通院のみ保障の医療保険が存在しないのはなぜか?その理由とは?

日本の医療保険の中には通院のみの保障というものが極端に少ないです。そこには契約者側と保険会社側のそれぞれに理由があり、そのために通院のみの医療保険というものは作りにくいようになっています。今回はその作りにくい理由と日本医療の現状を踏まえて解説します。

なぜ通院のみの医療保険がほとんど存在しないのか

医療保険には様々プランと各保険会社による独自の保障内容で各人に合った医療保険が選べるようになっています。

本来、医療保険は病気やケガを保障するための保険ですが、通院のみという医療保険をあまりみかけませんよね。


なぜ通院のみというプランが医療保険にほとんど見当たらないのでしょうか。


そこでこの記事では通院のみの医療保険について


  • 契約者から見た通院のみ医療保険のデメリットについて
  • 保険会社から見た通院のみ医療保険のデメリットについて
以上のことを中心に解説していきます。

この記事を読んでいただければ、通院中だけ医療保険に保障してもらうことの難しさが理解していただけると思います。

是非最後までご覧ください。




医療保険は入院保障と通院保障がセット

医療保険の主契約はほとんどが入院給付金手術給付金の2本立てになっています。

この上にがんや先進医療に関する特約を付加できるという仕組みです。


つまり医療保険では最初から入院給付金と手術給付金に関する保障は外せないようになっています。


多くの医療保険では入院給付金として入院保障がついています。


そして入院保障ははじめから「入院保障+通院保障」という枠組みで組み込まれているのです。


つまり、最初からセットのため取り外しができない状態になっているということです。


通院中だけ保障してもらえるプランがあれば、より加入しやすくなり契約者が増えるかもしれません。

しかし、現状は通院保障は以下のようになっているケースが多いです。
  • 退院の翌日から120日以内の通院のみが対象(限度30日)
  • 入院前の60日の通院と退院の翌日から120日以内の通院が対象(限度30日)

なぜ通院保障は入院とセットとされ、通院保障のみというプランを作ることができないのでしょうか。

なぜ通院のみの保障が存在しないのか

現在の日本において、入院期間は短く、通院日数が伸びているという事実があります。ではなぜ通院保障のみの医療保険が作られないのでしょうか。

通院のみの医療保険があれば日本医療の現状ともマッチし、通院のみの治療を望む方も増えていくでしょう。


必要以上に入院させず通院のみで病気やケガを完治させる方が病院側にもメリットがあるように思えます。


しかし、通院のみの医療保険が存在しないのはデメリットがあるからなのです。


それは保険というビジネスの構造によるデメリットと、契約者にとっても保険に入ることのメリットが少なくなるということなのです。


では、どのようなデメリットがあるのかということを次の章で解説します。

契約者は保険料に見合う保障が受けにくい

医療費で多くを占めるのが入院費手術費です。そのため医療保険の中身はこの2つについてを主として扱っています。ここに一番費用が掛かるから契約者は保険料を支払っているのです。通院のみの医療保険はこの2つのポイントに対して保険金が出ません。

医療保険は日帰りにすることはできないほど重症の場合にこそ本来の力を発揮するものですから、通院のみというプランでは契約者に大きなメリットが発生しにくいのです。


また、通院中の費用は交通費の占める割合が高くなります。さらに、医療費が少ない割に、診断書に必要な費用が高くなってしまいます。


したがって給付金とこれらの費用が相殺されてしまうような関係になってしまいます。そのため通院のみのプランというのは契約者にとって得られる効果が少ないのです。

保険会社は通院のみで販売してしまうと保険料が高くなる

一方で保険会社にとっても通院のみの医療保険は設定が難しいプランとなっています。

通院のみの医療保険というのはリスク(発生する確率)が高く、保険として設定するには高額な保険料を請求せざるを得なくなるのです。


保険会社が通院のみの医療保険に対して問題になるのは給付金の過度な請求です。


医療保険を適用させるためには診断書を主治医に書いてもらいその実績に応じて給付金を支払います。


そのため通院のみで済む病気、例えば風邪や腹痛、頭痛などと病気としてはっきりしない症状でも給付金の請求をされてしまう可能性があるのです。


医療保険としては診断書が契約内容に許容されているかぎりは給付金を出さないわけにいきません。


こうしたところから過度な給付金請求を考慮して、契約者に請求する保険料も高く設定せざるを得なくなるのです。


このように通院保障のみという医療保険は、契約者の経済的負担が少ない一方で、保険会社としては多額の給付金を支払ことになります。


したがって通院保障のみの保険商品を販売することはビジネスとして難しいのです。

通院のみの保障が可能な医療保険はほとんどないのが現状!

通院のみの保障の医療保険が販売される可能性も0ではないですが、現状では通院のみが保障される保険はないと認識している方が良いでしょう。


通院のみ保障される医療保険は先ほど述べたように双方にデメリットが大きいため今後も一般的になることは考えにくいからです。


また、通院のみの保障の医療保険が存在したとしても通常の医療保険と異なり契約内容や更新に関する取り決めが特殊になっている場合が多いです。


通院保障のみを希望する方でもまずは保険のプロに無料相談して、商品を比較して、総合的に保証を見直してみましょう。あなたに最適な保険プランを保険のプロが提案してくれます!


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日本では入院期間が短くなってきている

現在の日本医療の現場では少子高齢化によって深刻な人材不足に陥っています。

人材不足から医療サービスが低下し、病院運営が困難になるという問題があります。

つまり病院内でできることは少なくなっていく一方で患者はどんどん増えているというのが現状です。


いわば病院に対する需要過多の状態になっているということです。


その一方で日本ではより多くの患者に対して、より丁寧な医療サービスを行うことを求められています。


これはかなり厳しい状態であると言えます。


しかしその中でも医療の現場では治療技術の発達が進み、以前よりも短い期間で治療ができる病気が増えています。


そのため医療の現場では、入院期間をできるだけ短くすることで、次の患者や急患のためにベッドを確保するよう努めなければならなくなっています。

日本人の入院期間の推移

実際に日本人の入院期間がどのように推移しているのかについてみてみましょう。

以下のグラフは厚生労働省の「平成29年(2017年)患者調査の概況」より作成されたグラフです。

平均入院日数の推移

平均入院日数の推移
グラフから読み取れるように、退院までの平均在院日数は30日前後という結果になりました。


医療保険のほとんどが60日や120日の入院限度日数であり、その日数が十分なものであることが分かります。


また一般診療所では約半月程度しか入院させられていないという現状があります。


これは病院や一般診療所に限界が来ており、それ以上に入院には病院側のリスクが過大になることが考えられます。


しかし、入院させずに通院のみで治療をすればこのような問題は出てこないでしょう。

通院のリスクに備える3つの選択肢を解説

通院のリスクに備える方法は、医療保険だけではありません。以下3つの選択肢をそれぞれ紹介していきます。


ご自身に合った方法で備えておくことが大切です。

①医療保険に通院保障の特約を付加する

入院とセットでの保障となりますが、通院の保障についてもしっかり備えておきたい方は医療保険に通院特約を付加しておくのが良いでしょう。


保険のプロに相談すれば、ご予算と保険料を比較しながらあなたに合った保険を提案してくれます。

②医療保険以外の保険を検討する

医療保険以外の保険について検討してみるのも良いでしょう。具体的には、傷害保険・就業不能保険・介護保険などが選択として挙げられます。


傷害保険とは、日常生活でのケガに対して保険金が支払われる保険です。


就業不能保険とは、病気やケガで働けなくなったときに収入を保障するための保険です。


介護保険とは、保険会社の定める要介護状態になった場合に介護年金や介護一時金が受け取れる保険です。


保険のプロなら、医療保険だけでなくさまざまな保険の中から総合的にあなたに合った保険がご提案できます。

③医療費として貯蓄しておく

通院については、保険で備えないのであれば、医療費として使えるように日頃から貯金しておくこともおすすめです。


通院が続くと、ちょっとした交通費や治療費が積み重なっていきますので注意しておきましょう。

まとめ:通院のみの医療保険について

医療保険の通院保障では、病気やケガで入院し、退院後も通院が続いた場合に備えることができます。

今回の記事のポイントは

  • 医療保険のほとんどは入院と通院がセットになっていること
  • 入院期間は短くなっているにもかかわらず、通院のみの医療保険は少ないこと
  • 通院保障のみの保険商品は契約者と保険会社双方にメリットがないこと
です。

入院日数が少なくなり、通院での治療が広まっている今の医療の現状を踏まえ、どのような備え方がご自身に合っているか考えてみましょう。保険のプロに頼ってみるのもおすすめです。

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