個人情報漏洩保険の補償内容・7つの特約とは?サイバー保険との違い

法人向け個人情報漏洩保険は、名前の通り個人情報が漏洩した際に補償してくれる保険です。今回は、法人向け個人情報漏洩保険の補償される3つの費用と7つの特約についてのみではなく、サイバー保険との違いや保険金が支払われる条件など詳しく解説します。

個人情報漏洩保険とは?補償内容・特約・事例やサイバー保険との違い

業種や業界を問わず、あらゆる法人にとって個人情報の漏洩は大きな経営リスクであると言えます。


個人情報が漏洩すると、損害賠償金の支払いや謝罪広告掲載費用・会見費用など様々な費用がかかってしまい、法人にとってはかなりの影響を受けてしまいます。


法人向け個人情報漏洩保険は、そういった個人情報漏洩に伴う様々な費用や賠償金などを補償してくれます。


しかし、法人向け個人情報漏洩保険には保険金が支払われないケースも定められているので、補償範囲については加入する前に確認しておくことが重要です。


そこで、今回は法人向け個人情報漏洩保険について 

  • 法人向け個人情報漏洩保険で補償される3つの費用 
  • 法人向け個人情報漏洩保険で付けられる7つの特約 
  • サイバー保険と個人情報漏洩保険の違い 
  • 保険金が支払われるための条件 

を中心に解説していきます。


この記事を読んでいただければ、法人向け個人情報漏洩保険の補償範囲や特約、サイバー保険との違いなどについて詳しく知るのに役立つと思います。


ぜひ、最後までご覧ください。 



法人向け個人情報漏洩保険で補償できる3つの費用

法人向け個人情報漏洩保険では、個人情報が漏洩した場合に伴う以下の3つの費用について補償をしてくれます。


  1. 個人情報が漏洩した際の損害賠償金 
  2. ハッキング発生時の謝罪会見やコンサルティング費
  3. 漏洩被害者に対しての見舞金 


ここからは、それぞれの補償について詳しく解説してきます。 

①個人情報が漏洩した際の損害賠償金

個人情報が漏洩する場合とは、以下の2つに分けられます。


  1. 内部の者による情報漏洩 
  2. 外部の者による情報漏洩


内部の者による情報漏洩とは、社員がメールの誤送信などで誤って流出させてしまった場合や、顧客名簿を意図的に社外に持ち出した場合などのことです。


外部の者による情報漏洩とは、ハッキングによる不正アクセスで顧客情報が漏洩した場合などのことです。


内部要因であれ外部要因であれ、個人情報が漏洩してそれが悪用されてしまえば、漏洩された側である顧客には経済的な損害が生じる可能性があります。


もし会社が損害賠償訴訟を起こされてしまえば、賠償金の支払い義務が生じてしまうでしょう。


法人向け個人情報漏洩保険では、損害賠償金の支払い義務が発生した場合に、賠償金の負担分を補償してくれるのです。 

②ハッキングの発生時の謝罪会見やコンサルティング費

ハッキングを受けて個人情報が漏洩してしまった場合、会社側は謝罪会見や、謝罪を行うための広告掲載費用などがかかります。


特に、大企業であったり、流出した個人情報の数が多かったりして、社会的影響力が大きい事件であるほど費用はかかってしまいます。


また、事件が起きた後の対応を考えるために、コンサルタントや弁護士に相談するための相談費用も必要になります。


法人向け個人情報漏洩保険では、そういったハッキング発生時の謝罪会見や広告掲載費用、コンサルティング費用などを補償してくれるのです。

③漏洩被害者に対しての見舞金

個人情報漏洩には、クレジットカード情報の漏洩のような損害の大きな漏洩もあれば、具体的な被害のない漏洩もあります。


具体的な被害がない場合、損害賠償訴訟などに発展しない代わりに、顧客に対して見舞金見舞い品などを渡すことがあります。


この見舞金・見舞い品も法人向け個人情報漏洩保険で補償してくれるのです。


漏洩被害者に対する見舞い金・見舞い品としては、お詫び状と一緒に金券を送るといった方法が一般的です。


見舞金や見舞い品の額は保険会社によって異なるものの、見舞い品としての金券の額は500円程度だと想定されています。

法人向け個人情報漏洩保険で付けられる7つの特約

法人向け個人情報漏洩保険は、これまでご紹介してきた3つの補償だけでなく、特約をつけることでさらに補償の幅を広げることができます。


ここからは、法人向け個人情報漏洩保険で付けることのできる以下の7つの特約について解説していきます。


  1. 企業情報漏洩特約
  2. 危機管理コンサルティング費用倍額支払特約
  3. 危機管理実行費用倍額支払特約
  4. クレジットカード番号等不正使用賠償責任特約
  5. 危機管理実行費用の自己負担割合不適用特約
  6. 労働者派遣事業賠償責任特約
  7. 特許等知的財産権特約

特約①:企業情報漏洩特約

企業情報漏洩特約とは、情報が漏洩した場合の損害を個人情報だけでなく企業情報にまで広げて補償範囲に含めるというものです。


企業が保有している機密情報は、顧客名簿などの個人情報に限らず、取引先企業の情報も含まれるからです。


取引先企業の情報が漏洩した場合も、顧客の個人情報が漏洩した場合同様に損害賠償訴訟に発展するリスクがあります。


企業情報漏洩特約ではそういった、企業情報流出のリスクに備えることができるのです。

特約②:危機管理コンサルティング費用倍額支払特約

コンサルティング費用は、法人向け個人情報漏洩保険の基本契約に含まれています。


危機管理コンサルティング費用倍額支払特約は、その個人情報漏洩の際にかかるコンサルティング費用の補償上限額を倍にできるというものです。


この特約は、個人情報漏洩によって生じた損害が思いの外大きくなってしまい、コンサルティング費用も膨れ上がってしまったという場合の備えることができます。

特約③:危機管理実行費用倍額支払特約

危機管理実行費用とは、個人情報が漏洩した場合の謝罪会見や広告掲載などにかかる費用のことです。


危機管理実行費用倍額支払特約では、危機管理実行費用の賠償上限額を倍にすることができます。


特に、大企業など社会的影響力の強い企業であれば、個人情報漏えいが起きた場合の危機管理実行費用も多くかかってしまうので、この特約に適しています。

特約④:クレジットカード番号等不正使用賠償責任特約

クレジットカード番号等不正使用賠償責任特約は、クレジットカード情報が漏洩した場合の損害を補償してくれる特約です。


顧客のクレジットカード情報が漏洩すると、不正利用により経済的損失が生じてしまいます。


特にECサイトなどを運営をしていて顧客のクレジットカード情報を預かっている企業であれば、クレジットカード番号等不正使用賠償責任特約でリスクに備えることができます。

特約⑤:危機管理実行費用の自己負担割合不適用特約

危機管理実行費用は基本契約の補償対象とされていますが、10%は法人側が自己負担しなければならないなど定められている場合があります。


危機管理実行費用の自己負担割合不適用特約では、この自己負担分をゼロにすることができます。


危機管理実行費用をできる限り低く抑えたい法人にはおすすめです。 

特約⑥:労働者派遣事業賠償責任特約

労働者派遣事業賠償責任特約とは、被保険者が労働者派遣事業者である場合に付けることのできる特約です。


派遣労働者が、派遣先で個人情報を漏洩した場合に、損害倍書責任を補償してくれます。

特約⑦:特許等知的財産権特約

特許等知的財産権特約とは、被保険者である法人が、第三者の知的財産権を侵害してしまった場合に備える特約です。


知的財産権とは、以下の3つが含まれます。


  1. 実用新案権 
  2. 商標権 
  3. 著作権


特許等知的財産権特約は、こういった第三者の知的財産権を侵害した場合に損害賠償責任を補償してくれます。 

サイバー保険と個人情報漏洩保険の違いは「補償される範囲」

個人情報漏洩保険と類似した保険に、サイバー保険があります。

サイバー保険は、個人情報漏洩に限らず、IT関係の被害全般を補償してくれるというものです。

サイバー保険の補償対象には、以下のような損害があります。

  • データの消失・破壊 
  • 管理するネットワークの使用不能 
  • 著作権・人格権の侵害

データの消失・破壊とは、自社のコンピュータがウィルスに感染していた状態で取引先にメールを送信したことで被害が生じてしまった場合などです。

取引先のコンピュータにウィルスが感染すると、サーバーに保管されていたデータが消去されてしまうなどの損害が生じる可能性があります。

管理するネットワークの使用不能とは、例えば以下の2つの事例が考えられます。

  • 自社が運営する在庫管理システムの不具合で、取引先の商品在庫管理や発注が不可能になってしまった。
  • サーバーがダウンしてしまい、業務の継続が不可能になったことで、それと連動して取引先の業務も停止してしまった。

著作権・人格権の侵害とは、自社のウェブサイトに誤って会員のプライバシーを侵害する情報が掲載されてしまい、会員から訴訟を起こされた場合などが考えられます。 

法人向け個人情報漏洩保険で保険金が支払われる条件を解説

法人向け個人情報漏洩保険では、どのような条件であったとしても保険金が支払われるわけではありません。


法人向け個人情報漏洩保険で保険金が支払われるための条件は、個人情報が漏洩したことで被害が生じることです。


 一方、以下のような場合においては保険金が支払われないので注意が必要です。


  • 保険契約者または被保険者の故意
  • 戦争、変乱、暴動
  • 地震、噴火、洪水
  • 保険契約者が、法令違反または他人に損害を与えることを認識していた行為
  • 他人の身体の障害または財物の損壊・紛失・盗取・詐取・使用不能・使用阻害

まとめ:お手頃なのは個人情報漏洩保険、手厚い補償はサイバー保険

法人向け個人情報漏洩保険について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。


この記事のポイントは

  • 損害賠償金や謝罪会見費用などだけでなく、見舞金や見舞い品も補償対象となる。
  • 7つの特約をつけることができ、特約で基本契約の補償額の上限を上げることもできる。
  • サイバー保険と似ているが、サイバー保険はIT関係全般の被害を補償してくれる。
  • 契約者の故意や戦争、地震など一定の条件がある場合は補償されない。

でした。


法人向け個人情報漏洩保険は個人情報漏洩リスク備えることができるので、個人情報を扱っている企業ならぜひ加入しておきたい保険です。


個人情報に限らず、IT関係の様々なリスクに備えるなら、サイバー保険に加入するとより幅広い補償を受けることができるのでおすすめです。


ほけんROOMでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧ください。

この記事の監修者
谷川 昌平
東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、保険相談や選び方のポイントを伝える「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

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