インフルなどの予防接種は治療になので医療費控除の対象にならない!

更新日:2021/04/08
インフルエンザにならないようにと毎年接種を行う予防接種は、医療費控除に入るのでしょうか。インフルエンザだけでも家族全員が接種するとなるとかなり費用がかかります。医療費控除の対象となると助かりますが、実際はどうなのかを詳しく解説していきます。
目次を使って気になるところから読みましょう!
インフルなどの予防接種は治療になので医療費控除の対象にならない!
インフルエンザなどの予防接種は医療費控除の対象にならない
インフルエンザは、インフルエンザウイルスが原因となり、短期間に流行する疾病で毎年11月から4月に特に多く発症しますので、できるだけ10月から12月くらいに接種しましょうと呼びかけられています。
ところがそのインフルエンザの予防接種の料金は1回4,000円となっていますので、家族全員が接種しようとするとかなり高額になってしまいます。
いまのところ、助成がある地方自治体もありますが、65歳以上の高齢者は助成を受けられ、1回2,500円の負担となります。
そしてこの予防接種の費用は、医療費控除の対象にはなりません。
医療費控除を初めて聞いたという方のために説明すると、医療費控除とは、1月1日から12月31日までに家族全員が支払った医療費の合計額がおおよそ10万円を超える時に、最高200万円まで所得控除を受けることができる制度です。
会社員の場合はすでに支払った所得税のなかから、医療費控除を差し引いた分が還付金として返ってきます。
自営業など確定申告をする場合には、確定申告の際に他の控除と同じように医療費控除を加えて、算出した額を所得税として申告することとなります。
ですから、1年の医療費の金額が多ければ確定申告することで、所得税の金額が少しでも安くなるというわけです。
医療費控除の対象になるのは治療にかかった費用のみ
医療費控除の対象になるのは、基本的に病気やケガなどの治療にかかった費用、そしてそれに伴う薬代となっています。
ただし、この医療費に付随して発生する費用が控除対象かどうかということを、税務署が細かく定めています。
インフルエンザの予防接種やマスクなど、治療のためではなく予防のための費用は医療費の控除対象とはなりません。
さらにサプリメントなども対象ではありません。
医療費と一概に言っても、さまざまな医療費にかかる費用がありますので、詳しくみていきましょう。
医療費控除の対象になる項目
ここでは、医療費控除の対象となる項目についてみていきましょう。
- 医師、歯科医師による診療や治療の対価
- 治療のためのあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師などによる施術の対価
- 助産師による分べんの介助の対価
- 医師等による一定の特定保健指導の対価
- 介護福祉士等による喀痰吸引等の対価
- 保健師や看護師、准看護師による療養上の世話の対価
- 治療や療養に必要な医薬品の購入の対価
- 病院、診療所又は助産所などへ収容されるための人的役務の提供の対価
引用:引用:国税庁HP(医療費控除の対象となる医療費のうち医療費控除の対象)
これらは税務署が定めている基本的な項目となっていて、これら医師等が行う診療等を受けるための費用で直接必要なものが対象となっています。
具体的な費用の内容をみてみると、次のようになっています。
- 通院費
- 医師等の送迎費
- 入院の対価として支払う部屋代や食事代
- 医療用器具の購入や賃借のための費用
- 義手、義足、松葉づえ、義歯や補聴器等の購入の費用
- 身体障害者福祉法などの規定により、都道府県や市町村に納付する費用のうち、医師等の診療費用等に当たるもの
- 6か月以上寝たきりの人のおむつ代で、その人の治療をしている医師が発行した証明書(「おむつ使用証明書」)のあるもの
- 介護保険等制度で提供される一定の施設・居宅サービスの対価
医療費控除の対象にならない項目
逆に医療費控除の対象とならない項目をみてみると、下記のとおりとなっていますので、インフルエンザやコロナウイルスワクチンなどの予防接種は医療費控除の対象外となってしまいます。
- 整形手術費用
- 健康診断費用
- タクシー代(電車やバスなどの公共交通機関が利用できない場合を除く)
- 自家用車で通院するためのガソリン代や駐車料金
- 近視、遠視のための眼鏡
- 補聴器等の購入費用
- 予防接種
- サプリメント
- 親族に支払う療養上の世話代
- 親族などが行った人的役務の提供に対しての謝礼
医療費控除に入れてしまった場合は?バレる?
もしも予防接種にかかった医療費を、医療費控除に入れてしまい申請してしまったらどうなるのでしょうか。
家族全員の1年間の医療費を集めて、確定申告の準備をするのは意外と大変な作業となります。
そのため、かかりつけの病院で行ったインフルエンザの予防接種の代金の領収書などは、ついつい医療費に含めてしまいがちです。
提出してしまった後に気がついた場合、放って置いても大丈夫なのでしょうか、それとも税務署から何か連絡があるのでしょうか。
実際には確定申告時期が終了した後に、修正申告をしてくださいとの連絡がありますので、そのままバレないということはありません。
ここでは、知らずに医療費控除に含めてしまい提出してしまった場合の対処法についてみていきましょう。
確定申告期間ならすぐに修正して再提出
確定申告の時期は毎年2月15日から3月15日となっていますが、会社員の場合の医療費だけの確定申告なら1月1日から申請をすることができます。
ですから年度内に医療費の領収書を明細書にしておけば、年が明けてからバタバタすることもなく余裕を持って提出できるでしょう。
もしもインフルエンザの予防接種の代金を、医療費に含めて確定申告書を提出してしまった場合、そのことに提出した後すぐに気づくことができれば大丈夫です。
これは提出の時期にもよるのですが、1月や2月初旬ごろに投函していたのなら、3月15日までに修正して再提出すればなんの問題もありません。
ただしこれが3月15日ギリギリで投函してしまったら修正申告を行わなければなりません。
確定申告期間を過ぎてしまった場合は「過少申告加算税」がかかることも
もしも確定申告期間を過ぎてしまった後に、インフルエンザの予防接種代金を含めて提出してしまったことが判明してしまうと、先ほど述べたように修正申告を行わなければならなくなります。
なぜかというと、予防接種代金を控除することで所得税が多く返ってきたり、所得税がその分少なく申告してしまうこととなってしまいます。
そのため先に述べたように、税務署から指摘があるのは確定申告時期が終了した後ですから、その後に修正申告をすると、期限が過ぎたことによって、過少申告加算税がかかってくることもあります。
ですから、間違いにはできるだけ早く気づくか、最初から予防接種の領収書等は医療費と一緒にしておかないよう注意しておきましょう。
赤ちゃんのロタウイルスの予防接種なども医療費控除対象外
赤ちゃんにとって予防接種は病気の予防となるため、多くの予防接種を受けなければなりません。
そのため出産してからの1年間では、次々と予防接種の案内が来るはずです。
赤ちゃんの予防接種は、なるべく早めに余裕を持って計画を立てておき、接種できる月齢や年齢になればすぐに接種が受けられるよう体制を整えておく必要があります。
予防接種のなかでもロタウイルスに関しては、3回の予防接種を6ヵ月までに受けることとなりますので、ロタウイルスの予防接種も月齢が来たらすぐに受けられるようにしておきたいですが、この予防接種も医療費控除の対象外となります。
赤ちゃんの予防接種に関しては、下記の記事に詳しく記載されていますので、ぜひ参考にしてみてください。
コロナウイルスワクチンも医療費控除対象外
2021年はコロナウイルスワクチンを全国民に無料で接種するということになっていますが、今後2022年からは、もちろんコロナウイルスワクチンはインフルエンザワクチンと同様に有料となるでしょう。
そうなればこのコロナウイルスワクチンも医療費控除の対象外ということになるのかみてみましょう。
コロナウイルスに関しての医療費控除の対象
- PCR検査を医師が判断したうえで行った場合のPCR検査費用
- 自己判断でPCR検査を行い、陽性となり引き続いて治療を行った場合のPCR検査費用
- それに伴ってタクシーを使用した場合のタクシー代
- マスク代
- 自己判断でPCR検査を行ったものの陰性であった場合
- 単純に陽性か陰性かの確認をするためだけに検査を行い陰性だった場合のPCR検査費用
医療費控除は確定申告で申請しよう
医療費控除の申請をする際に、自分は去年1年間の医療費控除の申請をできる立場にあるかどうかを調べます。
まず、毎年前年度の1月から12月までに支払った家族全員の医療費をまとめるところから始めていきます。
この時点では領収書を見なければ詳しい医療費はわからないと思いますので、日頃から医療費にかかった領収書は集めておいた方がわかりやすいでしょう。
そこで1年間に10万円以上の医療費がかかったかどうかということを、領収書を見ながら簡単に計算してみましょう。
病院での治療費や薬代、そしてドラッグストアなどで購入した薬代など、病気やケガの治療にかかった全ての治療費が対象ですが、だいたいでも10万円以上の医療費がかかったという方は、正確に医療費控除額の計算方法を確認して申請の準備をしていきましょう。
医療費控除額の計算方法を確認
一般的に1年間にかかった医療費が10万円以上だったという方は、家族のなかで入院した方がいた、という場合が多いかと思います。
ただそういう場合に気をつけなければならないのは、保険金などの補てん、つまり健康保険や医療保険からの給付金などを差し引かなければならないことです。
そこで給付金等を差し引いた金額が、10万円か所得金額の5%とのどちらか安い方より上回ればその金額が医療費控除額となります。
そのため、例えば家族のなかで一番所得金額の低い方で申請しようとした時、10万円以内だったとしても医療費控除額が発生するでしょう。
ところが所得金額が低ければ所得税額も低いため、せっかく控除できても控除する金額がないといったことになるかもしれませんので、できれば多くの所得税がかかっている方で申請する方が良いでしょう。
医療費控除に必要な種類・手続きは?
一般の会社員の方は、会社で年末調整を行っているため医療費控除をするために確定申告を行わなければなりません。
会社員の方が医療費控除を行う際や、その他会社員以外で自分で確定申告を行っている方(自営等)は、いつも確定申告をする準備に加えて、下記を用意しなければなりません。
- 1年間の医療機関等の領収書
- 領収書に基づいた医療機関等の医療明細書
- 健康保険の医療費通知
- 給与所得の源泉徴収票
- 確定申告書
初めて確定申告される方は面倒と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、一度すれば要領がわかりますので、来年からは簡単にできるはずです。
上記の必要な書類等のなかで、一番大変なのは、医療明細書を作成しなければならないことですが、この明細書を添付することで領収書は添付しなくてもよくなったのです。
もしも家族全員の医療費を合算しようとしているのなら、1年間の家族が支払った治療費及び薬代などその他医療費とみられる費用の全てを、明細書に記載しなければなりません。
参考:セルフメディケーション税制とは
医療費控除にはもう一つセルフメディケーション税制という制度がありますが、こちらは、同じく医療費控除の特例措置ですが、対象の医薬品を購入したときに、確定申告を行うことで所得税を還付されるという制度となっています。
この制度を利用して医療費控除を受ける場合は、人間ドッグやインフルエンザの予防接種など、自分自身の健康の保持増進のためや、疾病の予防への取組を積極的に行っていることが条件となります。
そのうえで、1月1日から12月31日までの1年間に、実際に支払った家族全員分の特定一般用医薬品などの購入費用が控除の対象となるのですが、このセルフメディケーション税制を選択した方は通常の医療費控除は選択できませんので注意しておきましょう。
計算式は次のとおりで、医療費控除額の最高限度額は88,000円となります。
「その年中に支払った特定一般用医薬品購入費用ー保険金などで補てんされる金額ー12,000円=セルフメディケーション税制にかかる医療費控除額」
引用:国税庁HP(セルフメディケーション税制に係る医療費控除額の計算方法)
スイッチOTC薬と呼ばれる特定一般用医薬品が対象となりますので、気になる方は厚生省のHPに対象のスイッチOTC薬の具体的な品目が表示されていますのでご覧になってください。
まとめ
ここまでインフルエンザなどの予防接種は治療費にならないので、医療費控除の対象にならないということを解説してきましたが、いかがだったでしょうか。
今後インフルエンザと同様コロナワクチンに関しても接種は有料となりますし、予防のため健康保険の適用外となり、医療費控除の対象になりません。
- 予防接種は医療費控除の対象外
- 治療にかかった費用のみ医療費控除の対象となる
- もしも医療費控除に入れてしまった場合はすぐに修正申告を行う
- 赤ちゃんの予防接種なども医療費控除対象外
- コロナウイルスワクチンも医療費控除対象外
- 医療費控除は確定申告で申請しよう
- セルフメディケーション税制も適宜利用してみよう
うっかり医療費と一緒に申告してしまった場合には、すぐに修正申告を行い医療費から取り除き再度申請を行いましょう。
ほけんROOMにはお金や保険に関するさまざまな記事が数多くありますのでぜひご覧ください。
毎年秋になるとインフルエンザの予防接種を受けている方は多いと思います。
まして子どものいる家庭などは特に予防接種は欠かせませんよね。
インフルエンザなどの予防接種は保険適用外ということもあり、子どもに関しては2回接種しなくてはならないとなると、けっこう高いため躊躇している方も少なくないでしょう。
- 予防接種は医療費控除の対象にならない
- 治療にかかった費用のみ医療費控除の対象
- 医療費控除に入れてしまった場合はバレる?
- 赤ちゃんのロタウイルスの予防接種なども医療費控除対象外
- コロナウイルスワクチンも医療費控除対象外
- 医療費控除は確定申告で申請しよう
- セルフメディケーション税制とは
そこで、この記事では予防接種などが医療費控除の対象にならないということを詳しく解説していきますが、今後コロナワクチンなどの予防接種も必須となるかもしれませんので、ぜひ最後までご覧ください。