更新日:2022/06/15
「実費補償型医療保険」特徴とメリットは?日額補償型との比較で解説
医療保険と聞くと、入院の1日に対して給付金がおりる日額保障型の商品をイメージする方が多いかと思います。しかし最近では医療費の実費を全て補償する実費補償型の医療保険も存在します。今回は実費補償型と日額保障型のメリット・デメリットについてFPが徹底解説します。
- 実費補償型の医療保険を検討している人
- 医療保険は日額保障と実費補償のどちらが良いか迷っている人
- 日額保障型の医療保険を利用した際に給付金が実費より少なかった人
内容をまとめると
- 実費補償型は入院日数が減少している近年の特徴に適した保険
- 実費補償型は差額ベッド代や食事代など公的保険対象外の費用まで補償される
- 実費補償型には通院補償や終身補償の不足、給付金の上限などの欠点もある
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目次を使って気になるところから読みましょう!
- 実費補償型の医療保険とは?日額補償型との違い
- 「実費補償型」医療保険の4つのメリット
- メリット①:入院日数が減少している今の時代にあっている
- メリット②:公的保険が出ない費用も補償される
- メリット③:給付金が実際の医療費を下回ることを防げる
- メリット④:日額保障型と比べて入院給付金の上限日数が多い
- 「実費補償型」医療保険の3つのデメリット
- デメリット①:終身型がなく、定期型の商品しかない
- デメリット②:現在の商品は通院・在宅療養の保障に弱い
- デメリット③:給付金の限度額は数百万円程度しかない
- 「日額保障型」医療保険の2つのメリット
- メリット①:定期型だけではなく終身型の保険もある
- メリット②:数ヶ月以内の入院期間なら受取総額は多い
- 「日額保障型」医療保険の3つのデメリット
- デメリット①: 支払い限度日数がある
- デメリット②:終身型の場合は時代の経過で保障内容が古くなる
- デメリット③:保険金が足りない場合がある
- まとめ:実費補償型と日額補償型で困ったらプロであるFPに相談しよう!
目次
実費補償型の医療保険とは?日額補償型との違い
医療保険は給付金の受け取り方の違いで「日額補償型」と「実費補償型」の2つのタイプに分けられます。これまでは入院1日あたりで給付額を定める日額保障型が主流でしたが、現在では実際にかかった医療費が給付対象となる実費補償型の医療保険も登場しています。
日額補償型と比較して、実費補償型医療保険には以下の特徴があります。
- 実際にかかった医療費が全額支払われる
- 高額な差額ベッド代や保険適用外の治療も給付対象
- 入院給付金の対象日数が長い
- 保険期間は定期型のみ
日額補償型と実費補償型の違いを理解したうえで、次にそれぞれのメリットとデメリットを見ていきましょう。
「実費補償型」医療保険の4つのメリット
日額補償型とは仕組みの異なる実費補償型医療保険は、どのようなメリットがあるのでしょうか。
本章ではメリットを以下の4つのポイントでご紹介します。
- 入院日数が減少している今の時代にあっている
- 公的保険が出ない費用も補償される
- 給付金が実際の医療費を下回ることを防げる
- 日額保障型と比べて入院給付金の上限日数が多い
メリット①:入院日数が減少している今の時代にあっている
実費補償型は、入院日数が減少している今の時代の傾向に適しています。
従来の入院日数で補償する日額補償型では、入院日数が減る分だけ受け取れる給付金も減り、経済的な損失をカバーしきれない可能性があります。一方で実費補償型では、実際にかかった医療費が給付されるため、入院日数に影響をうけません。
入院日数が減少している背景として、日本の少子高齢化があげられます。
少子高齢化が加速度的に進んでいる主な原因は以下の3つです。
- 医療技術の発展(高齢化)
- 低経済成長による若者の貧困(少子化)
- 多様性の尊重(少子化)
- 在宅診療や通院メインでの治療(入院日数の短縮)
- 定期検診による指導強化(生活習慣病の予防)
メリット②:公的保険が出ない費用も補償される
従来の日額保障型医療保険では、下記のような費用は公的医療保険の対象外でした。
- 家事代行
- ペットシッター
- 差額ベッド代(個室利用時)
- 食事代
- テレワーク
- 大学講義のオンライン化
- ZOOMを通じたオンライン交流
- 個室化による感染対策
メリット③:給付金が実際の医療費を下回ることを防げる
日額保障型の医療保険では医療費を全額賄えないことがあります。
メリット①でも説明しましたが、昨今の入院日数減少によって日額保障型で得られる給付金が減る傾向にあります。
それでも重い病気になるとある程度の医療費が発生します。肺炎や心不全など、入院が必要な病気の医療費は10万円以上かかります。
入院時の平均的な医療費と在院日数は、下記の通りです(3割負担考慮)。
- 肺炎(1歳~14歳):10万8000円、6.7日
- 心不全:24万300円、17.9日
- 85歳未満の2型糖尿病(末梢循環不全なし):15万6000円、13.3日
メリット④:日額保障型と比べて入院給付金の上限日数が多い
日額保障型では、入院日数に上限があるといった欠点もあります。前述の通り、比較的短期の入院でも給付金では賄えない場合もありますが、数万円~10万円程度なら何とか払えるのではないかと思います。
一方、長期で入院した場合、日額保障型では一般的に下記病気以外では60日または120日が上限です。
- がん
- 脳出血
- 心筋梗塞
「実費補償型」医療保険の3つのデメリット
これまで実費補償型の医療保険のメリットについて説明してきました。ここでは以下3つのデメリットについて解説します。
- 終身型がなく、定期型の商品しかない
- 現在の商品は入院に対する保障に偏っており、通院・在宅療養の保障に弱い
- 給付金の限度額は数百万円程度しかない
デメリット①:終身型がなく、定期型の商品しかない
日額保障型と異なり、実費補償型の保険は保障期間が定期型のものしかありません。一般的には5年ごとの更新になります。
保険には通常、終身型と定期型があり、主な違いは下記のようになります。
- 終身型:契約年齢時の保険料が死ぬまで継続
- 定期型:更新される度に保険料が上がってしまう
デメリット②:現在の商品は通院・在宅療養の保障に弱い
実費補償型の保険は、最近登場した商品です。そのため、大手の損害保険会社数社のみが出しているので商品の数が少ないのが現状です。
現在の実費補償型の医療保険は入院に特化したものが多く、通院保障は薄くなっています。最近は入院日数の減少に加えて通院メインでの治療も進んでおり、実費補償ではカバーしきれない場合があります。
通院保障がある商品もありますが、通院については日額保障の商品が多く、日額保障型の保険と大差ありません。
ただし、実費補償型はできて間もない商品なので、今後通院治療に対して手厚い商品になる可能性もあります。実費補償型保険は一般的に5年更新なので、更新時に新しい商品が出たら乗り換えるスタンスで入っておくのはありかもしれません。
大手損保が出している実費補償型の保険の商品例について下表にまとめたので参考にしてください。
商品A | 商品B | |
---|---|---|
基本補償 | ・入院治療費用保険金 ・入院諸費用保険金 ・入院医療保険金および手術医療保険金 ※3つの基本補償のうちいずれか1つ以上をセット | 入院治療費用保険金 |
入院治療費用保険金 (1回あたり) | 上限120万円 | 上限120万円 |
入院治療費用保険金 | 上限500万円 | 上限180万円 |
基本補償の保険料 | 1,770円〜2,760円 (20代男性の月額) | 830円〜1,028円 (20代男性の月額) |
申し込み方法 | 店頭orネット | ネット専用 |
デメリット③:給付金の限度額は数百万円程度しかない
実費補償型にも給付限度額があります。大手損害保険会社のとある商品では120万円前後が給付限度です。
治療費が高く、治療期間の長い病気になってしまうと、実費補償型でも医療費をカバーできない可能性もあります。
入院日数は減少傾向にあるので、実際にカバーできなくなるリスクはほとんどないとはいえ、実費補償型と言いつつ補償しきれない部分があるのはデメリットといえます。
しかし、高額な医療費に関しては実費補償型にも先進医療特約(オプション)があり、付加すれば2000万円まで先進医療の実費補償が受けられます。
「日額保障型」医療保険の2つのメリット
次に、日額補償型のメリットについて説明します。
ここまでの説明だと実費補償型の方が圧倒的に得だと思われる方もいるかもしれませんが、日額保障型には以下のようなメリットがあります。
- 定期型だけではなく終身型の保険もある
- 数ヶ月以内の入院期間なら受取総額は多い
メリット①:定期型だけではなく終身型の保険もある
補償が一生涯続く終身型が選べる点は日額補償型の大きなメリットです。
終身型は定期型と比較して若いうちの保険料は高いですが、トータル金額は安くなります。解約返戻金がある保険なら積立金の一部を解約時に受け取ることができます。
解約返戻金には大きくわけて下記3つの型があるので、商品ごとの違いには注意してください。
- 低解約返戻金型
- 従来型
- 無解約返戻金型
メリット②:数ヶ月以内の入院期間なら受取総額は多い
日額保障型は入院時の支払い限度日数が60日または120日が一般的です。数ヶ月程度の入院期間なら入院日数分の給付金を受け取れるので、実費補償型よりも受け取れる給付金は多くなります。
以下の表で示した病気を例にすると、平均在院日数が10日以上あり、高額療養費制度を適用すると10万円前後が自己負担になります。入院日額1万円の医療保険に加入していれば、実費補償型よりも多く給付金を受け取ることができます。
疾患 | 自己負担額 | 平均在院日数 |
---|---|---|
脳梗塞 | 356,000円 | 20.3日 |
肺・気管支がん | 183,000円 | 13.2日 |
糖尿病 | 156,000円 | 13.3日 |
(参照:病気の自己負担額と平均在院日数|国立国際医療研究センター病院)
実費補償型の商品は基本的に高額療養費制度の上限額を超過した分を差し引いた医療費に対して実費補償がなされます。
また、限度日数よりも長くなる入院は近年減ってきており、特に半年以上の長期入院はほぼ皆無といえます。生活習慣病やガンなどある程度入院日数のかかる病気でも、平均入院日数は60日もないので、日額保障型でも十分カバーできます。
1年以上の長期的な病気への対策なら、むしろ医療保険ではなく就業不能保険で減った収入をカバーする方が現実的です。
「日額保障型」医療保険の3つのデメリット
日額保障型のデメリットは以下3点があげられます。
- 支払い限度日数がある
- 終身型は時代の経過で保障内容が古くなる
- 保険金が足りない場合がある
デメリット①: 支払い限度日数がある
日額保障型は、前述の通り支払い限度日数があります。現在の医療体制で数ヶ月以上の入院になることは稀ですが、複雑骨折での長期入院や抗がん剤治療による長期通院だと上限以上の保険金はもらえません。
レアケースとはいえ実費補償型と比べて受け取れる保険金が少なくなるリスクがあります。
デメリット②:終身型の場合は時代の経過で保障内容が古くなる
終身型の場合、保障内容が更新されず、新しい治療法に対して給付金が受け取れない可能性があります。
若い時に終身型保険に入っておけば高齢時に比べて毎月の保険料が安くなることを理由に、終身型に加入している20〜30代の人たちも多くいます。
ただし、20代、30代で大きな病気をすることは稀であり、大半は高齢者になって罹患します。保険だけは古いままで医療だけが数十年以上進歩しているため、新しい治療法では給付金が支払われない可能性があります。
これを防ぐためには、特約の追加や契約変更が必要です。結果的に定期型と同等以上の保険料を支払うことになります。
保険の契約内容によっては契約変更や特約追加ができないものもあり、終身型の医療保険は将来的な変化に対して不向きです。
デメリット③:保険金が足りない場合がある
日額補償型では、定期型、終身型のいずれも入院日数に応じた給付と手術、病気に応じた給付しかありません。
下記の費用は特約で付与することもできないので、完全に実費負担になります。
- 差額ベッド代(個室利用時)
- 食事代
- 交通費や生活費
- ローンや家賃
- 子供の教育費
まとめ:実費補償型と日額補償型で困ったらプロであるFPに相談しよう!
ここまで、実費補償型と日額保障型の医療保険について解説しました。
- 実費補償型のメリットは差額ベッド代や食事代まで実費負担
- 実費補償型は終身型がない、通院保障が足りないことが欠点
- 日額保障型は終身型があるが、支払額や入院日数に限度がある
- 家計
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