確定申告書Aは、以下の方法で手に入れる事が出来ます。

  • 税務署で貰う
  • 国税庁のサイトからダウンロード
  • 国税庁のサイト上のツールで作成

国税庁のサイト上でのツールで作成する場合は、必要な数字を入力するだけで作成する事が出来ますので、パソコンの知識がある程度ある場合はネット上での作成がおすすめです。

申請書類の書き方・記入例


申請のための書類や、書き方・記入例を説明していきます。確定申告書は国税庁のサイトにて作成出来ます。必要事項の記入や数値の入力だけで、計算もしてくれるので便利です。同じく国税庁のサイトで医療費控除の明細書をダウンロード出来るので、合わせて確認してみましょう。



書き方や記入例を詳しく説明します。記入しなければならない情報は以下の通りです。

  • 申請する本人の住所・氏名
  • 医療費通知に書かれた医療費の額
  • 医療費通知に書かれているうちその年中に実際に支払った額
  • 実際に支払った額の中で生命保険や社会保険などで補てんされた金額
  • 医療を受けた本人の氏名
  • 病院・薬局などの支払い先の名前
  • 医療費の区分
  • 支払った医療費の額
  • 上記のうち生命保険や社会保険などで補てんされる金額

以上を記入し終わったなら、最後に控除額の計算をします。明細書自体に計算式が書かれているので、それに従って計算しましょう。


医療を受けた本人を山田花子さんとします。山田花子さんがA薬局で処方を受けているのなら、1年で支払った金額の合計を記入します。別の名前の薬局にも訪れた事があるのなら、更に下の欄に薬局名と支払った金額の合計を記入しましょう。他に複数の医院にかかっているのなら、医院ごとにかかった医療費の合計を記入しましょう。他の欄には指示されたままを記入すれば大丈夫です。

まとめ:医療費控除の「対象」をしっかりおさえて確定申告しよう


医療費控除について紹介と説明を行いましたが、如何でしたか?せっかくある制度ですので、対象となる医療費を理解し、確定申告の時に医療費控除の申請も行いましょう。医療費控除の申請を行うにあたってのポイントを挙げます。

  • 医療費控除は、1年間に支払った医療費が10万円を超えた時に適用される
  • 医療費控除の対象になるのは、治療のために支払った医療費のみ
  • 医療費が10万円超えない場合は、セルフメディケーション税制に当てはまるかチェック
  • 自分と同じ生計で暮らしている家族も対象になる
  • 医療費控除の対象期間は1年

国税庁のサイトでは、確定申告書も医療明細書もWEB上で作る事が出来るので、そちらも検討してみて下さい。

また、直接税務署に訪れる時間が無い、すぐにでも書類を作成したい!という時は、申告書や医療明細書の書式をダウンロードする事も可能です。以上の項目をおさえ、少しでも節税出来るようにしましょう。

この記事の監修者
谷川 昌平
東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、保険相談や選び方のポイントを伝える「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

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