終身がん保険はもう節税にならない?半額損金の今、加入すべき?

終身がん保険を検討中の皆さま。昔は全額を損金にでき、節税が謳われた終身がん保険ですが現在は半額までしか損金にすることができず、節税効果は昔ほどありません。本記事では、半額損金タイプの終身がん保険の特徴や経理処理の仕方について解説します。

終身がん保険はもう節税にならない?現在の実態を解説!

終身がん保険は平成24年の改正により損金損金となり節税のメリットが少なくなり、検討候補から除外されている経営者の方は多いと思います。


実際節税対策としては終身がん保険はうま味の少ない保険だといえますが、節税以外のメリットやデメリットに関して正確に理解していますでしょうか?


本来保険というものは損害に対する補償が根幹にあるもので節税対策や貯蓄性といったものは二次的な要素でした。


終身がん保険にも同じことがいえるわけですが、法人として終身がん保険を検討するにあたり、どうしても節税に目が向いてしまい実態について理解していないことが多々あります。


そこで今回は終身がん保険の現在の実態をつかむためにも

  • 全額損金から半額損金になった背景
  • 終身がん保険の特徴
  • 終身がん保険の経理処理
  • 節税で考えた場合の終身がん保険の検討性
について解説していきます。

この記事を読めば終身がん保険のメリット、デメリットについて理解でき、検討すべき保険かどうかの判断にもつながります。

ぜひ最後までご覧ください。



終身がん保険は国税庁の通達により全損から半損に!

元々法人向け終身がん保険全額損金計上が可能でしたが解約返戻金のあるものは平成24年4月27日より損金算入率が半額損金に変更となり、節税効果は以前よりも薄れてしまいました。


終身がん保険はもともと解約返戻金も少なく掛け捨てに近いタイプの商品が多く貯蓄性も低いことから全額を損金として計上できたのですが、ここ10年程で解約返戻金の高い商品や保険料が高く設定できる貯蓄性の高い商品が生まれたため、実態に即した形で半損扱いになりました。


ただし平成24年4月27日以降の契約が対象であり、それ以前に契約した終身がん保険に関しては従来通りの損金算入率となります。

半額損金タイプの終身がん保険について

何かと半額損金の話題ばかりが先行する終身がん保険ですが、以下のような特徴があります。


  • がんのリスク管理が可能
  • 退職金の代替に使える
  • 解約返礼率が高い

終身がん保険は名の通りがんのリスクに備えられる保険ですが、退職金に利用出来たり解約返礼率が高いことから貯蓄性の高さがうかがえます

これが全額損金から半額損金に変更となった理由ですが、上に記載したようなメリットもありますのでそれぞれ解説していきます。

経営者や従業員ががんのリスクに備えられる

終身がん保険はがんに対する保険ですので経営者や従業員ががんになったさいのリスクに備えることができます。


国立がん研究センターの2014年の統計によりますと、生涯でがんにかかる確率は男性が62%、女性が47%と男女ともに約2人に1人がかかる計算になっています。


国立がん研究センター:最新がん統計


もちろん年を重ねるごとにがんのリスクが増加していくため、定年までの期間でいえばこの数値よりも低くはなりますが、がんのリスクが高いことには変わりありません。


終身がん保険はがん診断給付金として診断の段階で給付の請求ができますのでがんへのリスクに備えられる保険といえます。

名義変更して退職金の代替にすることも!

終身がん保険は名義変更をすれば退職金がわりとして活用することができます。

方法としては従業員や経営者の定年にあわせ保険料の支払い期間を設定し、終身がん保険の契約者名を法人から個人に変更するかたちになります。

終身がん保険は生涯補償の保険になりますので、この方法により定年後に保険料を払うことなく生涯がんの補償を受けられるわけです。

支払い期間が済み、解約返戻金がない終身がん保険は資産価値がありませんので名義変更をかけても問題ないと判断されますので、定年となる経営者や従業員に金銭的な負担はなく税法上も問題ありません。

ただし定年まで働く定職率の高い法人では検討の余地がありますが、離職率の高い法人では定年で設定してもうまく機能しない可能性がありますので注意が必要です。

解約返戻率は高いが他の法人保険と比べるとイマイチ

終身がん保険はもともと解約返戻率の低い商品でしたが時代と共に解約返礼率の高い商品も出ています。


解約返礼率が高いものだと90%を超えるものもありますが、長期平準定期保険逓増定期保険と比べた場合、それほど高くありません。


ですので同じ半額損金の商品で比べた場合、解約返戻率の高い長期平準定期保険や逓増定期保険と比べうま味が少ないといえます。

半額損金タイプの終身がん保険の経理処理

半額損金タイプの終身がん保険は契約期間の前半(前払期間)とそれ以後とでは経理処理が変わってきます。


ここでは仕訳の例をあげながら終身がん保険の経理処理について説明していきます。


55歳、月額50万円の保険料、保険期間は105歳までとしてシミュレーションしましたのでご覧ください。

契約期間の前半は半額損金算入で残りは資産計上

保険期間は105歳までで現在55歳ですので契約年数は50年となります。


契約期間の半分に相当する前半25年は保険料の半分である25万円を支払保険料として損金算入し、残り半分である25万円を前払保険料として資産計上します。


仕訳は

借  方貸  方
支払保険料     250,000円
前払保険料     250,000円
現金・預金     500,000円


このようになります。

契約期間の後半の経理処理

契約期間の残り半分である25年は全額損金算入し、既に資産に計上した前払い保険料の総額を均等に取り崩して損金算入させます。


仕訳は

借  方貸  方
支払保険料     750,000円現金・預金     500,000円
前払保険料     250,000円


となります。

解約返戻金がほとんどない終身がん保険は全額損金にできる

がん保険の保険料の支払い方法は、保障期間に対し保険料の払い込み期間が同じ全期払いと払い込み期間の方が短い短期払いとがあり、月々の保険料の支払い金額が一定の平準払いが一般的です。


終身がん保険は半分損金とお伝えしましたが全期払いか短期払いかで損金率が変わる場合があります。


これは平成24年の改定で、例外的取り扱いとして解約返戻金のないものや短期払いで少額の返戻金があるものに関しては従来通り全額損金算入可能としているためです。

【参考】節税を考えるなら他の法人保険を検討しよう!

半額損金となった法人向け終身がん保険ですが、保険としてのがんリスクの軽減や退職金準備などメリットは確かにあります。

解約返戻率も90%程と一見節税に向いている保険に見えますが同じ半額損金の長期平準定期保険や逓増定期保険と比べ解約返戻率は低いため、節税として保険を検討するならば終身がん保険以外の法人保険を検討しましょう。

まとめ:節税を考えるなら終身がん保険は微妙

終身がん保険の節税効果について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。

今回のこの記事のポイントは、
  • 終身がん保険はがんのリスクに備えることができる。
  • 退職金代わりに使うことができる。
  • 解約返戻率は90%ほどだが他の保険に比べ低い。
  • 解約返戻金のほぼない終身がん保険は全額損金可能。
になります。


終身がん保険に限らず法人保険は日々改良を重ねながら時代に合った新しい商品が誕生しています。


本来保険というものはリスクに備えるものなので法人がん保険のように貯蓄性が高まった商品の損金率が見直されるのはいたしかたありません。


終身がん保険は節税として考えるならばあまりメリットのない商品になりましたが他の保険でも同じような改定がないとはいえないでしょう。


それぞれの会社によって必要な保険は違いますが、その時その時の法人保険の商品内容を精査し一番あった保険を選べるよう知識を高めていくことが大切だといえます。


ほけんROOMでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧ください。

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