育児休業給付金(育休手当)とは?申請手続きから延長まで解説

育児休業給付金(育休手当)をご存知ですか?ただ育休中に手当がもらえるというだけではなく、申請手続きや受給資格、延長ができることを知っておく必要があります。ここでは、育児休業給付金の受給条件から申請方法、いくらもらえるかの計算方法、更に税金についても解説します。

育休中の収入源、育児休業給付金(育休手当)とはどんな制度なのか


はじめて子どもが生まれて幸せに包まれているパパとママ。

子どもの成長をそばで見守るのは楽しく、特に赤ちゃんのころには、そばにいてお世話をしてあげたいですよね。


育児休暇を取って赤ちゃんの面倒を見るとなると、会社を休まなければいけません。すると気になるのは収入のことではないでしょうか?


実は、育休中には給料のかわりに育児休業給付金を受け取る制度があります。休んでいる間の収入を補ってくれる制度です。しかし、はじめてのことでどうやってもらえば良いのか、いくらくらいもらえるのか、余り良く分からないので、はっきりと知りたいですよね。


そこで、ここでは次のことを詳しくお伝えします。


  • 育児休業給付金の受給資格と受給条件
  • 育休手当はいつからいつまでもらえるか
  • 育休手当はいくらもらえるか
  • 育休手当の申請方法
  • 育休期間は延長できるか
  • 税金について


この記事を最後まで読んでいただけたら、育児休業給付金のことがよく分かり、安心して子育てができて、笑顔となるでしょう。

是非、最後までご覧ください。

育児休業給付金(育休手当)とは|厚生労働省による育児支援制度

育児休業給付金とは、生活の大事なサポートをするために出来た制度のことです。厚生労働省による育児支援制度のことで、雇用保険から支給されます。


子どもが生まれるときには産休手当が支給されますが、育児休業を取った場合、会社から給料が支払われなくなりますので、何も収入がなくなると生活できなくなってしまいますよね。それを補うための制度はとても大事ですので、しっかりと覚えておきましょう。


育児休業給付金は子どもが生まれてから1年間、給付金が受け取れるしくみになっています。

また、決められた理由があるとき、1歳6か月まで延長できます。

そして、2017年10月に制度が改定され、最長で2歳まで育休が延長できるようになりました。


共働き世帯が多くなっていて、保育所になかなか預けられないなどの家庭環境を整えるための制度の改定とも言えます。

職場環境も家庭環境もどちらも大切ですから、この制度改定は意義があります。

育児休業給付金(育休手当)の受給資格・受給条件とは?

育児休業給付金(育休手当)の受給資格がある人とは次の人のことを言います。

  • 1歳未満の子どもがいる人
  • 雇用保険に加入している人

さらに、次の条件が必要です。


  • 育児休業を開始した前の2年間に、雇用保険の被保険者期間が12か月以上あった人(※この12か月とは、ひと月に11日以上、会社で働いていた月のことを言います。)
  • 育児休暇後に会社を辞める予定がない人


正規社員の場合はおおよそ該当になると思われますが、パート社員などの場合は、日数的に該当にならないケースもあります。

ですから、日数チェックをしっかりしてから申請するようにしてください。


また、会社を育休に入る前にすでに会社を退職する予定がある場合は該当になりません。


また、育児休暇中に会社で働いて給料をもらった場合は以下の条件も必要となります。


  • 育児休暇中の給料が、育児休暇前の給料の80%未満であること。
  • 育児休暇中の就業日数が一月あたり10日以内であること。

いずれも1か月ことに算定されます。

しっかりと把握していないと、不正受給とみなされ、後で返還ということにならないように注意しましょう。

育児休業給付金(育休手当)は男性(父親)も受給することができる


育児休業給付金(育休手当)は男性(父親)も受給することができます。


最近では「イクメン」という言葉があるほど、パパが積極的に育児に参加するようになってきました。

それに伴い、育児休業をパパが取り、育休手当を受給するケースも増えてきています。


2010年からはパパママ育休プラスという新しい制度が出来ています。

これは育児休業期間が1年から1年2か月に延長され、子どもが1歳2か月になるまで育休手当がもらえる制度です。


共稼ぎのご家庭は育児に二人で協力しあうためにも、是非、利用したいものですね。

育児休業給付金(育休手当)の支給期間はいつからいつまでか

次に、育児休業給付金(育休手当)支給期間はいつからいつまでになるか解説します。


育児休業給付金を受け取れる人は、子どものパパとママ両方です。


【いつから育休手当を受け取れるか】

ママが育休手当を受け取れるのは、産休が明けてからになります。

産休は産後8週間と決まっており、その間は育休手当は受け取ることはできません。


出産日から計算すると、8週間たった翌日からとなりますので、出産日から58日目
なります。


パパが育休手当を受け取れるのは、出産日の翌日からになります。


【いつまで育休手当を受け取れるか】

子どもが1歳になる前日までとなります。


ただし、認可されている保育所に申し込みをしているが決まらないときなど、特定の条件がある場合、延長もできます。延長は1歳6か月となりますが、最大で2歳になる前日までとなっています。


また、1歳になる前に職場に戻り仕事に復帰したときには職場へ復帰した日の前日までと短くなります。

育児休業給付金(育休手当)ではいくらもらえる?計算方法は?


さて、一番気になるのは、育児休業給付金がいくらもらえるかではないでしょうか?


そこでここでは、カンタンに計算方法をお知らせします。


計算式は次のようになります。


休業開始時賃金の日額×支給日数×67%(6か月経過後は50%となります。)


支給の基本となるのは休業開始時賃金の日額です。

この金額は育児休暇を開始する前の6か月間の賃金を180日で割った金額になります。

つまり、6か月間の給料の平均日額、ということになります。賞与は含まれません。


では、実際に計算してみましょう。


<例>休業開始時の賃金日額が10,000円の場合


育児休暇開始後、6か月間・・・10,000円✕30日✕67%=201,000円

育児休暇開始後、6か月以降・・・10,000円✕30日✕50%=150,000円


なお、育休手当には上限と下限があります。

賃金月額(休業開始時の賃金日額✕支給日数)が449,000円が上限、74,400円が下限となります。


計算すると、育休開始から6か月以内のとき、実際にもらえる育児手当の上限は301,299円、下限は49,848円です。

育児休業給付金(育休手当)の申請手続き・必要書類の書き方

育児休業給付金をもらうためには申請が必要になります。


基本的には会社側が手続きを進めてくれるので、そんなに心配はいりません。

そうは言っても、提出するに対して事前準備する書類があります。


実際に育児休暇に入ってしまうと、なかなかゆっくりと揃えている暇もなくなるかもしれません。

特に初めての手続きなので不安があると思います。


そこで迷わないように、育児休業給付金をもらうための申請手続きと必要書類の書き方を説明します。


育児休業給付金(育休手当)の申請に必要な書類・書き方

育児休業給付金の申請に必要な書類は


  1. 雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書
  2. 育児休業給付受給資格確認票
  3. (初回)育児休業給付金支給申請書
  4. 賃金台帳、労働者名簿、出勤簿またはタイムカード


1と2は、会社の所在地を管轄するハローワークから交付される書類です。

1.2.3.4は会社が用意してくれます。


パパやママが準備するものは、

  1. 母子手帳など育児を行っていることが証明できる書類のコピー
  2. 育児休業給付金を振り込むための通帳のコピー

なお、受給資格申請確認表にはマイナンバーを記入するところがありますので、前もっての準備をお忘れなく!


(初回)育児休業給付金申請書の書き方や注意する点は、申請書の「申請書様式(第2面)」に書かれています。


また、書類の書き方は厚生労働省の下記ページに記入例が書いてありますので参考にしてください。

「第11章育児休業給付について」128ページ/厚生労働省

詳しいことは、会社の管轄のハローワークへお問い合わせください。

育児休業給付金(育休手当)の受給申請手続き方法

育児休業給付金の受給申請手続きは、パパやママがお勤めしている会社を通して管轄しているハローワークで手続きをします。


申請する人(パパ、ママ)が会社に育児休暇を取りますと申し出をすると、会社側が管轄のハローワークで手続きをしてくれます。


会社が申請をすると、育児休業給付受給資格確認票(初回)育児休業給付金支給申請書を受取りますので、必要な事をもれなく記入します。


このように、会社側で必要書類を教えてくれるので、会社の担当者の指示にしたがって手続きをすれば問題ありません。


とは言っても、自分のことですから、まったく内容を知らないでおくより、先に内容を知っておいた方が安心ですよね。


そこで、申請期限や申請手続きについて説明します。

育児休業給付金(育休手当)の申請期限

育児休業給付金の申請期限は次のとおりです。


受給資格確認手続きのみ行うときは、初回の支給申請を行う日までです。

受給資格の確認と初回申請を同時に行うときは、休業してから4か月を経過する日の属する月の末日までとなります。


ですから、例えば4月10日から会社を休む場合は、8月末日までに申請をしないと育休手当をもらうことができませんので気をつけてくださいね!

育児休業給付金(育休手当)の2回目以降の申請手続きについて

育児休業給付金の2回目以降の申請手続きは自動的には行われません。


2か月に1回、会社を通して支給申請書などを提出する必要があります。


必要書類は1回目と比べて少なく、次の2種類です。


  1. 育児休業給付支給申請書
  2. 賃金台帳、出勤簿又はタイムカード

1の育児休業給付支給申請書は、前回の支給申請の手続き後に、ハローワークから交付される書類です。


2回目以降からの申請期限は、ハローワークから決められた期限までに申請してください。

期限はハローワークから交付される通知書に記載されています。

申請が遅れてもらえなくなることがないよう、十分注意しましょう。


また、手続きしたのに振り込みが遅いなと思ったときには、会社の担当者に問い合わせをしましょう。

すべて、会社を通しての手続きとなっていますので、会社との連絡をこまめにしておくことも大切です。

育児休業給付金は税金がかからず、年末調整・確定申告の必要なし


ところで、育児休業給付金(育休手当)に税金はかかるのか、年末調整や確定申告が必要になるのか気になりますよね。


結論から申し上げますと、税金はかかりません。

なぜかと言うと、出産に関わる出産手当金(産休手当金)や育児休業給付金は非課税所得となるからです。


ですから、会社での年末調整や個人的に申告する確定申告時に、申告する必要はありません。


育児休業給付金や産休手当は会社が支払ってくれるのではありません。

健康保険や雇用保険から支払われるので、税金はかからないのです。


かりに1月から12月まで育児休暇中で給与をもらっていなければ、年末調整・確定申告はともにしなくてもよくなります。


逆に、育児休暇中に一定期間会社で働き給与が支払われたときは、その分は給与収入となり、年末調整・確定申告は必要となりますので注意してください。

育児休業給付金(育休手当)の受給期間は延長できる|コロナによる延長も

育児休業給付金(育休手当)の受給期間は条件によって延長することができます。


次の3つの場合に延長ができます。

  1. パパママ育休制度を利用したとき
  2. 子どもの養育をしている配偶者が死亡、または病気で子どもの養育をすることが出来なくなったとき
  3. 子どもを認可保育園等等に入所する手続きをしていたが、保育園に入所できなかったとき



1のパパママ育休制度を利用して、パパとママふたりとも育児休暇を取得すると、1年2か月まで延長できます。


2の配偶者が死亡・病気の場合は、子どもが満1歳6か月の前日まで延長できます。最長で子どもが満2歳になる前日まで再延長できます。


3.の保育所に入所できなかったときは、子どもが満1歳6か月の前日まで延長できます。最長で子どもが満2歳になる前日まで再延長できます。


延長や再延長をしたい時は、会社に申し出をしてください。

自動的に延長にはなりません。


ただし延長の条件として、1年以上、会社にお勤めをしていることが必要です。

雇用契約期間が満了していると非該当になりますので注意してくださいね。


なお、新型コロナウイルス感染症防止対策により、育児休業期間の延長が認められています。


令和2年4月入園の場合、育児休暇からの復職となるのですが、復職期限は7月1日までの延長となっています。


育児休暇にもコロナの影響がでており、随時変更になる可能性があるので、気をつけて対応ください。

育児休業給付金(育休手当)まとめ|

育児休業給付金について申請手続きや延長、税金について説明しましたがいかがでしたか?

  • 育児休業給付金とは育児休暇中の収入を補うための制度で、雇用保険から支給される
  • 育児給付金は最初の6か月は賃金月額67%、7か月目からは賃金月額の50%
  • 育児休業給付金の受給資格は子どもの父親・母親で、一歳未満の子どもがいて雇用保険に加入している人
  • 育児休業給付金は産休が終わってから1年間
  • 保育所に入所できないなどの特別な事情があれば、最長で2年間延長できる
  • コロナ事情で延長もある
  • 育児休業給付金は非課税なので、年末調整や確定申告の必要はない
子どもが生まれてからは育児休暇中でも毎日がバタバタでゆっくりと手続きや申請方法を調べている時間もないと思われます。

できれば出産前から事前に準備をしておき、申請が遅れてもらえなくなってしまったとか慌てることのないようにしてください。

そして、安心して子育てをパパとママと一緒に協力していってくださいね!

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