法人契約の終身保険はデメリットが大きい?メリットは1つのみ!

法人保険に加入するときに終身保険を選んでいる方はいませんか?実は終身保険はメリットが限られており、デメリットが多い法人保険です。そこで、この記事では終身保険にはどのような法人が加入すべきか、またメリットを活かすために必要なことや経理処理についてご説明します。

法人契約の終身保険はメリットよりデメリットのほうが大きい?

節税対策や資金の運用などで法人保険を活用したいと考える場合、どの法人保険に加入すればいいか頭を悩ませる経営者の方は少なくありません。


保険会社の担当者や金融機関などに相談すると終身保険」を勧められ、本当に加入するべきか迷っていませんか?


実は、終身保険はメリットよりもデメリットのほうが大きいため、内容をしっかりと理解した上で加入することがとても大切です。


そこで、この記事では「法人契約の終身保険のメリットとデメリット」について、

  • 法人契約で終身保険に加入する4つのデメリット
  • 終身保険の唯一のメリット
  • 終身保険のメリットを享受するために必要なこと
以上のことを中心に解説していきます。

この記事を読んでいただければ、終身保険に法人契約することの必要性を確認することができるはずです。

ぜひ最後までご覧ください。 

法人契約の終身保険の4つのデメリット

節税効果を得る目的で法人契約の終身保険に加入する経営者の方も多いです。


しかし、終身保険に法人契約で加入することのメリットは限定されており、実際には支払う保険料や解約返戻金の会計上の扱いなどデメリットのほうが大きくなります。

終身保険に法人契約で加入することを検討しているなら、大きなメリット1つに限定され、4つの大きなデメリットがあることに注意しましょう。 

法人契約の終身保険の内容は?

終身保険は一生涯に渡り死亡保障が続く保険ですので、解約しない限りはいつか必ず訪れる「死」というタイミングで死亡保険金が支払われます

また、保険料の払込みが一定年齢や一定期間で満了する「有期払い」を選択した場合、終身保険を解約した時に受け取ることができる「解約返戻金」は、年数を重ねるごとに増えていきます。

解約するタイミングによっては、解約返戻金が支払った保険料総額を上回ることもあるので、貯蓄性の高い保険として人気があります。

さらに法人で終身保険を契約した場合、支払う保険料は全額資産計上となります。


保険料が資産計上されるということは資産が増えるので、資産価値を高めることができます。

契約を継続していれば必ず死亡保険金を受け取ることができ、解約しても解約返戻金を受け取ることが可能な貯蓄性の高さと黒字決算に寄与できる点など、終身保険はとても魅力のある保険商品だと感じるかもしれません。

しかし、終身保険に法人契約する場合、実際にはメリットよりもデメリットのほうが大きいのです。 

【デメリット1】割高な保険料でキャッシュフローが圧迫される

終身保険は、契約が続く限りいずれは死亡保険金が支払われますし、解約すれば解約返戻金を受け取ることができます。


必ず何らかの形でお金を受け取ることができるため、支払う保険料は割高に設定されています。

特に、保険料の払込期間を有期払いで契約している場合は、保険料を払いきった後に解約すると支払った保険料総額を上回る解約返戻金を受け取ることが多くなります。


高い貯蓄性が見込める分、支払う保険料は高くなるので、無理のない金額で保険料を設定しなければ、会社のキャッシュフローを圧迫してしまう可能性が出てきます。 

【デメリット2】中途解約をすると損をする

保険料の払込期間を有期払いにして終身保険に加入している場合、保険料を払いきらなければ解約返戻金は支払った保険料総額を上回ることはありません。

そのため、保険料の払込期間中に資金不足が生じたときに、解約返戻金を目的とし中途解約してしまうと、それまで支払った保険料が目減りしてしまいをすることになります。

それでも解約までの間は、経営者に万一のことがあったときに備えることができた代償だと考えればいいかもしれませんが、割高な保険料を支払い続けたことを考えれば納得できるとは言い切れません。

法人で終身保険の有期払いで契約する場合には、保険料の払込期間が終了するまで払いきることが前提になります。 

【デメリット3】保険料は全額資産計上になる

終身保険は解約返戻金を積み立てていく形になりますので、支払った保険料は全額「保険積立金」として資産計上することになります。


仮に資産に計上するのではなく損金に算入できるとしたら、その分は経費として計上されるので所得から差し引くことができます。


会社に利益が出れば法人税がかかりますが、所得の金額によっても課税対象となるので、所得を減少させることができれば節税につながります。


しかし、終身保険では損金に算入することができないので保険料を支払っている期間、税負担は軽減されないことになります。

なお、同じ生命保険で貯蓄性の高い保険でも、逓増定期保険や長期平準定期保険、生活障害保障型定期保険などは、支払った保険料の一部、もしくは全額を損金に算入することができます。 

【デメリット4】解約返戻金受取時に赤字になるリスクが大きい

法人契約の終身保険を解約して解約返戻金を受け取ったときは、支払った保険料総額を差し引いた金額を益金として算入することになります。

仮に支払う保険料の総額が5,000万円で、解約したときに受け取る解約返戻金額を保険料払込累計額で割った解約返戻率は102%である終身保険に法人契約したとします。

また、解約返戻金の5,100万円のうち、5,000万円は経営者の退職金に充当するものと考えます。

この場合、益金として算入されるのは100万円のみです。


5,100万円(解約返戻金)ー5,000万円(支払った保険料)=100万円


退職金に充てた5,000万円は損金に算入されることになります。


そうなると4,900万円の赤字を生むことになるので、これまで積み立てた解約返戻金を何かの資金に充当する目的で支払えば、損金に算入されてしまい多額の赤字を出すリスクが高くなると考えられます。 

終身保険の唯一のメリットは事業承継をする場合

このように、法人契約の終身保険には多くのデメリットがあると考えられますので、受け取る死亡保険金、または解約返戻金をどのように活用するのかよく検討した上で加入することが大切です。


法人契約で終身保険に加入するメリットとして挙げるとすれば、相続による事業承継で株式を相続する後継者の負担を軽減させることに有効という点です。

このメリットを詳しく見ていきましょう。



後継者が相続で納税資金を準備する方法として役に立つ

後継者が会社の株式を相続する場合、相続税を支払わなければならないので、事前に納税資金を準備しておく必要があります。


 ここで後継者が納税資金を準備できていなければ、スムーズに事業承継は行うことができません。


 このような場合、終身保険から受け取る死亡保険金を相続税の準備資金に使うことで、後継者への事業承継を円滑に進めることができます


 たとえば、後継者は会社に株式を買い取ってもらうことで、売って得た資金を納税資金に充てることができます。


 会社は株式を買い取るための資金が必要になるため、死亡保険金をその資金として使うことができるのです。


法人契約の終身保険では死亡保険金が確実にもらえるため、経営者の死亡後の相続にはかなりおすすめの保険といえます。


後継者に納税資金を準備する方法としては、法人契約の終身保険以外にも、経営者個人が終身保険に加入し、法定相続人である後継者を死亡保険金の受取人に指定する方法でも可能です。


長期平準定期保険は株式を生前贈与の形での事業承継に役立つ

事業承継対策として活用できる保険は、終身保険以外にも長期平準定期保険があります。


長期平準定期保険に法人契約する場合、保険期間を最長100歳までに設定することができますが、設定した保険期間よりも経営者が長生きすれば保険金は受け取れなくなります。


しかし、100歳を超えて引退せず、現役で経営者として働いている方はごくわずかと考えられるので、デメリットとは捉えなくてもよいでしょう。 


長期平準定期保険の場合、株式を生前贈与する形での事業承継で利用することもできるので、終身保険よりも活用方法の幅は広いことも特徴です。 


長期平準定期保険は保険料の2分の1を損金に算入することができ、残りは資産計上することになります。


そのため、会社の資産を引き下げることに繋がり、株式の価格を引き下げる効果を生むことが可能となり、後継者が負担する贈与税を軽減させる効果が期待できます。 


さらに解約返戻金を受け取ることで、解約返戻金額から資産として計上した保険料総額の2分の1を差し引いた分は益金に算入されます。 


長期平準定期保険なら、株価を引き下げるので生前贈与のときの後継者の贈与税負担を軽減でき、引退する経営者の退職金準備にも活用することが可能であるといえます。 


もし、生前贈与の事業承継対策で法人保険に加入する場合は、長期平準定期保険に加入するといいでしょう。 


終身保険に法人契約で加入することでメリットが生じるケースとは、生前贈与による事業承継は選択しないことが決まっていて、死後の相続で事業承継を行う場合のみなのです。 

死亡保険金受取人を遺族にすれば法人税の節税になる

法人契約で終身保険に加入する場合、死亡保険金の受取人を遺族にすることによって、法人税を軽減させることができます。

ただし誰を受取人にするかによって、支払う保険料が損金算入できるのか、それとも資産計上する必要があるのか、税務上異なります。


死亡保険金受取人が法人の場合は、支払う保険料は資産計上することになりますが、死亡保険金の受取人が被保険者の遺族の場合は、支払う保険料は被保険者の給与として処理されます。


給与として処理するということは経費として計上できることになり、法人税の節税につながります。


なお、保険金の受取人が被保険者である役員や従業員の遺族の場合は、保険金を受け取ったときに行う経理処理は2パターンに分かれます。

まず、資産計上されている保険料積立金または配当金積立金があれば、取り崩して雑損失に振り替える処理が必要です。


このときの雑損失は、税務上の経費として計上されることになります。


例えば、保険会社から死亡保険金が被保険者の遺族に支払われ、その時点で会社の資産として保険料積立金900万円、配当金積立金90万円が計上されていたとします。


この場合の仕訳は、


借方 勘定科目金 額貸方 勘定科目金 額
雑損失(営業外費用)
990万円保険料積立金(資産)
配当積立金
900万円
90万円


となります。


反対に会社の資産として、保険料積立金または配当金積立金のどちらも計上がない場合は、会社で行う経理処理は特にありません。

終身保険のメリットを享受するために必要なこと

法人契約で終身保険に加入する場合、解約して受け取る解約返戻金は、経営者の退職金に充当する目的とすることも多いでしょう。


しかし、終身保険に法人契約する唯一のメリットは、死亡保険金に関する部分のため、解約返戻金の活用とは関係がないことがわかります。


解約返戻金を積み立てることはできても支払う保険料は割高であることや、実際に解約して解約返戻金を受け取り、何らかの資金に充当する段階など、いずれもデメリットが大きいと感じてしまうでしょう。


そのため、解約返戻金を上手く活用することを目的として法人契約で保険に加入するのなら、終身保険を選ぶより、長期平準定期保険などの方がリスクを抑えることができると考えられます。 


それでも終身保険に法人契約で加入することを検討するのなら、

  • 保険料を払い続けられること
  • 明確な使用方法を持つこと
この2点が重要です。  

保険料を払い続けられること

支払った保険料総額を上回る解約返戻金を目的として終身保険に法人契約する場合、保険料の払込期間を有期払いに設定することを考えるでしょう。

しかし、保険料払込期間が終了する前に解約してしまえば、受け取る解約返戻金が支払った保険料総額を上回ることはありません。

終身保険に法人契約する場合は、中途解約せずに保険料の払込期間が終了するまで支払い続けることが大切です。

そのためには十分なキャッシュフローを確保できることが必要なので、業績が好調に推移しているかを判断の目安としたほうがよいでしょう。 

明確な使用方法を持つこと!

死亡保険金を受け取ることを目的として法人契約で終身保険に加入する場合、相続による事業承継対策を行うといった明確な目的があることが必要です。 


終身保険の唯一のメリットは、加入している限り必ず死亡保険金を受け取ることができることです。

この終身保険の唯一のメリットは、他の法人保険からは享受できない部分です。


そこで、この終身保険のメリットを活かすには、いずれ会社を引き継ぐ後継者から自社株を買い取るための資金を、死亡保険金で準備することを目的に加入することになります。

このような明確な目的がなく事業の保障を目的として保険に加入したいのなら、終身保険を選択しなくてもいいと考えられます。 


終身保険で確保できる事業保障は、事業承継対策のオプションと考えた方が合理的といえるでしょう。 

まとめ:終身保険を選ぶときはデメリットに注意しよう

法人契約で終身保険に加入するメリットとデメリットについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。

今回のこの記事のポイントは、

  • 法人契約の終身保険はメリットよりデメリットのほうが大きい
  • 法人契約で終身保険に加入するなら中途解約せずに保険料を払い続けること 
  • 法人契約で終身保険のメリットを享受したいなら、目的を明確にした上で加入すること
です。

法人が万一の備え、節税対策、運用などで加入できる保険はいろいろありますが、その中であえて終身保険を選びたいという場合もあるかもしれません。

その場合には、他の保険にはない終身保険唯一のメリットである「契約を続けている限りいつかは死亡保険金を受け取ることができる」という利点を最大限に活かすことができるように、目的を明確にさせておきましょう。

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