変額保険と投資信託、どっちがいいの?2つの違いを徹底比較します!

資産運用を考える時、よく比較されるのが変額保険と投資信託です。どちらも資産を自分に代わって運用してもらう商品ですが、変額保険は死亡保障がつくこと、節税効果や相続対策になることなどの特徴があり、投資信託は運用の側面が強いです。2つの商品の違いを詳しく解説します。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

変額保険と投資信託の違いを比較してみよう!

自分の資産を増やしながら管理したいと考える人は多いのではないでしょうか。

そんな時、よく耳にするのが「変額保険」と「投資信託」です。


この2つは似ているようで異なる商品であり、どちらが相性がいいのかは人によって違います。


ここでは変額保険と投資信託の特徴を比較し、メリットやデメリットを詳しく解説します。


あなたにはどちらがふさわしいかきっと分かるはずです。

ぜひ最後までご覧ください。

変額保険の主な特徴

まずは、変額保険の特徴について確認しましょう。

  • 変額保険は割安な保険料で死亡保障が受けられる
  • 保険会社の運用成績で満期保険金や解約返戻金が増減する
  • 死亡保障も変動するが、最低保証がある
  • インフレ対策になる
  • 変額保険は生命保険料控除として税金の非課税枠がある

といった特徴があります。


では、一つずつ確認していきましょう。

変額保険は割安な保険料で死亡保障が受けられる

変額保険の大きな特徴は「生命保険」であるということです。

契約直後から死亡保障がつき、たとえわずかしか保険料を支払っていないとしても、被保険者(保険の対象となる人)にもしものことがあった場合、大きな死亡保険金を遺すことができます。


これは生命保険ならではのメリットであり、死亡保障に魅力を感じて変額保険に加入する人は少なくありません。


誰もがいつかは直面する「死」は、自分自身ではコントロールすることができません。

急に自分が亡くなっても、遺された家族が金銭的に困らないように、準備してあげたいと思う人は多いのではないでしょうか。


そんな時、変額保険の死亡保障は本人にも家族にも安心感を与えてくれます。

保険会社の運用成績で満期保険金や解約返戻金が増減する

変額保険の大きな特徴は、「生命保険」であることに加え、他の生命保険に比べて「運用」の側面が大きいことだと言えます。

保険会社は契約者から預かった保険料をもとに、株や債券などを購入し資産を運用します。

そのため、景気の動向や運用状況によって満期保険金や解約返戻金の金額が変動するのです。


運用が上手くいけば、支払った保険料を大きく上回る金額の保険金や解約返戻金を受け取ることができますが、運用が思うようにいかないと満期金や解約返戻金が、保険料(元本)を大きく下回る可能性があるのです。

元本割れの可能性があるという点においては、変額保険と投資信託は似ていると言えます。


最近では、満期金が元本を下回らないように、保険料と同額を最低保障している商品もあります。しかし、その場合は満期まで何年もおいておいた資金が無利子で返ってくる、ということになり、がっかりしてしまうかと思います。


また、解約返戻金については最低保障がない場合が多いです。


もし急に資金が必要になって解約せざるを得なくなった場合、状況によっては大きく損をしてしまうこともあるので注意が必要です。

死亡保障も変動するが、最低保証がある

満期保険金や解約返戻金と同様に、死亡保障も運用状況によって変動しますが、支払った保険料同額が最低保障される場合が多いです。

生命保険である以上、顧客の「死」に対してはしっかりと保障してくれるということは心強いですね。


これは投資信託などの運用商品にはない大きなメリットであると言えます。

インフレ対策になる

変額保険はインフレ対策にも有効です。

インフレとは、物の値段が上がり、実質的にお金の価値が下がることを言います。

例えば昔は110円で買えていた缶コーヒーが、今は130円になっている場合、缶コーヒーの値段が20円上がったと同時に、110円というお金ではもう缶コーヒーが買えないので、価値が下がってしまっている、と言えるのです。


将来もらえる満期金が契約時に決まっている場合(養老保険など)その後インフレが起こったとしても満期金の金額は変わらないので、受け取る時には価値が下がってしまっている可能性があります。


しかし変額保険の場合、インフレが起こっても、並行して満期金や解約返戻金の金額も上昇していることが多いため、インフレに対応することができるのです。

変額保険は生命保険料控除として税金の非課税枠がある

変額保険の保険料を支払うことは、節税効果もあります。

所得がある人は、所得税を支払う必要がありますが、課税される金額は所得額によって変わります。

そして、日本は累進課税制といって、所得額が多いほど税率が上がり、支払わなくてはいけない税金は増えるようになっています。


しかしいくつかの項目に当てはまる人は、かかった費用に応じて申告する所得を減らしてもいいという制度があり、これを所得控除といいます。


所得控除のひとつに、「生命保険料控除」というものがあり、生命保険の保険料を支払っている人はその年に支払った総額に応じて所得額から一定金額を差し引くことができるのです。


変額保険は生命保険であるため、この生命保険料控除を適用することができます。

年間の支払い保険料総額と控除できる金額は以下の通りです。


  • 保険料総額が20,000円以下の場合=支払い保険料の全額を控除
  • 20,000円超~40,000円以下の場合=支払い保険料×1/2+10,000円
  • 40,000円超~80,000円以下の場合=支払い保険料×1/4+20,000円
  • 80,000円超の場合=一律40,000円

このように、変額保険には所得税の節税効果があるのは大きなメリットのひとつと言えます。


税制度は数年ごとに見直されることが多いので、契約時も、契約後も、定期的に確認するようにしましょう。

投資信託の主な特徴

変額保険の特徴について解説してきました。


次に、投資信託の特徴を確認しましょう。


  • 投資先から売買まで投資のプロに任せる
  • 投資対象となる金融商品は様々
  • 投資信託には税金面では優遇されない

といった特徴があります。


では、一つずつ確認していきましょう。

投資先から売買まで投資のプロに任せる

投資信託とは、その名の通り、「投資」を「信」じて人に「託」すことをいいます。

つまり、自分で株式や債券を直接購入するのではなく、投資の専門機関に資金を預け、代わりに運用してもらうということです。


専門機関は顧客から集めた資金で国内外の株式や債券などを購入し、その運用で得た利益を顧客に分配することを目指します。


投資の専門知識や、頻繁に売買をする時間がない人でも、プロに任せられて利益を享受できることから、多くの人に選ばれている運用方法です。


投資信託は証券会社だけでなく、銀行やインターネット上でも手続きでき、1万円から購入可能なので気軽に始められるのも魅力のひとつです。

投資対象となる金融商品は様々

投資信託の投資対象となる金融商品は実に様々です。

日本国内の株式はもちろん、海外の株式、国内外の債券、リート(不動産投資信託)、それらを組み合わせたものなど、数多くの商品があります。


資産を様々な金融商品に分散して投資しているものや、日経平均株価に連動するようにつくられているものなど、大まかな分類や投資対象は事前に説明を受けることができるのでどの投資信託の商品を選ぶか顧客が選択します。


しかし具体的に顧客から預かった資産で何の金融商品を購入するかは顧客に選択権がなく、商品の入れ替えもプロに任せます。


また、どの金融商品も値動きがあるものであり、投資信託に元本保証というものはありません。

生命保険でもないので、当然死亡保障もありません。

投資信託には税金面では優遇されない

変額保険は、生命保険料控除が適用され節税効果がありましたが、投資信託では、所得控除は受けられません。また、相続時の非課税枠もありません。

投資信託を保有している時に受け取った普通分配金や、解約した時の利益に対しては、20.315%の税金がかかります。


投資信託の口座を作った際に「特定口座」の「源泉徴収あり」を選択すると、普通分配金や解約金は、20.315%の税金があらかじめ差し引かれた状態で入金されるので、特に確定申告などは必要ありません。


投資信託には、所得控除の制度は使えませんが、「NISA」という制度を使うことによって、年間120万円まで20.315%の税金が非課税になるという仕組みがあるので購入を考えている人はぜひ利用するようにしましょう。

変額保険と投資信託はそれぞれ目的に合わせて利用しよう

変額保険と投資信託は似て非なるものです。


それぞれどのような目的の人が利用すべきなのでしょうか。



死亡保障をつけて資産を増やし、相続税対策をしたい人は”変額保険”

変額保険をおすすめしたいのは、「死亡保障」「相続対策」を重視する人です。

変額保険は、その最大の特徴である死亡保障を確保しつつ、景気動向によって値上がりを期待することができますが、基本的には長期間契約を続けることが前提となります。


そのため、数年単位で資金を動かす必要のない人、自分の「死」に備えて資金を家族に遺してあげたい人は変額保険が相性がいいでしょう。

生命保険へ加入していて、資産運用が目的なら”投資信託”を選ぶ

既に生命保険に加入し、死亡保障をつけている人や、特に資産を残したい家族がいない人、遺す資産は別に準備している人などには投資信託がおすすめです。


投資信託は保険に比べて手続きが簡単でスピーディに行えます。

また、利益が出て解約する場合も、変額保険の解約よりも簡単に行え、解約手数料がかかる場合もありますが、変額保険の解約控除(契約から数年間、解約返戻金から差し引かれる金額)に比べると少額であることが多いです。


投資信託を保有している人が亡くなった場合、保有する商品を解約し、現金化して相続するか、契約はそのままで名義変更するかは遺された家族が選択できますが、非課税枠はなく、相続税の対象となる上、元本の保証もありません。


どちらかというと「死」への備えにはならないため、自分が生きている間に資産を増やしたいという「資産運用」が目的の人にはぴったりであると言えるでしょう。

まとめ

変額保険と投資信託について、特徴を比較してきましたがいかがだったでしょうか?

これまでの内容をまとめると


変額保険は

  • 「生命保険」であるため、死亡保障がつく
  • 保険会社に運用を任せ、状況によって満期金や解約返戻金の金額が変動する
  • 死亡保険金も変動するが、保険料と同額が最低保障される
  • インフレへの対応力がある
  • 生命保険料控除が適用でき、節税効果がある
  • 「死亡保障」「相続対策」を重視したい人におすすめ

投資信託は

  • 投資の専門機関に運用を任せる
  • 投資対象は国内外の株式、債券、不動産投資など多岐にわたる
  • 所得控除は受けられず、相続対策としても不十分
  • 「資産運用」という面を重視したい人におすすめ

以上のように言えます。


変額保険も、投資信託も、メリットデメリットがあり、類似点も異なる点もあります。

自分にはどちらが合っているのかよく検討して、上手に資産を管理しましょう。

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